<アジア変幻記> は、原話の存在しない 「アジアの民話風」 の物語集ですが、
この 「石の谷の姫君」 だけは 実在する(らしい?) 「七夕伝説の変異種のアジア民話」
をベースにしています。
小さい頃に読んだ昔話の本の中に収録されていた物語で、
原話がどこのものか、今ではもう覚えていませんが、
「何かの偶然で天の娘と結婚した男が、禁じられていた瓜を切って洪水になり、
大水に押し流されて奥さんと会えなくなってしまった」
というクライマックスのインパクトが印象的で、その部分をこの話で転用しています。
<塔に降る雪>
僧院は、東洋にも西洋にもありますが、
ある意味ではとても不思議なものです。
「神や仏に一生を捧げる」 という崇高な人生のはずが、
一瞬でも「神や仏は人間の空想上の産物かもしれない」
とカンぐると、すべてが無意味100%になってしまいます。
しかもそれぞれが、「ウチの神さまは正しいが、
むこうは間違ってる」 だったり、
「ウチは本物だが、あっちは想像上の産物だな」 と思ってるわけで、
神さま同士も 「オレとアイツは仲良しなんで、
あっちの神さまもヨロシク頼むな」 なんて言わない訳ですから、
世界宗教会議もけっこう大変だと思うのですが・・・
さてこれは、僧院で育ったお坊さんが、今まで会ったことのないものに
会ってしまったお話。
出会ったものが、「神さま」だったのか 「魔」がさしたのか
「試練」なのか、 はたしてそのどれでもないんでしょうか・・・