かつて、まだプレステ2が出たばかりで、 DVDプレーヤの価格破壊も起きていなかったころに DVDプレーヤ選択ガイド なる駄文を書いたことがありました。 中国製のリージョンフリープレーヤはありましたが、 小さな代理店が輸入代行みたいなことして売っていたような印象でした。 どうせインド映画はリージョンフリーだし、そんなのいらんからね、 などと思っていました。が、そうも言ってられない出来事がおきました。 そう、「Lagaan」と「Asoka」のDVDの発売です。 最近はDVDドライブのついたPCが当たり前の世の中なので、 こんなことで騒ぐことはないのですが、 古いPCを使っている手前、「やっぱりプレーヤ&TVの魅力は捨てがたい」 と強がりを言って話をすすめます。
私はSONY製の第二世代くらいのプレーヤ(DVP-M30)を使いつづけていました。 コンポーネント5.1デコーダ出力がないとか、 コンポーネント出力がないとか言っても、 インド映画を2chステレオで観るには実用上何も問題はありませんでした。 それに旧SONYの大きいリモコンは手にしっくりと馴染んでいたし、 層切り替えの画面ストップは全く無く、 いつ層が変わったのか全くわからないという長所があったこと、 VCD再生性能も比較的よかったせいもあります。 また、くちほたディクテーションでリピート操作を繰り返しても 元気に動きつづけて故障しなかったという、 SONY君としてはなかなか優秀な奴でした。 難点といえばミニコンサイズ(死語?)で作っているせいか、 ファンで強制空冷しているという、およそオーディオ機器にあるまじきもので、 静かなシーンとかで動作音が気になることがありました。 さて、DV4200はこいつを淘汰することになるのか? 結果はいかに?
おそらく日本のWEB上でのリージョンフリー(RF)情報の多くは DVD Rupublic (の掲示板)をオリジナル情報としているように思います。 そこからの情報でサムソン製プレーヤはAIWAリモコンでRF可ということ、 MarantzのDV4200は付属リモコンだけでRF可でPAL再生も可、 ということは知っていました。 でも中国製プレーヤの実力はどんなもんか、買うほどの価値はあるか、 怪しい電波は出さないだろうかとしばし悩みました。 「パソコン買えば済む話やん」とか、 「いーや、TV画面で早く観たいんや」とか。 DDLJといっしょにLagaanを買っていたし、 おまけにいきおいで英国サイトからAsokaも買っていたので気持ちは早るばかりでした。
念のため、FAQ機とも言えるMarantzのDV4200についてネット上で情報を集めてみました。
ということでした。私はMDラジカセとか持っていなくてSONY君から光出力で MDウォークマンにコピーすることが多かったので、 インデックスがつかないというのはかなりマイナスです。 でもSONY君を手放さないのであれば問題にはなりません。 うーん、悩んでもしかた無い。サムソン君はPAL再生できないし。 観たいんだったら買ってしまえ。
ネット上では15,800円が最安値のようでしたが、 もよりのヨドバシカメラでは19,800円とかなり高めでした。 でもポイントもあったし、ネットで頼むと受け取 りが大変だしと思い、勢いで買ってしまいました。 ちなみに「Asoka」のDVDを店に持っていき再生してみましたが、 Victorの「XV-P300」「XV-A500」などでNTSC出力を確認しました。
さっそく持ち帰り、付属のケーブルでTVの前面につないで再生してみました。 「Asoka」が問題なく再生できます。おぉっ。素晴らしい。 そして、リモコンで魔法のコードを。
これだけでリージョンフリーになります。 一度も再生されることなく眠っていた「Fire」、 そして目的の「Lagaan」が再生できました。 おぉっ。素晴らしい。 こんな簡単に再生できちゃうとリージョンって何よ、と思ってしまいます。 アホらしい。
再生できたのはいいけれど、どうも画質が汚い。手ごろなところでDEIの「Dil Se」を再生してみました。SONY君にくらべると全体的に明るくてコントラストが 高いけれど、字幕は滲むし、髪の毛なんかがつぶれている。 うーん、こんなものか。これが中国製、1万円台プレーヤの実力か、 とあきらめかけました。
翌日、友人に聞くとコンポジットケーブル(黄色いピンプラグ) 接続とSケーブル接続は全然画像が違うというので、 さっそくSケーブル接続を試してみました。おぉ、変わった。 これならS君と同じくらいか、でもちょっと字幕のにじみとかあったので、 TV側の画質をいじくって少し暗めにしたら、 文字のにじみもなくなりばっちりになりました。 で、後日、欲をだして、コンポーネントケーブルを買ってみました。 これでひとまず満足です。
私のTVはSONYの21型で、4:3ながらワイド再生にも対応しています。 上下の黒幕を除いた部分に走査線が集中するのでアナモルフィックDVDだと それなりにきれいです。 画質をうんぬん言えるような環境ではないですが、 賃貸住まいでは贅沢も言えないのでこれでガマンです。 比較対象はDEI製の「Hum Dil De Chuke Sanam」。画質、音質ともに インド映画DVDの中ではトップレベルの質(字幕のぞく)かと思います。 中でも私の好きなタイトル曲「Hum Dil De Chuke Sanam♪」、 ラスト間近のミュージカルシーンで画像を比較してみました。
最初に鏡台に向かうアイシュの赤い画面が滲んでみえます。 赤に弱いとはいえ汚いです。輪郭がガタガタだし。 サルマンとお母さんが花屋にいる場面、たくさんの花がつぶれています。 紺に水玉のおばさんの服も悲劇的ですし、 背後にある、ガラスにかかれた文字もはっきりしません。
赤いアイシュがきれいです。髪の毛もさらりときれい。 アジャイのヒゲの質感もわかります。 花屋の場面では花もはっきりしていますし、 水玉おばさんもガラスにかかれた文字も読み取れます。
Sケーブルと同様、にじみがありません。花屋の場面の合間に入る石畳もくっきり、 鉄橋の質感もあるような。 でもSケーブルと大きな差は感じられませんでした。
理屈ではわかっていても実際にケーブルを変えてみると、驚きでした。 少なくとも同一機種では歴然とした差がでました。 とはいえ、思い入れがあるせいかもしれませんが、 コンポーネント出力端子のないSONY君のS出力もなかなきれいでした。 SONY君は色が落ち着いているというか、 デジタルくささが少なくて滑らかというか、なんとなくきれいにみえてしまいます。 DV4200は暗いところが潰れてしまうような気がしなくもないです。 なお、音に関しては大きな差は感じられませんでした。
このDV4200、電源ボタン押してから起動まで時間がかかるなど反応はわるいし、 本体サイズももっと小さくしてほしいけど、 「Lagaan」も問題無く観れたし、「Asoka」も観れたし、とりあえずは満足しました。 そういえばVCD再生が弱いとどこかに書いてあったような気もしますが、 手持ちの数少ないVCDは大丈夫そうでした。
「Lagaan」おもしろかったです。 本棚にあった 「ワールドカルチャーガイド9・インド(トラベルジャーナル社)」 の「クリケットのルールはこうなっている(p195)」が役立ちました。 まだルールがよくわかっていないし、 ほんもののクリケットの試合も見てみたい気分です。 最近ご無沙汰の綱島「イムラン」にはクリケット試合のビデオが 映画と同じようにレンタルされていたので一度借りてみようかな、と思いました。