ハード
まず筐体です。 カタログスペックでは 245mm(幅)×131mm(奥行き)×28.8mm(厚さ)と
なっています。外観も色以外はほぼ同じ。 並べてみても従来機と全と言って良いほど変
わっていませんね(写真1)。
写真1 従来機と比較(左:MC/R550,右:MC/R520)
重さも 約750グラムと以前の機種から若干軽くなった程度。これはちょっと残念。小型軽
量化熱烈希望はモバイラーの永遠の願いですがそろそろ限界なんでしょうか(苦笑)。
ちなみにバッテリー持続時間は最大13.5時間となっています。前の世代のもばや、今長
時間駆動で話題のCrusoe搭載LaVieの11時間を上回っています。使い方によっては一
晩どころか2〜3日は充電しなくても済んでしまうこの長さは普通のノートPCには真似の
出来ない芸当です。
キーボードの大きさですが、 これも以前の機種と似たようなものですので、
指の太い私
にとっては打ちやすい大きさです。R550 が発表されたのがNTT
DoCoMo の Sigmarion
発売直後で、某会議室などでは「やっぱり大きすぎる
」という非難を受けていました。
ですが指が疲れることなくタイピング出来るので自分にとってはこの大きさがとても有り
難いのです。キーボードにこだわる貴方にはお勧めかも。 願わくば後は使用していない
時に筐体を折り畳めるようにして貰いたいのですが(爆)。
次にCPUとメモリということで体感速度を見てみましょう。
CPUは定評のあるVR4121の
168MHzを搭載しています。 メモリは標準で32Mバイト搭載(最大48MBまで増設可)、
さ
らに今までOS側の問題だった「16MBの壁※」が撤廃された訳ですから、CPUの高速化
とメモリを「プログラム実行用」 として大量に確保すればかなり速くなりそうな気がします。
※WindowsCEは従来までのバージョンではRAM容量は最大32MBまで、そのうちの
プログラム実行/データ保存領域の上限が各16MBまで、という制限。
今回増設メモリを敢えて購入しなかったのも、この制限撤去でどの程度の影響があるか
調べたかった事もあります。
ということで早速比較実験です。32MBにメモリ増設したR520と標準状態の
R550(メモリ
割り当ては出荷状態で16MB)、さらにメモリをプログラム実行領域に24MBまで割り当て
た場合におけるベンチマークテストをしてみました。
項目 | R520(従来機) | R550(16MB) | R550(24MB) |
Intcalc | 1113 | 1550 | 1547 |
Doublecalc | 232 | 319 | 318 |
Circledraw | 355 | 293 | 274 |
Rectangle draw | 939 | 520 | 369 |
Text draw | 549 | 120 | 158 |
Scroll | 10 | 6 | 8 |
表1 ベンチマークテスト(傍島 康雄氏のDBENCHを使用)
この結果から見ると従来機より若干スピード的に改善されているという程度です。試しに
ファイルオープンまでの所要時間(スタイラスでPocketWORDのアイコンをタップし、
起動
してから「ファイル−開く」で同一ファイルを指定して開き終わるまでの所要時間)
を計っ
たのですが、こちらも...
項目 | R520(従来機) | R550(16MB) | R550(24MB) |
Pocket Wordファイル開く | 28秒 | 23秒 | 21秒 |
※ファイルは \メモリカード2\log にある721KBのログファイル(テキスト)を指定
表2 ファイルを開いたときの所要時間
と似たような結果でした。R520と比べてもの凄く速くなっている訳でもなく、メモリを少し
(8MB)増やした程度でも速度が格段に向上する訳では無さそうです。
では従来と体感速度がそれほど変わっていないか?というとそうではなくて、逆に以前よ
りキビキビ動作するのが感じられます。 特にブラウザでの読み込みや画面の再描画、
ウィンドウの切り替え時など、 従来のR520であれば一呼吸遅かったところが待たされな
くなりました。まあ流石に大きいファイルの読み込み等では時間が掛かったりしますが、
少なくとも通常使用時における体感速度はR520より速くなっており、 これは正直精神衛
生上も助かります(笑) 。 恐らくOSそのもののチューニングが進んでいるのではないか
というのが私の考えですが...
次はインターフェースです。 H"やPacketOneの64Kbpsデータ通信対応のインタフェース
が当たり前のようにあります (^^;) これ一台で何でも出来そうですね。当然
PHSでの通
信もばっちりです。でも個人的には PALDiO341S(スロット直差し)ユーザなのでカードス
ロットしかあまり使わないですが(爆)。
ちなみに通信設定ですが、 もばの場合は簡単セットアップが売りですのでデスクトップ上
にある「インターネット通信設定」や「利用環境初期設定」というアイコンをタップすれば指
示に従って設定するだけ。初心者でもそれほど困ることもないでしょう。
ただメールアドレス設定のアカウント等に一つもアドレスを使った具体例が書いていない
ので、この手の設定が全く初めて、の人はちょっと戸惑うかもしれません。せめて自社の
BIGLOBE の実例でも入れればより分かり易いでしょうに...とはいえ、 マニュアルその
ものの作りは流石天下のNEC様のことだけあって、かなり良い出来です。
それからMGダイヤル。TOM★は初めて使うのですが、これが結構使い易いです。
ブラ
ウザ閲覧時とと長文入力時のエディタのスクロールに威力を発揮しています。
いや〜便
利便利 (^^;)
写真2 MGダイヤル
次に話題のFlash ROM(16Mバイト搭載)。
実は出荷状態でここに AtokPocket ほか各種
アプリ (の一部)が保存されているため、
デフォルトで利用できるのは4MB程度しかあり
ません。どおりで本体RAMの空き領域が広いと思いました
(^^;)
ちなみにエクスプローラで見ると「カスタム
メモリ」(実際は半角カナ)というフォルダ名で表
示されます(画面1)。日本人向けの親切なんでしょうけれど別に英字でも...
