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ツマアカスズメバチ  Vespa velutina Lepeletier, 1836


体長は女王バチ25〜30mm,働きバチ17〜25mm,オスバチ20〜28mm前後で,キイロスズメバチと同じくらいの大きさです.

営巣場所は極めて高所の木の枝や建物の外壁などの開放的な場所です.本種は働きバチの羽化後営巣空間が狭くなると、より広い場所を求めて引っ越しする性質があります.初期の巣は,藪や木の茂みなどの外部から巣を隠しやすい場所や,崖の割れ目や地中などの閉鎖的な場所に創設され,7月〜8月に新しい営巣場所に引っ越します.

巣は大きなものでは直径50cmを越え,巣盤数は5〜7層,育房数は10,000房以上になります.活動期間は極めて長く,越冬を終えた女王バチは4月中旬頃には営巣を開始し,巣は12月一杯まで活動します.働きバチは5月下旬より羽化し,活動の最盛期には1000頭を越えます.オスバチ,新女王バチは9〜11月に羽化します.

幼虫の餌としてはハチ,ハエ,アブなど各種の小昆虫類やクモなどを狩る何でも屋です.現時点では刺傷被害の発生は少ないですが,攻撃性,威嚇性ともに強く,今後市街地に侵入した場合には注意が必要です.

2012年に,長崎県対馬で初めて成虫が捕獲され,翌2013年には多数の巣が見つかり駆除されました.2014年以降着実に分布を拡げ,定着したものと考えられます.一度侵入を許すと,営巣規模が大きく,高所に営巣するため駆除も難しいことから根絶は困難です.環境省は2015年1月9日,外来生物法にもとづく特定外来生物に指定しました.

その後の発見状況は,2015年8月に北九州市門司区で営巣の確認.2016年5月に,宮崎県日南市油津港の周辺に設置されたトラップで,女王バチ1頭を捕獲.2017年9月に,長崎県壱岐市で働き蜂が見つかり、その後の調査で11月に営巣を確認.2018年10月に大分市内で営巣を確認.2019年11月に,山口県防府市内で営巣を確認後,対馬以外では確認されていませんでしたが,2022年に福岡市(5〜9月)と,隣接する糟屋郡久山町(5〜9月),糟屋郡篠栗町(8〜9月)で相次いで成虫が確認され,福岡県内に営巣している可能性が高くなりました.

対馬で発見以降の詳しい経過は,”スズメバチトピックス”を参考にしてください.

高所の枝に作られた巣 サザンカを訪れた働きバチ
高所の枝に作られた巣 朽ち木内で越冬する新女王バチ 新女王バチ 働きバチ


※ 新女王バチ以外の画像は全てA氏から提供を受けた.