ここに来れば必ずキスが釣れる、という浜が結構釣り人で賑わっていたので、ぼくとKさんは少し戻って、ひとつ西の浜にやって来た。こちらにはなぜか釣り人がおらず、のびのびと準備をする。
今日ははっきりキス狙いの投げ釣り。おっとKさん、置き竿していてはメゴチがくるのでは? キスはちょいちょい引きながら釣るのがスジってもんですぜ。
なんて言って釣れなかったら照れるので、黙っとくか。
お、そういう間にもアタリがきたぜ、よしよし、キスキス。
ってメゴチやん。まあいいか。食うからね、問題ない。
しかしその後しばらく釣れるのはメゴチばかり。どうもキスが釣れる気配がない。これは問題だ。
気が付くと一隻の漁船がぼくらが釣りをしてる場所まで近づいてきた。
「ありゃ、ひょっとしてここは釣りをしちゃイケナイ場所で、文句を言われるのかな?」
とか思って心配していたら、船首にいるおばちゃんが開口一番、
「アジいらんかね〜!」
ずっこけた。