紙パック工作のポイント


 牛乳パックなどの紙パックを使ったリサイクル工作のポイントと道具や副資材などを解説したページです。
正しい方法、適切な工具や副資材を選択することが良い作品が完成する近道です。
不適切な工具や自己流で取り組み、良い作品が出来ないと工作への興味が失われてしまいます。
いずれも近くのホームセンターで入手可能で廉価なものです。

 私の体験から見つけた手法と使用している道具類を紹介します。皆さんの参考になりましたら嬉しく思います。
また、工作の技法、便利な道具、体験・感想等が有りましたらお知らせ下さい。

切り取り線を描く
☆ 紙パックの特徴
 @防水加工のコーティングがされている

  紙は水に弱いのでこのままでは容器として使えません。そこでプラスチックをコーティング
 して耐水性を持たせています。

 A強度がある
  長い繊維のパルプが使われ、厚みもあり紙を使った工作に使い易い材料です。

☆ 鉛筆でなく千枚通しを使って線を引く
  表面がコーティングされているため、鉛筆や身近にある水性のボールペンでは線を引き難く
 なっています。
 油性インクのフェルトペンやプラスチック・ガラスの表面にも書けるポールペンが売られて
 いますが、これ等の用具では線が太くなってしまいます。
 切り取り線が太くなると、正確な寸法に切り難く、作品の切り口に線が残り仕上がりが
 悪くなります。

  通常の筆記用具でなく、紙パックの工作では千枚通しを使うのが最適です。
 定規を使って切り取り線の所定の寸法の場所に千枚通しで印をつけます。
 この印を結んで線を引きます。(とがった先端で引っかき傷を付ける)

  千枚通しは先端がとがっているので正確な印が付けられ、細い線が引けるので寸法精度
 が高くなります。
 その上、硬い金属で出来ていますのでいつもシャープな状態が保てます。

長く愛用している 千枚通し

  カッターで切る時は印を付けるだけで線を引く必要はありません。

☆ 正確な寸法で線を引く
 @メモリが細く見やすい定規を選ぶ
  ステンレス製の定規が使い易い。
 プラスチック製はシャープな目盛りの物がなく、傷が付き易いので避けましょう。
 カッターで切断する時ガイドに使用するが誤ってカッターの刃で削ってしまう事があります。
 長さは30センチと10〜15センチの2本用意すると作業しやすい。

 A真上から見て採寸する

 B鉛筆(1千枚通し)は直角に保つ

☆ 曲尺(かねじゃく)・スコヤを使って直角に線を引く
  多くの作品は直線とそれに交わる直線で構成されます。
 ここでは直角を正確に、かつ容易に引く方法について説明します。多くの方が三角定規を
 思い浮かべることでしょう。
 確かに直角を作ることが出来ますが、私は勧めません。

  曲尺やスコヤを使えば簡単に、かつ正確な直角が描けるからです。
 大工さんや木工所では三角定規は使っていません。高価なものではなく、ホームセンターで
 売っていますので揃えて下さい。

曲尺(かねじゃく)・スコヤ・定規

折れ線を引く
☆ 紙パックを正確に折る
  紙を使った工作では折り曲げる作業が沢山あります。
 ところが、紙パックは厚みがあるので正確な寸法に折り曲げることが難しいのです。
 良い作品作りには正確な寸法できちんと折ることが不可欠です。

  千枚通しで山折側に線を引く(浅い傷を付ける)ことにより簡単に、しかも寸法精度が高い
 折れ目が出来ます。

紙パックを切る
☆ 直線はカッター(OLFA)で切る
  寸法の印に金属製の定規を当て、定規に合わせてカッターを引いて切ります。
 一度に切ろうと強く力を加えずに軽い力で何度もカッターを引いて切ります。

  カッターに意識を集中するのでなく、左手で抑えた定規に意識を(当然力も左手にかかる)
 置いてカッターを操作するとシャープで正確に切れます。
 カッターに意識が行くと定規を押さえる手がおろそかになり、定規が動いてしまうのです。

☆ 大は小を兼ねる
OLFAとSnap-Off Blade
  工作教室で“カッターを持参下さい”とお願いすると90%
 は小型のものが揃ってしまう。
 家庭にある多くは小型のカッターであると思われます。
 新聞の切抜きなどの薄い紙を切るのなら小型でも使え
 ますが、少し厚手の紙になると使い難くなります。

  大型のものを用意するといずれの作業でも使えるし、
 価格も少し高いだけです。
 この際、大型のカッターを用意して下さい。

☆ カッターの刃は折ってシャープな状態を保つ
  カッター(OLFA)は日本人の発明で全世界で使われて
 います。
 商品名のOLFAは“折る刃”から付けられとの事です。
 刃を折ることでシャープさを保つ様に工夫された
 カッターです。

