その六 磐姫皇后の歌

いはね   ま

巻第二 86 磐姫皇后

現代語訳
 そんなに恋いこがれてばかりいないで、高い山の岩を枕にして死んでしまえばどんなに良いことでしょう。

解説
 この磐姫皇后(いわのひめのおおきさき)は仁徳天皇の皇后で大変な焼き餅焼きの悪妻として知られる人。しかし、ここでは意外と好意的に取り上げられている。
 万葉集成立の時代より460年もの昔の歌である。磐姫皇后自体が伝説上の人であるから、伝承歌だろう。しかし、女心を歌った歌
として今に通じるような歌である。
 これを詠んだ人は、一途で純粋な人だったかもしれない。百人一首の有名な歌「玉の緒よ絶えなば絶えね……」に通じるものがある。

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