南アルプスの山々が待つ山頂

− 笊ヶ岳 −



 今日の目的は笊ヶ岳への登山である。
登山口になる老平の駐車場に着いたのは深夜2時。少し早目の到着となった。
ということでまずは一杯ということで早速、缶ビールを開ける。(笑) ←実はこれがやりたかった?
それを飲み終えてから少し寝ようと思って横になる。
が、寝れない。おかしいなぁ...寝ないできてるのに...
仕方ないなぁ...本当に...ということで二本目を開けた。(爆)
二本目を飲み終えると、なんかちょっといい気持ちに...
実をいうと酒に手を出したくなったが、さすがにそれはやめといた。(^^;

 携帯のアラームが鳴って起きる。
とりあえず2時間ぐらいは仮眠することができた。
本当は家で寝てから出かけるのが理想だが、これがなかなか難しいのである。
ということでなるべく早く出かけることにしており、早く着いた時はちょっと仮眠することにしている。
でもたどり着けずに高速道路のパーキングでダウンしている時もあるのだが。(^^;
実はこのちょっとした仮眠が意外と重要なのだ。
全く寝ていないのとちょっとだけでも寝たのでは大きな違いがある。
その日の体調がずいぶん違ってくるからである。

笊ヶ岳1  外はまだ暗い。気温は4℃。
山登りでは釣りの時と違ってそんなに急ぐ必要はない。
いつもは明るくなりはじめてからぼちぼちと行動を開始するのだが、
駐車場は集落の中にあり、横には外灯があって明るい。
ということで私はすぐに朝飯を食べてからさっさと準備にとりかかった。
準備をしていると取水掃除のおじさんの車が来た。
毎度のことだが相変わらず早い。毎日、本当にご苦労様である。
準備が終わっていれば林道終点まで乗せてもらえたかもしれなかったのだが、
まだ準備中だったのでそれがちょっと残念であった。
ちなみに車は白いセダンだから、頭に入れておくといいかもしれない。
って、こんなこと書いちゃっていいのかな?(汗)
でも林道終点までは歩いてもたいした距離ではないんですけどね。(^^;

 準備を終えるとちょうど東の空が明るくなってくる。
するとぼちぼち集落の人も起きてきた。
「山の上まで上がるの?」などと話しかけてくる。
昨日は天気もすっきりしなくて風が強かったそうだが、
今日ならいいと思うよと言ってもらえた。(^^)v


笊ヶ岳2  これは駐車場にある登山の案内。
ここにはたまに来ているのだがいつもは釣りなのでちゃんと見たのは初めてである。
とりあえず書かれていたコースタイムを足してみた。
すると笊ヶ岳の山頂まではなんと11時間30分もある。
登るだけで1日が終わっちゃうじゃん!(^^;
一般者向けのゆとりをみたタイムだとはわかっていてもさすがにちょっと心配になった。
まぁ、無理そうだったら布引山で引き返してくることにしよう。(^^; ←弱気(笑)
結局、他に車は1台も来なかった。
どうやら今日の登山者は私だけのようだ。


笊ヶ岳3  さて出発だ。
駐車場から歩き出すとすぐの所にゲートがある。
ここはもちろん鍵がかけられているので入ることはできないのだが、
日中は山仕事の人が入るので開いていることもある。
でも、うっかり車で入らない方がいいですよ。
閉められちゃうこともありますから。(笑)


笊ヶ岳4  まだうす暗い林道を歩いていくと布引山の稜線が見えた。
釣りの時は気楽なものだが、あの上まで登るのかと思うとちょっと気が重くなる。(^^;
林道には犬を連れて散歩している人がいた。
本当にこちらの人は朝が早い。(^^;
林道が吉水沢を渡るとその先で道は二俣になっている。
ここは右にルートをとる。
左に行くと道は川に降りて行き止まり。
ちなみに奥沢谷の放流はこの辺で行なわれている。
あっ、今回は釣行記じゃなかった。(笑)


