07年キリマンジャロ準備編

【20年ぶりに再び頂上を目指す】
所属している会社の山岳部が09年に50周年記念を迎えるに当たって、海外登山の話が持ち上がり、OBも登頂可能な知名度のある山としてキリマンジャロ(5,895m)が有力候補に挙がった。私は、20年前に幸いにも最高点に登頂しており、次に海外の山に登るなら欧州大陸最高峰のエルブルース(5,642m)に登りたいと考えていたので、当初、参加すべきか非常に迷った。決断したのは、一度登頂を果たしても尚持ち続けている高校時代からの『キリマンジャロの雪』(ヘミングウェイ)への強い憧憬、『地球温暖化の影響で頂上の氷河がどうなったのか、この目で確認したい』という強い思いとともに、決め手となったのは、山岳部部長の『行くにしろ行かないにしろ登頂の経験から力になってほしい』というお言葉であった。こうして、06年末から約1年をかけての登山準備が始まった。

【準備段階】
ボランティア活動も含めた準備は、会社山岳部HPに掲載予定なので省略。トレーニングを中心とした準備について記す。個人的には低酸素トレーニング、東海自然歩道などでのトレーニングも含め、合計21回トレーニングを実施した。長男との山行も多く、現在不登校中の長男のケアも兼ねている。本当にこれだけよく付いてきてくれたとしか言いようがない。ちなみに8月は、8月末の気象予報士試験の準備のためトレーニングができなかった。長年の念願であった気象予報士試験を奇跡的にもわずか2回目の07年8月の受験で合格し、根性でキリマンジャロ登山に間に合わせた。キリマンジャロには、『気象予報士』として登頂したいという、これまた強い思いがあったためである。気象庁に20年務めた人でも落ちる難関の試験に無謀にも挑んだ私を、暖かく応援して頂いた山岳部の仲間たちには、ただただ感謝あるのみ。12/2(日)の壮行会では、感謝の言葉が続かず思わず男泣き・・・

No.1 3/25 霊仙山(1084m) 3月例会 長男も一緒
No.2 4/21 猿投山(629m) 東海自然歩道、15kgボッカ 長男と
No.3 5/12 雲興寺〜岩屋堂 往復 東海自然歩道、15kgボッカ 長男と
No.4 5/20 猿投山(629m) 東海自然歩道、15kgボッカ 長男と
No.5 5/26 南木曽岳(1679m) 5月例会 長男も一緒
No.6 6/23 岩登りトレーニング インドアクライミング 長男も一緒
No.7 7/14 低酸素トレーニング(1回目) 高度3000m設定
No.8 7/21-23 槍ヶ岳(3180m) テント山行、20kgボッカ 長男と
No.9 7/28-29 富士山(3776m) パーティートレーニング 長男も一緒
No.10 9/15 釈迦ヶ岳(1092m) 鈴鹿、雨天途中下山 長男と
No.11 9/29 東山一万歩コース 長男と
No.12 10/13-14 富士山(3776m) パーティートレーニング
No.13 10/20 伊吹山(1377m) 長男と
No.14 10/28 猿投山(629m) 東海自然歩道 長男と
No.15 11/3 御嶽山(3067m) 雪山登山 単独行
No.16 11/10 御在所岳(1212m) 鈴鹿 長男と
No.17 11/24 鎌ヶ岳(1161m) 鈴鹿 長男と
No.18 12/1 御嶽山(3067m) 雪山登山 単独行
No.19 12/8 低酸素トレーニング(2回目) 高度3500m設定
No.20 12/9 猿投山(629m) 東海自然歩道 長男と
No.21 12/22 低酸素トレーニング(3回目) 高度4000m設定


【低酸素トレーニングについて】
・概要
   実施会社:アミューズトラベル(http://www.amuse-travel.co.jp/) 東海地方でココだけ
   場所:名古屋駅の駅前アルプスの上、第二豊田ビル東館7F
   費用:入会費3,000円、使用料金2,700円/回
   所要時間:1時間、ただし初回は内容説明があり1時間半
   利用時間:平日10−18、土10−12 (一度に2名まで)
   内容:30分安静、30分マスクをしてエアロバイク
       高度3000m相当の酸素濃度に設定
       パルスオキシメータにて、心拍数とSpO2(血中酸素濃度)を常時モニター

