さつき(サツキ)の栽培管理、育て方

最終更新日 2006年10月


1.さつきの増やし方 …挿し木、取り木

 
@ 挿し木
 さつきの一般的な増やし方は挿し木によります。
元気の良いさつきは春になると新しい芽を出し梅雨の時期には新芽がかなり成熟してきます。
梅雨の時期は湿度が高く挿し木には最適な季節です。

 充実して真っ直ぐに直ぐに伸びた芽を挿し穂として用います。
親木から切り取った新梢を水につけておき、良く切れるナイフなどで切り戻します。
挿したとき土の中に入る部分(3センチほど)の葉を切り取ります。切り口を乾かさない様にすることが肝心です。

 通常、整枝・剪定は花が終わってから行いますが、良い挿し穂をえるには、冬の間に親木の剪定をやや強めに行うと、良い挿し穂がえられます。

 挿し床として素焼きの鉢やプランターに新しい鹿沼土をふるいにかけ微塵を取り除いた細かい用土を入れ挿し床にします。
そのまま挿しても発根しますが挿し木用の発根ホルモンを挿し穂の切り口につければより確実です。

 挿し終わったら直射日光や風が当たらない場所に寒冷紗を掛け、毎日灌水をします。
挿し木をして2ヶ月もすれば十分根が張ってきますので寒冷紗を外し半日陰に慣らしてから移植をして植え広げます。
移植して2週間後から油粕の置き肥を与えます。


A 取り木
 取り木は親木の枝を独立させて新しいさつきを得る方法です。
形を整えたさつきからとり木をすることは無謀ですが、邪魔になる枝が
ある場合などに適した方法で、短期間に開花するさつきが得られる
メリットがあります。

 取り木する(発根させる)部分を幅1センチほどリング状に皮を剥ぎ、
水に浸したミズゴケをあて、ビニールシートで包みます。
図のように上下を紐で縛り乾燥しない様にします。
時期は4月から5月が最適です。


2.さつきの植え替えと用土

@ 用土
 さつきは弱酸性、水分を好み、かつ水捌けの良い用土を好みます。
この要件を満たすものに鹿沼土があり、これを使用します。

A 植え替えの時期
 細かい根を張りますので、根詰まりを起こしやすく3年に一度ほどは植え替えの必要があります。水遣りの時、水の通りが悪くなったら根詰まりのサインです。
3年以内でも植え替えをしましょう。
植え替えは花の咲き終わった頃、すなわち梅雨の前に行うのが最適です。

B 植え替えの方法 さつきを鉢から抜きます。周囲や底まで細かい根がびっしりと張っていて、新しい根が延びる余地がなく、水の通りが悪くなっていることが分かります。

 先ず、古い包丁などで底から1/3ほどを切り取り、周囲も1センチメートルほど切り取ります。
その後、根をほぐしながら古い用土を取り除きます。この時に細い根が用土と共に取り除かれますが、1/2ほどの細根が残っていれば大丈夫です。
太めの根も込み合っているようでしたら切り取ります。

 鉢底には大きめ鹿沼土を入れ、その上に中、小粒の鹿沼土を少し入れ、さつきを植えます。
周囲から鹿沼土を入れ、古い箸などを使って根の間に用度がキッチリと入る様にします。
底から水が流れ出るくらいたっぷりと水をやり日陰に置きます。

 植え替えで根を沢山取り除きましたので、普段より強めの整枝が必要になります。
枝の部分の大きさに比較して鉢が小さく感じられるときには、一回り大きな鉢に変えましょう。


3.置き場所

  さつきは半日陰で水気の多い場所を好む植物です。
従って、少々の肥料不足や日陰でも花をつけます。むしろ特に真夏の暑い盛りに直射日光を当てたり、乾燥させると樹勢が衰え枯れることもあります。
梅雨明けから9月半ばまでは木漏れ日が当たる程度の場所に置くのが良いでしょう。

 肥料は花の後と9月中旬ごろ発酵済みの油粕を置き日として与えます。
弱酸性を好み、酸性の用土に強いので間違っても中和のための石灰などを与えないようにしましょう。  彼岸が過ぎたら日当たりの良い場所に移動し、光合成を盛んにしてやります。