笊ヶ岳5  林道の二俣を右に進むとこちらもすぐ林道終点になる。
ちょうど車が3台ぐらい置けるスペースになっている。
ここまでは老平から30分弱といったところだ。
林道終点には取水掃除のおじさんの車が1台だけ止まっていた。
ここから左手にある山道に入り、そして少し行くとその先に廃屋がある。
人は住んでいないのだが近くに植林や畑などがあるので、
山仕事の人が物を置いたりして使っている。
このすぐ先で取水掃除のおじさんに追いついた。
「もう追いついちゃったの? 早いね」と言われたので、
「そうですか? でも歩くのは専門家ですから(笑)」などといいながら
軽く話しをしてから先に行かせてもらう。


笊ヶ岳6  林道終点からしばらくは川と登山道が離れる。
ここからの登山道も勝手知ったる道である。
意外なことにこの辺にはまだ紅葉が所々に残っていた。

 武沢を吊橋で渡ると道が平坦になり歩きやすくなる。
途中で道が分岐して左手に降りている所があるのだが、
これは取水施設へ降りる為の道だから、
釣りでなければ迷わず右へ進みましょう。(笑)


笊ヶ岳7  歩いていくとずいぶん空が明るくなってきた。
もうすぐ日の出も近い。(^^)


笊ヶ岳8  登山道は崩れている場所もあるが特に問題はない。
でも、軽いシャワーを浴びて崖を通過する所はちょっと危ない。
濡れたくないからといって急いで走り抜けたりしないように!
もし足でも滑らして落ちたら死んじゃいますよ。 ←いつも走り抜けている人(笑)
ちなみにこの時は凍結しておりツルツルでちょっと怖かった。
まぁ、いずれにしても慎重に行きましょう。(^^;


笊ヶ岳9  更に行くと小谷出合いである。
ここから登山道は小尾根を回り込んで右に曲がって行く。
川と離れていた登山道も川のすぐ横に沿うようになる。

 ところで私にはひとつ心配していたことがあった。
それは広河原の渡渉である。
歩きながら渓の水が少ないというのは感じていたが、
渡渉点の水量がずっと気になっていた。
この様子なら渡れるはずだが...


笊ヶ岳10  そしていよいよその広河原に到着する。
最初に渡渉点を見た時、すぐに渡れると思った。
それだけ水量が少なかったのである。(^^)
実はこの奥沢谷は結構、水量が豊富な谷なのである。
シーズン中はこの渡渉点でシューズを脱いで裸足で渡っている登山者を
見かけたりしていたので、もしかしたらと思い
実はネオプレーンのソックスを持ってきていたのである。 ←抜かりがない(笑)
でもここではそれを使うこともなく
そのままシューズの中を濡らさずに渡ることができた。(^^)v
準備していたとはいえ、やはり使わないのに越したことはない。(安心)
そんなわけで登山者はみなここに橋をかけてほしいと思っているでは?
ちなみに老平から広河原までは気軽なハイキングである。

 それからここは広河原と呼ばれてはいるが、
別に河原などはなく、テントを張るようなスペースも無い。
でも対岸に渡って少し高くなった所にちょっとだけスペースがある。
また、少し上流の右岸側が広くなっていてテントを張っている人がたまにいる。


笊ヶ岳11  しばらく広河原で休憩をとってから先へ進む。
ずっと平坦だった道はここで終わり、これから先は登りが始まる。
東側にある尾根にさえぎられてまだ日の光は入ってこなかったが
登って行くとようやく尾根から太陽が顔を出した。


笊ヶ岳12  光が入ってくるとこれまで殺風景だった景色が彩られ
まるで別世界のように変わった。
太陽って本当にすばらしい。まさに命の源である。


笊ヶ岳13  広河原から30分ほどで次のチェックポイントである山の神に到着する。
小さい祠があったので、手をあわせて無事の登頂を祈願した。
この横にはテントを張れそうな小さい広場があった。
でもこんな所に張ったらもしかしてバチが当たったりするのかな?


