「ハマチがね、入ってくるんよこの湾にはね。」
「ホンマですか!」
現場の詰所でT原さんから釣り情報をGETし、我々はさっそく次の日曜日現地へと赴いた。
いそいそと準備をし、とりあえずチヌ・グレを狙う。しかし皆の心の中にはハマチがイメージされている。念のために買っておいたルアーが役に立つだろうか。
「ハマチが来たらど〜する?」
「速攻で竿持ってダッシュよ。」
「OK。」
いつやって来るか分からないハマチを待ってるわけにもいかないので、ぼくらはウキ釣りを始めた。
撒き餌をすると、エサ取りが湧いてくる。 ・・・・・・ いつもより多い気がする。
やっぱり。スズメダイだ。針が沈む前にこいつが食いついてしまう。いくら撒き餌をしても次から次へとこいつが湧いてくる。くう〜。
そうこうする内に地球を釣ってしまった。
「あいたた。」
下に下りれば手でとれるところで引っかかっていたので、取りに下りた。( 写真の岸壁の向こうは、3mくらい石が敷き詰められている。 ) 下りたついでにそこで釣りをしていたが、よく考えてみればこの位置で釣りをしていては、ハマチが入ってきたときにすぐに準備できず遅れをとってしまう。
「やっぱ上がろう。」 そう思った矢先、
「きたぞ!ハマチだあっ!」
上にいた二人は浅瀬に入ってきたハマチの群に向かってダッシュした。
「うそやろ〜。」
ぼくが上に上がったときにはもう事は終わっていた。が、だれもご満悦の様子ではないようだ。
「どうやったん?」
「おお。入ってくるのは来たんじゃけど、俺らが行ったときにはもう遅かった。漁師の舟が入ってきて、なんぼか釣っていったがな。」
「そっか。」
ハマチはそれきり入ってこなかった。