半角カナは使って欲しくなかったですね(悲)。
画面1 Flash ROMをExplorerで覗くと...
OS/ソフト
さてOS/ソフトはどうなっているでしょう。まずデスクトップを見るとゴミ箱やOfficeのアイコ
ンが違っているのが分かります(画面2)。でも壁紙をいつもと同じものに変えると一見して
分からないかも...これじゃ人に「新製品だよ」って自慢できないぢゃない(笑)。
画面2 デスクトップの様子
ソフトウェアですが、まず気になるIME(仮名漢字変換プログラム)から見てみると、ビジネ
ス向けモデルのR550には「ATOK Pocket」が付属しています。インストールの手間もなく、
これは嬉しい...のですが出荷状態では何故か「MS-IME98」を使う設定になっています。
これって、MSに気を遣っているんでしょうか > NEC社(爆)
もちろん変換効率は抜群で、こういう時しみじみCEユーザやってて良かったと思います(笑)。
Palmでも快適日本語環境が実現できるとは思いますが、やはりATOKの真価はペン入力
よりは、長文入力での変換作業向きかなぁ、と思います。
それから辞書ですが、 従来機からパソコンに吸い上げていた辞書バックアップをR550に戻
したら使えました。ただシステム辞書(ATOKP.DIC)、
ユーザ辞書(ATOKPYOU.DIC)ファ
イル共にR520だとWindowsフォルダにあるのに対し、R550
はカスタムメモリにあるのでこの
設定を変えてやる必要があります。但しこの方法ですと当然今の時点での内容が失われま
すし、 不具合があるか否かは使い始めたばかりなので何とも言えませんので、バックアップ
を取るなりして各自の自己責任でお願いします
m(__)m
#なお、ATOK PocketはR550のみ添付です。
次に今回大きく変わったのがブラウザソフトです。今回からブラウザが「Internet
Explorer」
と「WorldTalk」の2つが添付されていますが、とりあえず今回は前者の方を(画面3)。
今回からブラウザ名から従来の「Pocket」が外れ、単に「Internet
Explorer」という名称にな
っています。Windows9X/Me/NT/2000環境でいうところのIE4.0相当といわれ、 Javaなども
動きます。ですのでR550 で従来機と同じページを覗いてみると今まで静的だと思っていた
のに動的なコンテンツが表示されてびっくり、なんて感動を味わえます(笑)。
またファイルのダウンロードや設定画面など、
パソコン版のIEを思わせる機能を所々で見
かけることもあり、「遂にここまで」という感慨深いものがあります。さらに気になる速度です
が、体感的にかなりキビキビした物になっています。 従来のようにストレスが溜まって溜ま
ってしょうがない...というシーンは大幅に少なくなりそうです。
画面3 ようやくPC並に?Internet Explorer
それから「お気に入り」ですが、嬉しいことにWindows9X/Me/NT/2000環境、すなわちふつ
うのパソコンの「お気に入り」が使えます。ですからパソコン(母艦)の「Favorites」フォルダ
の中身をそのままR550 の「お気に入り」フォルダにコピーしてしまえばいちいち登録し直さ
なくても良いわけです φ(.. )
とはいえフォルダに整理してあるURLの一部は何故か正しく表示されなかったりうまくリン
クしていなかったりするのですが、そういうときは改めてもばから登録しなおせばOKです。
この際、問題のフォルダの中に登録するのではなく、一度ルートへ登録し、それを各フォル
ダにコピーし
直す方法をとると良いでしょう。
なお従来機種からの乗り換え組の方は、 従来のもばに登録していた「お気に入り」はその
ままでは使えませんのでご注意ください。
その他のソフトですが、従来付属の辞書ソフトDTONICや画像ソフト「Kodak
Picture Shot」
など、定番の付属ソフトは今まで通りちゃんと付いてきます。但し一部のアプリははじめか
らインストールされていないので、これらはマニュアルの指示に従ってインストール等の作
業を行うようにしてください。
これらも少しずつ進化しているようです。私が気に入ったのは「Kodak
Picture Shot」で
簡単な画像編集・加工が出来るようになったこと。これで出先で画像をちょっと加工した
り、画像に線を書き込んだり出来るようになり重宝しそうです。
ところで一部で言われていたマイクロソフトの「Windows Media Player」は搭載されない」と
いう件ですが、実は搭載されています(画面4)。 ただ出力端子がモノラルであることは変
わりないので、音質については余り期待は出来ないのでは?という気もしますが...
画面4 Windows Media Player
まとめ
まだ使用3日目ということもあり、なかなか全貌を把握するには至りませんが、OSともども
従来機より細かい点で使い勝手が向上しています。Sigmarionのコンパクトさには魅力があ
りますが、新OSを搭載したMobileGearUの王道を行くマシンは、やはりお薦めの一品だと
思います。
とりあえず、駆け足でしたが今回はこんなところで。
その他の新機能やソフトは機会がありましたら、またレポートします。
(2000-11-26)