その九 七夕の歌

初尾花 花に見むとし 天の川 隔りにけらし 年の緒長く
巻第二十 4308 大伴家持
現在語訳

初秋に始めて咲く長い尾花ではないが、あの女性(織姫)に逢おうとするが、天の川が隔てることだなあ、長い年月を……。

解説
 大伴家持は万葉の撰者とされている人で、載っている和歌も一番多い。(最後の方の巻は彼の歌日記化している)その父の旅人と共同撰者という説が有力視されている。
 ただ、彼以降大伴氏は没落した。長岡良子先生の漫画のように、藤原氏が彼らに私怨でもあったのか?遷都に反対だったのか?没落の原因は解らない。
 取り上げた歌は七夕の歌八首の中の三番目。どうせなら七首にすればいいのに、と凡人の私は思ったが……。
 七夕は新暦なら8月下旬。初秋の歌である。丁度台風が来たりして星が見えなかった時が多かったのだろう。雨が降れば天の川は増水して恋人たちは逢えない。新暦でも梅雨時である。
花を織姫に例えている。プレイボーイだった家持らしい歌である。(さくらんぼに言わせて見れば気障か?)

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