この7話では、合意ではないセックスシーンが出てきます。
苦手な方は読まないようにして下さい。
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月夜倶楽部らしくない展開ではありますが、このシーンはどうしても必要だと判断して書きました。
言い寄ってくる女性はたくさんいたし、ヒデトが声をかければ、どんな女もついてきた。
女性経験だけは豊富だったが、男を抱いたことはなかった。
けれどこういう業界だっただけに、男から誘われたことはあったし、知識は豊富なほうだろう。
女性に不自由しなかったので、男性を抱きたいと思ったことはなかったが、とてもいいと詳しく教えてくれる友人もいた。
けれどこの少年がそんなことを知っているとは思えなかった。女性経験があるのかさえ、疑わしいとさえ感じられる。
さすがに逃げ出すだろう。ヒデトはそう思っていた。
シュウという少年は、ヒデトみたいな人間から見れば、とても上品に育てられたとわかる。
住む環境が違っていたのだとわかる。周りの空気がまるで違うのだ。
人を疑うことを知らないような純粋な瞳が、シュウという少年そのもののように見えた。
自分とは棲む水が違う。
それがヒデトを、落ちぶれたヒデトを苛立たせていた。
なのに、背中を強く押し付けても、シュウは逃げ出す気配を見せなかった。身体を硬くしているものの、抵抗する様子はみられない。
ヒデトはますますシュウがわからなくなった。それはすぐに苛立ちや、焦り、怒りへと様々な感情に変化し続ける。
「お前、わかっているのか? これから俺に、女のように抱かれるんだぞ?」
シュウの背中を膝で押さえつけ、まだしっとり濡れている髪を掴んで顎を上げさせた。
「助けてって言っても、もうゆるさねーぞ! えっ! わかってんのか!」
耳元で叫んだ。
引っ張られた髪が痛むのか、さすがに無表情な少年も、とうとう綺麗な顔を歪ませている。
長い指がシーツを掴んで引き寄せている。
「助けは呼ばない……。ここからは……出られない」
シュウの言葉にカッとなった。
助けを呼べと言ったのは、自分がここから出して欲しいからではなかった。踏み止まりたい自分がいたからだ。
この少年を傷つけたら、もうどこにもいけないような気がしていたからだ。
まだ「ヒデト」でありたいと思う自分がいた。
そして心のどこかで、「ヒデト」である自分をシュウが大切に思ってくれていると、「ヒデト」を理解してくれていると信じたかった。
迷わずに左手に箸を持たせてくれた。
ギターを右手で弾くヒデトが左利きであることを知る人は少ない。ファンクラブでも公表していないのだ。
そしてファンたちは、ヒデトの顔さえ見れていればいいのだ。歌も、ギターも、誰も聞いていない。
コンサートでは、ヒデトの歌より、歓声の方が大きい。
だからヒデトの本質を知っているかもしれないこの少年に、無意識のうちに何かを期待していたヒデトは、そんな自分にはじめて気づき、そしてすぐに裏切られたことを悟った。
……誰もわかってくれない。
もう、いい……。
真っ直ぐな背筋の窪みに舌を這わせた。
愛撫などではなかった。こうすれば嫌がるだろうと思ったからだ。
こいつには感情がないんだ。ヒデトはそう思うことにした。
シュウに期待することも、自分がまだ立ち直れるかもという馬鹿な妄想も捨てることにした。
ここに閉じ込められるなら、その間はここの法律は自分だと決めた。なら、何をしても許される。
滑らかな肌には、傷一つなかった。
さすがに怯えているのか、ただ寒いからだけなのか、シュウの身体はわずかに震えている。その震えがどちらなのか考えることは止めた。
もうどちらでもいい。
白い肌からは石鹸の清潔な香りがした。髪からはシャンプーの匂い。
すべてが清潔にできている。その清潔さが憎かった。
自分にはもう二度と得られないものだから。
シュウの手はきつくシーツを握り締めたままだった。うつ伏せているので彼が興奮しているのかはわからなかった。それを確かめるつもりもヒデトにはなかった。
無理矢理に足を広げさせる。
動こうとしない身体の足を広げさせるのは重労働だった。
抵抗もないかわりに、ヒデトの自由にもさせない。本気で暴れられれば、体格差はあるものの、酒びたりの今のヒデトでは、到底御しきれなかっただろう。
前戯などするつもりもなかったので、ヒデトは自分を入れる場所を指先で確かめた。
その場所は固く狭く、ヒデトを拒否していた。もちろん女性のように濡れることもない。
そんなつもりもなかったので、それなりの用意ももちろんない。
ちっと舌打ちをして、ヒデトは自分の昂まりを取り出した。
閉じ込められてからの禁欲、そこに見せ付けられたシュウの美しい裸体。ヒデトは既に興奮していたのだ。
片手でシュウの背中を押さえつけて、残った手でそれを擦る。
「うっ……」
久しぶりのせいか、目の前の白い背中があまりにも綺麗なせいか、ヒデトはすぐに弾けた。
白い飛沫がシュウの双丘に飛び散る。
シュウの身体がびくりと震えた。
それを無視して、ヒデトは飛沫を秘部に塗りこめる。
ぬらりと濡れた小さな穴に、ヒデトは指先を潜らせる。
シュウの身体はさらに硬くなり、震えは大きくなった。
「今更逃げられねーぞ」
ヒデトは指を突き入れた。
「……ぐっ」
シュウの背中が反り返る。
吐精した液体の滑りを借りて指を出し入れする。
シュウの指がシーツを握り締める。
綺麗な指だった。指の関節がないのかと思うほど真っ直ぐにすらりと伸びた指。指先は爪が短く切り揃えられている。
こんなに綺麗な手なのに、指先だけが伸びるのを無理矢理やめさせられたように、平らな形をしているのが惜しく感じられる。
どこかで見たような手だ……とイメージが浮かびかけて、ヒデトは頭を振った。
どうでもいい。これからこの綺麗な身体を壊すんだ。
小さな穴に潜り込ませた指を二本にするので精一杯だった。もしかしたら本当に壊してしまうかもしれない。
一瞬の躊躇いの後、ヒデトは無理にも笑って、猛った塊を押し付けた。シュウの身体がよりいっそう硬くなる。
「力を抜けよ。痛いのはお前だぞ」
ぐっと押し付ける。
ブルブルと震えるシュウの肩。ヒデトは力を抜けよとさらに言って、その肩を叩いた。
さらにシーツを手繰り寄せて、シュウは必死に堪えていた。
湿った髪の隙間からうなじが現われる。男のものとは思えないほど頼りなく、細く、白かった。
その白さに目が眩む。
あとはもう力任せに叩き込んだ。
「…………っぁ!」
悲鳴にならない声をシュウが発した。
その声を聞いてヒデトはにやりと笑う。
締め付けるきつさは、奥まで無理矢理進むと熱くて滑りがよくなった。きっと内部のどこかが切れたのだろう。
それでも止めることはできなかった。熱い締め付けに夢中になっていた。
何も考えられず、自分の快楽を追っていた。
夢中で腰を振り、登りつめた果てに、ヒデトはシュウの体内に射精していた。
快感にぶるりと腰が震えた。
乱暴に引き抜き、ベッドに倒れこむ。息が荒くなっていたが、そのまま眠りたかった。何もかも、……自分が何をしたのかも、忘れて……。
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