・体験記
 1回目(3000m設定) 07.07.14(土)
私は過去のキリマンジャロ登山で高山病に大変苦しんだ思い出があるので、低酸素トレーニングをやってみることにしました。設備は、昔、私が名大にて体験した低圧室と違って、常圧にて酸素濃度だけ薄くするため、W1m-D1m-H2mのビニール張りの部屋と、エアロバイク2台、酸素濃度を調整する装置があるだけ。まず、ビニール部屋に入って30分間安静にし、高度3000m相当の酸素濃度に慣れる。これは全く違和感もなく、なんともない。

次に、低酸素の空気を供給するマスクを口に当てて、エアロバイクを歩くような感覚でゆっくりと漕ぐ。最初は少し息苦しく、心拍数は80〜90でそんなに上がっていないのに、SpO2(血中酸素濃度)が見る見る低下して80%を切って77%まで下がってしまった。説明して頂いた中祖さんによると、身体が慣れていないと最初にぐっと下がってしまうが、順応すると最初の低下が小さくなり、大体90%ぐらいで維持できるそうだ。また、運動により設定高度+1000mぐらいの負荷になるとのこと。従って、この設定で運動すると4000mを歩くのと同じということらしい。

多少、息苦しく感じるだけで、運動負荷としては楽に感じたので、いつもの私なら負荷を上げたくなるのだが、今回は体験記を展開するのが目的なので、説明してもらった腹式呼吸(ローソクを口すぼめて消す)を試してみた。すると5分後には85%程度に回復、15分後からは指示通りエアロバイクの負荷を上げたにもかかわらず、忠実に腹式呼吸を実施したら、最後は94〜95%までSpO2が上昇、トレーニング前の98%と大差ないぐらいまで回復した。最初感じた息苦しさも、全く感じなかった。

 2回目(3500m設定) 07.12.08(土)
前回から日が開いたため、4000m設定希望するも、安全のため3500m設定となる。新しい登降マシンが入ったということで、早速使わせて頂く。既に富士山に2回、3000m峰に3回登っているためか、この高度での順応はできているようだ。初回と違って最初から全く違和感を感じることがなかった。もっと負荷を上げたいのだが、設定を変えることを許可してもらえず、SpO2が85〜90、最後は95と平地と全く同じになってしまった。心拍数も80〜90でこれで効果があるのかなと思う間に終了。次回の高度に期待。

 3回目(4000m設定) 07.12.21(土)
4500mをお願いするも、前回から時間が開いたため身体に負担がかかるという理由で却下され、4000mの設定でトレーニング。今回は、トライアスロンのトレーニングで慣れ親しんでいるエアロバイクの方を選択した。土日にインフルエンザで39.5℃の高熱を出して倒れていたので、最初の10分間は様子見で流す。全く何も感じないので、負荷と回転数を上げて、心拍数を130〜140拍/分まで上げる。それでもSpO2は90を切ることなく、大体93%を維持。トレーニング時間40分のうち最後の10分は目一杯追込んだ。負荷を最大に設定し、回転数は80rpmぐらい、心拍数も170拍/分とほとんど最大に近い領域で10分間頑張った(それでもSpO2は93%を維持!)。かってのトライアスロンのトレーニングのノリである。苦しいのだが本当に楽しい、幸せな瞬間である。さすがの私も最後は汗ビッショリで、その後一日中心地よい疲れが残った。久し振りに充実したトレーニングであった。

   本当は12/14にもう1回実施予定でしたが、インフルエンザでダウンのため中止


・所感
説明では、1回のトレーニングしかできなくても、呼吸法や高所での身体反応を体験するのに有効とのことだったが、それを実感。SpO2を常時モニターしながらトレーニングできるところが非常によいと感じた。呼吸法が悪いとSpO2が低下、良いと上昇するので、正しい呼吸法を身に付けるのには良い方法と思われます。



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