その拾壱 秋の雑歌

里もけに 霜は置くらし 高松の 野山つかさの 色づく見れば
巻第十 2203 読み人知らず
現在語訳

里にもだんだんひどく霜が降りる事だろう。
高松の野山の頂きの木々が紅葉に色づくのを見れぱ……

解説
 これも「高松」とはどこだか不明。ただ、ふもとの木ではなく、頂きの木々の色で霜の降りる時期を判断している事から、里もかなり標高が高い所にある山里かもしれない。この辺も山頂の紅葉が散り始めると霜が降り、朝晩、霧に覆われる日が多くなる。秋、というより冬の到来を歌った歌である。紅葉という言葉をあえて使わない所がいい。

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