笊ヶ岳14  稜線が見えたが相変わらず遠くにある。
まだまだこれからなのである。(^^;


笊ヶ岳15  ということで次のチェックポイントである桧横手山を目指す。
登山道は登りではあるが、傾斜はさほどではなく道も悪くはない。
順調に登っていく。


笊ヶ岳16  これは途中で見た奥沢谷。
最初のうちは滝などが見えていたのが、もう谷は遥か下になっていた。


笊ヶ岳17  桧横手山まではちょっと長い。
ということで途中でまた休憩をとった。
ちなみにザックはいつも愛用しているウォータークライム。
トレッキングポールはLEKIのマカル ウルトラ ライトを使用している。
見たとおりダブルストックである。
今回のように体力勝負となる場合にはやはりかかせない。
ちなみに釣りの時はそこら辺に転がっている棒っきれで代用しているのだが、
登山者でそんなことをしている人は誰もいない。
さすがに恥ずかしいので専用品を使用しているのである。(^^; ←実はなんちゃって登山者(笑)


笊ヶ岳18  それからもダラダラと続く道を登っていくと、
やがて常葉樹が出てきて鬱蒼とした雰囲気になる。
道はゆるやかになり木漏れ日の中を歩いていくと桧横手山である。


笊ヶ岳19  桧横手山には小さい標識が木にくくりつけられていた。
目立たないので標識に気づかずに通りすぎてしまう人もいると思う。


笊ヶ岳20  こんな感じで完全に樹林の中で展望はない。
しかも平坦な場所で全く山頂という感じがしない。
ちなみにここには小スペースがありテントを張ることができる。
ここを逃すともう布引山の山頂までテン場はない。
無理だと思った人はここに泊まるといいだろう。


笊ヶ岳21  平坦な尾根を進んでいくとまた登りになる。
ちょっと登った所で木々の間から富士山が見えた。
あぁ、早く山頂で見たいっ!(笑)


笊ヶ岳22  ここまでは順調だったので軽くみていたのだが、
実は登りが本領を発揮するのはここからだった...(^^;
道は急坂になり、しかも道もあまり良くないので登りづらい。
ゆっくりゆっくり登っていったが、さすがに疲れてくる。
途中でトラロープのある場所があり、ここを登ったところで
「いったいこの登りはどうなっているんだ!」とたまらず休憩をとった。(^^;


笊ヶ岳23  ということでただいま休憩中...


笊ヶ岳24  でもこのすぐ先で尾根は広くなり緩やかになっていた。
なんだ別に休憩することもなかったか。(^^;
この辺は道がはっきりしないので目印を確認しながら歩いていった。
少し行くと尾根が狭まったところがあり、ここを通過すると急に視界が開けた。


笊ヶ岳25  目の前に南アルプスの山々が飛び込んできたのである。
おぉっ、やった!(^^)
広河原からここまでずっと樹林の中で展望はない。
ただ黙々と登るだけなのではっきりいって「つまらない」のである。
それがここでようやく報われることになる。


笊ヶ岳26  ここから先は開けた尾根だが左側はガレ場になっている。
このガレに沿って登っていくことになる。


笊ヶ岳27  これが有名(?)な布引大崩れの実態。
崩壊が激しく大量のガレを下に落としている。
こんなのが山の上にあるんじゃ、渓も荒れるわけだ。(^^;


笊ヶ岳28  そしてガレ上に出ると赤石岳が見えた。
右が赤石岳で左が聖岳である。


笊ヶ岳29  聖岳岳と上河内岳。
足元にある沢は所の沢。とても緩やかに流れていた。


笊ヶ岳30  南方に続く稜線。
所ノ沢越〜稲又山、奥にあるのが青薙山。
遠くに大根沢山、信濃俣、光岳などが見えていた。


笊ヶ岳31  青薙山の先に続くのが青笹山。
足元に入っているのは稲又谷の西沢。
他にも本谷、間ノ沢、八汐沢などが確認できた。

という感じでここからの展望は良好である。
ここだけでも十分に楽しめた。


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