4.水遣り、肥料

 さつきは水を好む植物です。水はけの良い用土に植え、根詰まりさえなければどんなに水をやっても根具されの心配はないようです。
むしろ乾燥のため樹勢が衰えたり、枯れてしまう失敗が多いようです。
真夏など朝と夕方にたっぷり水遣りをし、葉にもかけてやりましょう。

 肥料は花が終わった5月下旬、秋の彼岸頃の2回、発酵済みの油粕を置き肥として与えます。


5.整枝

  花の終わった後実施します。
7月の中旬以後に目を切りますと翌年咲く蕾ができませんので注意しましょう。


6.害虫駆除

 @ つぼみ虫(ベニモンアオリンガ)の食害
 さつきの花の咲かない最大の原因が俗称つぼみ虫、ベニモンアオリンガの幼虫による食害です。
成虫(蛾)は体長1.5センチほどで名前の通り薄緑色の地に薄い赤橙の斑紋を持っています。
成長すると1センチ程になる褐色に白斑のある芋虫が枝先の芯に潜り込み蕾だけを食べます。
蕾全体を食べるのではなく、横から錐で空けた様な穴を穿ち、つぼみ芯だけを食べます。
グルメというか拘り派の害虫です。
他の芋虫と異なり、胴に比して頭部が小さい体型をしています。錐で穿ったような穴を開けるのに適した体と云えるでしょう。

 しかも、穴を開けるのは蕾の根元の部分です。こんな食べ方をするので食害を受けた蕾は暫く外見上は何の変化もありませんので発見し難く、蕾が褐色食に変色した頃は木全体が被害にあい、つぼみ虫は蛹になって根際などに移動していますので探しても見つかりません。

 幼虫の発生時期は4月、6月、8〜9月の年3回です。
4月の発生は開花の1ヶ月前で、秋から冬に充実した蕾が開花直前に褐色に枯れてしまいます。
6月の発生では蕾が枯れ、脇から新しい芽が出てきて食害を発見します。
この時期の食害は脇から出た新芽の先に再び蕾が出来ますので花数は少し少なくなりますが、その後の肥培管理が良ければ翌年の花は期待できます。
8〜9月の発生、発生する害虫の個体数も多く、脇芽は出ますが蕾が出来ず翌年の花は期待できません。

 駆除の方法は殺虫剤の散布によります。
他の害虫は見つけ次第に捕殺することが可能です。出来るだけ薬剤を使いたくないのですが、つぼみ虫は食害が起きているときに発見することが難しく、食害の被害に遭うと花がほとんど咲かないので薬剤に頼ることになります。

 散布の方法も発生時期に定期的に行う必要があります。
一般的に使われている殺虫剤“スミチオン”が利きますが、散布して短期間しか薬効がありませんので5日ごとに一度散布する必要があります。
持続性のある“カルホス”は半月は薬効が続きますので本剤の散布が効果的です。
購入するのに印鑑が必要で、園芸店では扱っておらず専門の薬局や農協の売店で購入できます。
このように書くと恐れられますが、毒性が強いのでなく持続性が長いだけですので、スミチオンを何度も散布するよりも影響が少ないといわれています。
また、さつきの置き場の近くにつつじが植えられていましたら同時に散布しましょう。

A ツツジグンバイ
 葉の裏に3ミリほどの軍配の形をした扁平な虫が寄生して樹液を吸引する。
吸引された葉は白い小さな斑点が絣のようになる。葉の裏には小さな黒い斑点の糞が付着する。

 スミチオンやカルホスなどの食毒、接触毒の薬剤よりも浸透意向能力(薬剤が植物体に吸収され、樹液を吸った害虫を殺す)のあるオルトラン水和液、EPS(エストックス)を散布する。

B ルリチュウレンジ
 緑色に多数の黒斑がある小型の芋虫。枝先に群生し葉を食べる。
 群生しているので見つけやすく、発見次第捕殺する。スミチオン、カルホスなどの薬剤を散布すれば容易に死滅する。


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