紙パックで作る パッチリ・テレビ

パッチリ・テレビとは
 
 何度か「パッチリ・カメラ」、「ボックスカメラ」等の名称で作られたものを見た事があった。
いずれも2つのシーンが切り替えられるものであり、
幼児の遊び “イナイナイ・バー” や最初は蕾の絵を
切り替えて開花した花などの絵が描かれていた。

 リサイクル・紙パック工作のシリーズの充実のため、切り替えるシーンを増やして、よりストーリー性を持たせたものに改良し、
名前を 『パッチリ・テレビ』 としました。

 余り多くすると上手く動作しませんが7シーン程までは可能で、複雑なストーリーも表現できます。
お勧めは4コマ程度で「起・承・転・決」がはっきりしたストーリーです。

 右の写真は「世界のかぶと虫」として、
子どもの好きな世界のかぶと虫を紹介するために作成したもので5シーンから成り立っています。
同時に7シーンのものも作りました。

材料と道具
☆ 材 料
 (1)紙パック…1000ミリリットル入りのもの
 (2)タコ糸、水糸
 (3)大きめのビーズかボタン…タコ糸の先に付ける
  上の写真ではムクロジの実と木の枝を輪切りにしたものを使用
 (4)絵を描くための紙と道具

☆ 道具・副資材
 (1)OLFAカッター…ホームセンターで売っている大型が使い易い
 (2)はさみ
 (3)千枚通し
 (4)定規、三角定規
 (5)油性のフェルトペン(細い線が描ける物)
 (6)サンドペーパー…#80〜120
 (7)木工ボンド
 (8)クリップか洗濯ばさみ
 (9)新聞紙、ダンボール
 (10)濡れタオル…手に付いた木工ボンドを拭き取る

パーツを作る
☆ 外枠を作る
  外枠の幅と奥行きは紙パックの大きさ(7cm)となります。
  高さは10〜12センチ程度が良いと思います。ここでは12センチのものを作ることにします。

 (1)新聞紙を丸めた団子を紙パックに詰め、口をクリップで閉じる
  ・先ず、正面(窓を作る側)を決める
   紙パックの継ぎ目が後ろになる様に正面を決める…継ぎ目が窓と反対側にする。
  ・新聞紙を半分に切って丸め団子を6個作る
   作業中に紙パックがつぶれないようにキッチリ詰める。
   紙パックの口をクリップで留める。


新聞紙で作った団子

団子を6個詰め口をクリップで留める

 (2)紙パックに製図する
  ・三角定規と物差しを使って正確に製図する。


紙パックに製図
クリックで拡大

 (3)折り線(黒い一点鎖線)を千枚通しでなぞる
  ・折り曲げやすくするための作業

 (4)カッターで窓を切り抜く
  ・窓枠の線(赤い線)をカッターで切り窓を作る
   定規を当てて線のうえを真っ直ぐに切る。

 (5)外枠を切り離す
  ・紙パックから外枠を切り離す
   窓の右側の赤い線に沿って、カッターで切る

 (6)底に凧糸を通す穴をあける
  ・必要な数だけ(必要なシーン数)、図では6個になっている。

 (7)新聞紙の団子を取り出す

 (8)折り曲げる部分を4つの部分に切り離す

 (9)ボンドで貼る
  ・貼り合せる部分にサンドペーパーをかける
  ・ボンドを塗り、貼り合せて、クリップで留める
  ・ボンドが乾くのを待つ


折り返して貼りクリップで固定

 (10)これで外枠は完成
  


完成した外枠

☆ 仕切り板を作る
 仕切り板は外枠の中にセットして、ディスプレーの場所と収納の場所を分けるために
 使います。
 また、仕切り板は最後のシーンの絵や文字を書き込む場所でもあります。

 (1)紙パックを開き、製図する
  ・物差しと三角定規を使って正確に製図する
  ・図の縦の2本の線は紙バックを折り曲げたところ


紙パックに製図
クリックで拡大

 (2)はさみで切る
  ・線に沿って真っ直ぐに切る
 (3)一点鎖線の上を千枚通しでなぞるように線を引き表面に傷を付ける
  ・上の凸の部分は仕切り板の補強の部分
  ・補強の部分を折りやすくするため傷を付ける

 (4)補強の部分を外側(印刷されている側)に折り曲げボンドで貼り合わせる
  ・張り合わせる部分にはサンドペーパーをかける
  ・ボンドで貼り、クリップで固定する

 (5)中央にラストシーンの絵を描く
  ・内側にサンドペーパーをかけ、コピー用紙を貼る
   紙パックには絵や文字を書きにくいので、コピー用紙などを貼る
  ・絵を描く
   下の写真を参考にしてください。 


