その五 冬の歌

巻第十 2322 詠み人知らず
現代語訳
 そんなにたくさんは降らなかった雪なのに、
大空をみるとひどく曇っている事だ。
解説
 冬、太平洋側の関東より西は、雪はそれほ
ど積もらない。しかし、降っている時は、かなり
雲は低く立ちこめて暗くなっている。昔も今も、
それは変わらない。
 しかし、昔の着物は大袖と呼ばれる、袂の所
が今のように袋状ではなく、袖のところがしまっ
ていなかった。庶民に至っては貫頭衣の重ね着
が多かった。夏はともかく、さぞ冬は寒かっただ
ろうと思われる。今の小袖(振り袖も小袖のうち)
が現れるまでのおよそ500年は、寒い思いをし
た事だったであろう。

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