南アルプスの山々が待つ山頂
− 笊ヶ岳 −
しばらく展望を楽しんだ後、布引山に向かう。
ここからはまた樹林帯の中になる。
高度計ではもう2500mを越えているのですぐのはずだが...
と思っていたらすぐ開けたところに出る。
ここが布引山の山頂だった。
ここにも木に小さい標識が付けられていた。
布引山の山頂も樹林の中で展望は無い。
山頂のすぐ横にはちょっとした広場があった。
ここは平らでテン場にするのに適している。
焚き火の跡などがあったのでみなここに泊まっているみたいである。
でも水は当然ないので広河原から運び上げることになるのだが、
かなりの重労働になるだろう。もちろん私はやりませんよ。(^^;
地図を見たが笊ヶ岳まではまだしばらくかかるし、
ここは日当たりもよく風もなかったので
ちょっと早いがここで昼飯にすることにした。
この広場からはちょっと藪を避ければ
展望を楽しむことができる。
東側も木々の間に窓があり、
そこから富士山を見ることができた。
やっと見えたぞ。う〜ん、素晴しい。(^^)
大休憩をとった後、笊ヶ岳を目指して出発する。
ここからはしばらく平坦だがちょっと藪っぽくなる。
手入れがされているので問題はないのだが、
放置されたら道はすぐに藪で覆われてしまいそうな感じだった。
道が下りに入るところで待望の笊ヶ岳が見えた。
小笊と仲良く並んでいたのですぐわかった。
まるで双子みたいだ。
一番低い鞍部まで降りると標識があった。
標識には25分と書かれていた。
まだ、ちょっとあるなぁ...(^^;
登っていくと小笊がだんだん近づいてきた。
もうちょっとだと思いながら登っていく。
そして高度計が2600mを越えた。
もう着くなと思っていたらこじんまりと開けた場所に出る。
ん?ここか?と思ったが、標識などは何もない。
あれ?と思い左手を見ると標柱らしき物を発見する。
やった、きっとあそこだ!(^^)
うれしくなりおもわず駆け寄ってしまった。(^^;
山頂に立つといきなり大きく視界が開けた。
あわわ、なんだこれ!?(汗)
布引山からはずっと展望がなかったし、
少し離れた所から見た山頂はなんだか藪っぽく見えたので
これにはちょっとびっくりした。(^^;
本当に大展望だった。
まずはこれこれ。(笑)
とりあえずザックを置いて記念撮影。(^^)
ちなみにどこの山に登っても山頂に必ずある
山梨百名山の標柱がここには無かった。
まぁ、どうでもいいのだが。(笑)
それから私はゆっくり展望を楽しんだ。
ということでここから見えた代表的な山を紹介ときますかね。(笑)
まずはやっぱり富士山。どこの山に登っても必ずといっていいほど見える。
手前に見える山はもちろん小笊である。
なんか小笊が邪魔だなと思ってしまうのは私だけでしょうか?(^^;
北からいくとまずは鳳凰三山。
これに隠れてしまっていて八ヶ岳は見えなかった。
でもこの右手の方には金峰山が見えていた。
白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)
甲斐駒ヶ岳もこれに隠れていて見えなかった。
左奥に見えているのが千丈岳。
すぐ手前にあるのは偃松尾山である。
尖っていて特徴的な塩見岳。
ちょっと手前右に見えているピークが蝙蝠岳。
すぐ手前にあるのは生木割山である。
荒川三山(東岳、中岳、前岳)
奥西河内の切れ込みが印象的だった。
既に何度か登場している赤石岳。
同じく聖岳。
同じく上河内岳。
左奥にちょこんと見えるのが茶臼岳。
それより先は小さくなるのでわかりづらいが
茶臼岳の奥に見えるのが光岳。
仁田岳や易老岳は茶臼岳に隠れて見えなかった。
とまぁ、そんな感じで南アルプスの名峰が
北から南にずらっと並んで勢ぞろいといった感じであった。
ちなみに笊ヶ岳自身はたいした山ではないし(失礼かな?(^^;)
登山道もほとんどが樹林の中だが、でも山頂の展望は本当に恵まれていた。
これだけの山々をまとめて見ることができるというのは素晴しい。
まさかこれほどとはおもってもいなかった。(^^;
その中でも目の前に見えている南アルプス南部の山々は
自宅から遠いので私にとってはほとんど馴染みが無いのだが
こうして見ているととてもひきつけられた。
特に目をひいたのは赤石岳だった。
とてもやさしそうな表情をしていたからである。
まるで「フフフ...登りにおいでよ」と私に言っているようだった。
私は山に登ることは好きだが別にアルピニストってわけではない。
渓流シーズン中にも稀に登ることはあるけれどやっぱりメインは渓流なのだ。
山の方はオフになってからちょこちょことやっているだけである。
でも、最近は釣りの方もマンネリ化してきたし、
こんなに素晴しい山がたくさんあるのだから登ってみるのもいいなと思った。
幸い私はシーズン中は毎週のように渓を歩いているので体力だけはある。
というかそれぐらいしか無いのだけれど...(^^;
それに山は好きだし、その素晴しさもそれなりにわかっているつもりである。
だからそんなことを思う資格ぐらいはあるように思った。
そのうち必ず登りに行くよ...