  カッターの刃がシャープで切れ味が良いと、作業が楽で作品の仕上がりも良く楽しい工作と
 なります。
 工作に取り掛かるとき、先ず刃を折ることから始めましょう。

☆ 刃を折る方法は
  一般にはペンチで刃に付けられている折線に合わせて挟んで折ります。
 小型で先が細くなった「ラジオペンチ」といわれる電気工作用のものが良いでしょう。
 お持ちでなかったら、ペンチは汎用の工具で利用範囲が広いので購入を勧めます。

  折った刃は危険物に分別して出してください。(お住まいの市町村により異なる)
 尚、カッターのメーカーから専用の『Snap-Off Blade』として折った刃の収納ケースを併せ
 持った道具も売られています。

40年も使っている ラジオペンチ

☆ 下敷きはダンボール
  カッターを使うと刃が貫通し机を傷つけてしまいますので、下敷きを用意します。
 専用の下敷きも売っていますが、もったいないので果物が入っていた少し厚手のダンボール
 をスーパーで貰い受けて使います。
 切り傷が沢山付いたダンボールは資源ごみとしてリサイクルに出しましょう。

穴を開ける
☆ 小さな穴
  直径3ミリ程度までの穴あけは千枚通しであけるのが簡単です。
 作業は簡単ですが反対側にバリが出ますので、表側からあけるのが良いでしょう。

☆ 大きめの穴
  あける穴に合わせてポンチを用意して開けます。
 穴の大きさの種類だけポンチをそろえる必要がありますので、手持ちのポンチの大きさを考慮
 したデザインをするなどの工夫をしましょう。

貼り合わせる
  接着剤で張り合わせる方法とホチキスなどで留める方法があります。
 接着剤を塗る前にサンドペーパー(紙やすり)をかけておけば確実に接着できます。

  いずれの接着剤も固まるのに時間がかかります。
 工作教室などでは接着剤が固まるまで待つことが難しいので、ホチキスやガチャックなどで
 機械的に留める方法があります。
 また、接着剤が固まるまででホチキスなどで仮留めし、後ほどホチキスの針をはずすなどの
 方法もあります。

☆ ペットボトルや紙パック用の接着剤
  ペットボトルや紙パックを張り合わせる専用の接着剤として売られています。
 比較的固まるのが早く接着の強度が短時間に出るのが良い点です。
 しかし、合成ゴム系の接着剤で有機溶剤を含んでいるので、臭いや健康が気になります。
 また、粘り気が強いので手や衣服に付いた接着剤を落し難いなど欠点があります。

☆ 木工用ボンドで貼る
  私は安価で利用範囲が広いので木工用ボンドを使っています。
 固化するのに時間がかかりますが、水性の接着剤なので有機溶剤を吸い込む心配がなく、
 手や下敷きに付いても濡れ雑巾でふき取ることが出来ます。

  表面がプラスチックでコーティングされていますので木工ボンドでは接着が出来ません。
 貼り合わせる面をサンドペーパー(#100)で傷をつけコーティングを剥がします。
 両方の面にボンドをすり込む様(軟膏を塗る要領)に薄く塗り少し時間を置き、接着剤の
 粘り気が強くなってから貼り合わせます。

  ボンドは指先で塗ります。
 手元に濡れ雑巾を用意し、指に付いたりはみ出たボンドをこまめに拭き取り、不要な場所に
 付いて汚れないようにします。

☆ 洗濯ばさみで固定する
  接着剤が固まるまで紙パックのそり、ずれなどが生じないように固定します。
 木工用のクランプが種々売られていますが、紙パックでは洗濯ばさみで十分です。
 洗濯ばさみも種々な形のものが有るので接着場所の形状に合わせて選択します。

☆ 薄手の紙を貼る
  絵や文字をパソコンで作りプリントした用紙を紙パックに貼る場合は木工ボンドを
 紙パック側に均一に塗り、薄手の紙を貼り付けると皺が出来ずに貼り合わせられます。
 薄手の紙にボンドをつけると伸びたり、軟らかくなり上手く貼れません。

絵や文字を描く
☆ 手書きで描く
  油性のフェルトペンやインクを工夫したポールペンを使うのが良いでしょう。
 水性のフェルトペンではインクが乗りにくかったり、乾燥した後もインクが落ちやすいようです。
 ボールペンはPILOT社製の「PERMA BALL」を使っています。
 これはガラスの表面にも書けインクが落ちない優れもので、細字、太字、極太用があり、
 各色揃っています。

☆ パソコンで描く
  パソコンのお絵かき機能で楽しい絵が描け、文字の配列やフォントなども種々使えます。
 また、デジカメで撮った写真、イラスト集やインターネットで公開され(利用が許可されている)
 ている画像等を使うことが出来ます。
 スキャナーがあれば写真や手書きのイラストや絵を取り込んで加工も出来、楽しいストーリー
 を作ることが出来ます。

  また、手書きでは同じものが作り難いですが、パソコンならば何個でも簡単に同じものを
 作ることが出来ます。


  

記事の無断転載お断り、初版掲載 2005年8月

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