  ☆ ディスプレー板を作る
  ディスプレーする絵を描く板を作ります。
  左右の対象性と寸法を正確に作ってください。
 (1)紙パックを開き、継ぎ目のある面を切り取る
 (2)高さ9.3センチ、幅6.8cmに切る…幅は紙パックの
  面一杯に切り取る
  幅が狭いと外枠との隙間が大きくなり、画面の切り替え
  の時真っ直ぐに動かず、収納場所に入らなくなります。
 (3)下側を両サイドに向け3ミリ斜め上にカットする
 (4)ディスプレーするシーンを描く
 (5)下側に中央に穴を開け、タコ糸を縛りつける…正確
  に中央に空け、糸も中央にセット
  タコ糸の長さは30センチほど、結び目にボンドを塗ると
  解け難くなります。
 

☆ 外枠の底にタコ糸を通す穴を開ける
  ディスプレー板を切り替えるためのタコ糸を通す穴を
  外枠の底に開けます。
  穴の位置はほぼ中央に一列に、ディスプレー版の
  収納場所の部分(仕切り板の後ろ)に空けます。


  

左側が窓の位置です ⇒

組み立てる
☆ 仕切り板を外枠に入れ、接着する
 (1)外枠の仕切り板を接着する面をサンドペーパーで
  軽く削る
 (2)仕切り板の左右の二つの面に木工ボンドを塗る

 (3)外枠に挿入する
  仕切り板を後ろ一杯の位置に固定し、デイスプレー板が
  入るスペースを作る。

 (4)洗濯ばさみで接着面を抑え、ボンドが固まるのを待つ
  気温や湿度に左右されますが、数時間はこのまま
  放置します。
 

☆ ディスプレー板を組み立てる
 (1)ディスプレーする順序に、底にあけた穴に糸を通す
 (2)デスプレーの場所に糸の結び目を下にして
  ディスプレー板を収容し、糸の先端にボタンを付ける

 (3)ディスプレー板の組み立て順序に注意して
  順序が正しくなければ糸が絡んでしまいます。

  一番前のディスプレイ板に繋がった糸は一番後ろの
  穴に、次のディスプレイ板に繋がった糸は
  その前の穴に通されていなければなりません。
  ☆ これで完成です、遊んでみよう
 (1)パッチリカメラを左手に持ち、窓を見る人に向ける
 (2)一番後ろの糸をさっと下に引きます
  写真では黒い木の実の付いた糸。
  「ポーン」と軽快な音がして瞬時に画面が切り
  替わります。

 (3)次の糸を引くと同じように画面が切り替わります

 (4)ディスプレイ板が上手く収容されるように、
  画面をやや上に向けで操作し、ディスプレー板が
  収納場所の後ろ側にきっちり収まったことを
  確認して次の操作をしましょう。

  写真では最初に引く糸に黒いムクロジの実、
  次のボタンからは引く順序を書き入れました。

動作原理とトラブル対策
  簡単な動作原理とトラブル対策をまとめました。

☆ 動作原理
  糸を引くとそれに結ばれているディスプレイ板が上に引き上げられます。
  ディスプレイ板の下端が仕切り板の高さまで上がると、仕切り板を越え収納場所に移動
  します。
  ここからは下に引き降ろされ外枠の底にぶつかり「ポン」と音を発します。
  この音が紙パックの中で共鳴し軽快な音となって伝わります。

  ある程度以上の速さで糸を引くと、ディスプレイ板の移動が目に映らず、画面が瞬時に切り
  替わったと感じます。
  同時に底に当たって発する「ポン」と軽快な音も錯覚させる効果を発揮します。

☆ トラブル対策
 (1)糸が絡んで動かない
  ディスプレイ板の順序と糸を通している穴の位置を確認してください。

 (2)ディスプレイ板が斜めになり収納場所に入らない
  ・糸の引く早さが遅く、ディスプレイ板が横に倒れてしまう。
   ⇒糸を早く引いてください。
  ・早く引いても収納場所に入らない。
   ⇒パッチリテレビを垂直に支えていない
   ⇒糸が真ん中に結ばれていない
   ⇒ディスプレイ板が左右対称になっていない
   ⇒外枠とディスプレイ板の横の間隔が2ミリより広い
    外箱の内側に紙パックを貼りつけ間隔を狭める
    ティスプレイ板を大きなものに作り変える

紙パック工作のポイントと道具

  紙パック工作のポイントと道具はこちらのページをご覧下さい。

記事の無断転載お断り、初版掲載 2005年8月


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