はたして南アルプスの山々に私の気持ちは伝わっただろうか。
実は地図とにらめっこしながら
ひとつひとつ山や沢を確認していたのでいつの間にか時間が過ぎていた。
なんと滞在時間は約50分!(^^;
いつまでも楽しんでいたかったのだがもう時間の方は限界である。
あ〜ぁ、盛期だったら日が長いからもっとゆっくりできるのに...
残念ではあるが帰ることにする。
布引山まではちょっとは早いかなと思っていたが
行きとたいして時間は変わらなかった。
来るときには気がつかなかったが、
布引山を過ぎると所の沢越へ道が分岐していた。
ずいぶん藪っぽい感じだったが利用者はいるのだろうか?
布引崩れの上に出ると南アルプス方面はよく見えていたが
青笹山へ続く稜線は雲に包まれていた。
これはガレの横を降りているところ。
帰りは桧横手山まで一気に歩いてから休憩した。
そして時間をチェックすると明るいうちに着けないことが判明する。
というか山頂を出た時点で薄々わかっていたが、
それが決定的になったのである。(^^;
やれやれと思いながら休憩もそこそこに出発する。
実はこの先で下っている途中に膝がちょっと痛くなってきた。
さすがに疲れが出てきたみたいだ。(^^;
ちなみに写真は七面山。
そしてようやく広河原に到着する。
ここからはもう急な下りはないし慣れた道なので安心である。
後は最後に残った紅葉などを見ながらゆっくり歩いていった。
そして林道終点まで戻ったところでまた休憩をとる。
フフフ...ここまでくればもう楽勝だ。後は目をつぶっても帰れる。(笑)
って、目をつぶったら帰れないか。(^^;
そろそろ日没だな...私はタバコに火をつけた。
そしていっぷくしているとみるみるうちに暗くなってしまった。
それから私はライトを点けて暗くなった林道を歩いた。
疲れたなぁ...腹減ったなぁ...それより帰るのがかったるいよなぁ...
車に着いたらすぐ打ち上げをやってそのまま車で寝たいよ。
ゆっくり寝て帰るのは明日ってことで...(^^; ←実は得意技(笑)
でも明日は仕事なんだよね。(ガクッ)
などと考えながら30分ほど歩いて老平にたどり着いた。
結局、今回は誰とも会わなかった。
でも登山者が誰もいないというのはどういうこと?
笊ヶ岳って有名なのだろうか?とつい思ってしまった。(^^;
とりあえず二百名山ってことになっているのでそれなりに知られているのだとは思うが、
あれだけの展望があるというのにどうも登山者が少ないような気がする。(気のせいかな?)
まぁ、歩く距離がそれなりに長いし、途中に頼りにできる山小屋なんかもないので敬遠されているのかもしれない。
でもそれはそれで静かな山行が楽しめていいのではないかと思った。
疲れるけれどやっぱり山はいい。
ある意味、渓流よりも魅力は強いと私は感じている。
それはなんといっても山頂まで登った時の達成感とそこに待っている感動の世界だと思う。
そして、それがまた次の山へ登るきっかけになるのである。
【参考タイム】
老平6:03→林道終点6:29→広河原7:17〜7:27→山の神7:59〜8:02→桧横手山9:42〜9:47→
布引山11:19〜11:45→笊ヶ岳12:38〜13:23→布引山14:09→桧横手山15:01〜15:10→
山の神16:04→広河原16:26→林道終点17:07〜17:11→老平17:36
ホームページに戻る