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モンスズメバチ  Vespa crabro flavofasciata Cameron, 1903


体長は女王バチ28〜30mm,働きバチ,オスバチとも21〜28mmです.一般に都市環境下では減少傾向にありますが,名古屋市では普通に見られます.東部丘陵地を中心に生息していますが,キイロスズメバチ以上に限られた地域に集中する傾向があります.

営巣場所は樹洞,天井裏,壁間などの閉鎖的な場所ですが,稀に軒下などにも営巣します.また鳥の巣箱に営巣する例もあります.天井裏が最も多く,その他では壁の間や戸袋などです.営巣場所が狭くなるとキイロと同じように途中で引っ越しすることがあります.巣は鐘状で底が抜けており,巣盤数は4〜12層,育房数は4,000房程度になります.

本種は巣への出入り口付近に目張りをする習性があり,同じような場所に営巣するキイロスズメバチやヒメスズメバチなどと区別できます.また天井裏に営巣した場合,巣の下に餌の残骸や死骸などを捨てるため天井にシミができて発見されることがあります.以前駆除したことのある場所に再度営巣する傾向が見られ,数年毎に駆除を実施したケースも少なくありません.

女王バチは5月中旬に営巣を開始します.働きバチは6月から羽化し,9月〜10月には400頭程度になります.オスバチ,新女王バチyとも9月〜10月に羽化します.

幼虫の餌として主に各種のセミを狩る他,バッタやトンボなども狩ります.攻撃性,威嚇性はともに強く,働きバチは日没後も数時間活動します.


名古屋市における
最大巣の記録
巣盤数 11層 2103年10月3日(天白区)
育房数 4708房 2103年10月8日(千種区)
成虫数 761頭 2103年10月3日(天白区)

墓石の中に作られた営巣初期の巣 天井裏に作られた引越後の巣(外皮はまだできていない) サクラの樹洞に作られた巣(出入り口付近の様子) 天井裏にできた巣(駆除後に天井をはがした状態)
巣の直下の天井にできた大きなシミ アブラゼミを狩る働きバチ クモを狩る働き蜂 アベマキの樹液に飛来した働きバチ

旧巣の再利用

 右の写真はキイロスズメバチの古巣をモンスズメバチが再利用した珍しい例です.鳥に壊され一部破損していた巣を巣作りの足場として利用していますが,巣そのものを再利用している訳ではありません.(天白区で撮影)