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世界のスズメバチ事情

世界のスズメバチ事情日本のスズメバチ事情

スズメバチの仲間は世界で4属67種が知られています.内訳はスズメバチ属22種,クロスズメバチ属23種,ホオナガスズメバチ属19種,ヤミスズメバチ属3種となっています.

スズメバチはローラシア大陸(後にユーラシア大陸と北アメリカ大陸に分かれる)で誕生したと考えられています.そのため,南米大陸,アフリカ大陸南部およびオーストラリア・ニュージーランドには生息していませんでしたが,現在では人為的に導入されたり侵入した個体が各地に定着し分布を拡げています.

スズメバチ属の分布の中心は中国南部(22種が生息)からヒマラヤ東部(17種が生息)にかけてで,大型のスズメバチ属 Vespa が多数を占めています.ユーラシア大陸北部にはモンスズメバチ Vespa crabro がヨーロッパまで広範囲に生息しています.この種は森林害虫駆除の目的でアメリカに導入され,北西部を中心に分布しています.

また,オリエントスズメバチ Vespa orientalis がインドから地中海沿岸地方にかけて分布し,唯一アフリカ大陸に生息する種となっています.最近になり日本への侵入が話題となっているツマアカスズメバチ Vespa velutina が物資の移動に伴ってフランス国内に侵入し,その後ヨーロッパ各地へ急速に分布を拡大しています.

ヨーロッパやアメリカなどの都市部で多発し問題となっているのは,これより小型のクロスズメバチ属 Vespula とホオナガスズメバチ属 Dolichovespula の仲間で,中でもヨーロッパクロスズメバチ Vespula germanica とキオビクロスズバチVespula vlgaris の2種類が問題となっています.アメリカではヨーロッパから侵入したヨーロッパクロスズメバチが,人家に営巣することや,幼虫の餌を極めて高い割合で人間の食物に依存することから,刺傷被害が多発し大きな問題となっています.

オーストラリアやニュージーランドでは,ヨーロッパクロスズメバチやキオビクロスズメバチが,原産地のヨーロッパとは異なり,多数の女王バチからなる多年生の巣を作るようになりました.最大規模の巣では巣盤数180段,成虫数300万頭〜400万頭という信じられないくらいの巨大な巣を作り大きな問題となっています.

また,スズメバチが生息していなかったハワイでは,北米大陸から侵入した Vespula pensylvanica が巨大な巣を作り,刺傷被害も多発して大きな問題となっています.これらの種は黄色と黒の縞模様を持つことからイエロージャケット(yellowjackets)と呼ばれており,分布の中心はスズメバチ属に比べて北方に偏っています.

その他,東南アジア(タイ,ベトナム,マレーシア,インドネシアなど)には夜行性のヤミスズメバチ属 Provespa の仲間が分布しています.この仲間は前記の3属とは異なり,ミツバチのように分蜂で巣を創設することが知られています.


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Bug Guide(http://bugguide.net/node/view/385)