※なお,本レビューはTOM★の個人的体験と収集した情報を元に構成されていますので、
個別の環境によって異なる可能性もあります。この点につきましては予め御了承願います。
データ入力
DataSlim単体での入力は「ほぼ間違いなく」無理と考えてください。
一応入力ボタンがあるのですが(写真1)、これは「アクションの選択と決定」のためにある
ものです。非常に押しにくい「←」「→」ボタンで文字を1つずつ選び「◎」ボタンで決定、
それから単漢字変換、では日本語長文入力などしたらストレス溜まりまくりでしょう(笑)。
実際、私も最初のユーザ名登録で、自分の名前を入力するのに嫌になりました(悲)。
よく使う「会議」などの単語は選択リストから入力できるようになっているのは
有り難いのですが、これも慣れないとかなり使い難いという感じです。
ということでDataSlimは基本的に接続先のパソコン(母艦)から転送されたテキスト
データの「ビューア」と割り切ってしまった方が良いでしょう。
写真1 本体の入力ボタンと入力時画面
液晶表示
液晶は写真1を御覧になってお分かりのとおり、液晶自体はかなり見やすい作りになって
います。液晶のコントラストが高いので、直射日光の下でも、そこそこ見ることが出来ます。
これは屋外で使用するケースが多いDataSlimにはぴったりでしょう。意外と重宝します
(^_^)
内蔵ソフト
内蔵ソフトは以下の6つです(写真2のアイコン,以下左上段から右下へ順に記述)。
カレンダー : 予定表です。転送された母艦のスケジュールが閲覧・修正できます。
アドレス帳 :住所録です。これも母艦のデータが利用できます。
ToDoリスト :いわゆる備忘録です。上の2つと同様母艦データが利用できます。
メモ帳 :テキストデータなどの閲覧用です。
世界時計 :ホーム(自宅)と海外の都市を1ヶ所ずつ選べます。
環境設定 :パスワード等各種環境設定などはここで行ないます。
ここで修正は出来ますが、前述の通り入力機能が貧弱なので余り期待しない方が
よいでしょう。ですが、データ閲覧がこれだけで済んでしまいますので、満員電車の中
とか会議室間の移動とか他のPDA機器が広げられない状況でスケジュール等を確認
するにはもってこいです。(この点は他の機器では真似できないでしょう)
写真2 メイン画面と内蔵ソフト
私の場合、さらにテキストデータとして最寄り駅・乗換駅の時刻表を入れて持ち運んで
います。この他にも小説やメールマガジンなどをテキストデータにして持ち歩いている
人もいるようです。講演会や結婚式のスピーチなんて入れておくのも良いでしょうし、
マイナーな曲の歌詞を入れておけば、カラオケでお気に入りの曲がなくても無理矢理
歌うことが出来たり、替え歌の歌詞を入れておけば仲間で盛り上がれる...かもしれ
ません(爆)。つまりDataSlimの特徴を生かそうとすると、
更新・修正が少ないテキストデータを入れるのがDataSlimを活用するポイント
と言うことになるでしょう。
ところで内蔵ソフトには電卓機能がありません。また、テキストを表示するのは良いの
ですが俗に言う「しおり」機能がないために途中に印を付けてぱっとその部分を引く事が
出来ません。この2点はDataSlimの掲示板でも繰り返し出てくるほどニーズが強い物な
のですが、今のところ対応プログラムが出る予定はなさそうです。
折角これだけの性能があるのだから、この点だけは是非きちんと対応して戴きたいので
すが... > CITIZEN社様
さて、DataSlim上で動作するソフトは何かあるのか?といいますと、残念ながらありません。
発売当初噂のあった開発ツールも出ていないし、CITIZEN社サイトのDataSlimホームページ
にも2つだけサポートプログラムがあるだけで、その他のソフトや開発類はありません。
残念ながら現時点でのソフトの拡張性はゼロに近いと言わざるを得ません。
色々と可能性を秘めている機器なだけにちょっと勿体ない、と思うのは私だけでしょうか?
母艦との接続
ノートPCとの接続は極めて簡単です。PCカードスロットにDataSlimを差し込むだけで同期を
とることが出来ます。
デスクトップの場合は少々厄介です。大抵のパソコンユーザですと、デスクトップでPCカードを
使うのに外付けのカードスロットを利用されているでしょうが、これらの大半はストレージ系
のみサポートする(PCI接続やUSB接続のものなど,LANカード等のデバイス系PCカードが
接続できないと明記されていることが多い)ものです。残念ながらこの種類のカードスロット
にはノートパソコンのように直接接続することはできません。別売のドッキングステーションで
シリアルケーブル経由にて接続することになります(写真2)。
しかし構造的に無理とはいえ、カードスロットで同期できないのは辛いです(悲)。「デスクトップ
のカードスロットは最初からサポート外」(サポートセンター談)との事だそうですが、出来れば
シリアル接続以外の高速転送を考えて欲しかったなぁというのが正直な感想です。
写真2 ドッキングステーション
実はCE機とDataSlimはPCカードスロットに差し込むことによりデータの連携が可能です。
とはいってもそれが可能なのは今のところJornada680のみです。ですからもしJornada680
をお持ちの方でしたら、
母艦が無くとも出先でデータ連携ができるので大変便利です。
でも逆にDataSlimとのデータ連携「だけ」でJornada680の購入を検討されている方
は
再検討された方がよいでしょう。というのもDataSlimへ送ることの出来るデータ量は
それほど多くないですし(全ユーザメモリが512Kバイト)、Jornada680も使い方によって
は一長一短があって、WindowsCE機の決定打とまでは言えないためです。
(個人的にはJornada680はかなり良い機種だと思いますが、客観的にはRAMが最大
16MBまで、CFスロットの機構が複雑、ラージキーボードタイプより若干小さいなど、
ユーザの使い方次第で小型化のメリット以上に不満が出る可能性も十分あるためです)
CE機の入門編でも触れていますが、自分が普段どういう状況下でどう使うか十分検討
されないとCE機選びは悔いが残ります。ですのでDataSlimとの連携はあくまで購入時の
検討事項の1つという位置付けで考える方が無難でしょう。
<おまけ>
MobileGearUではデータ連携はできないけど、じゃDataSlimをカードスロットに入れると
どうなるの?ということで試してみました。
すると「システムが使用できるようにメモリカードフォルダを初期化しますか?」っていう
警告文が出てきます。つまり「ストレージ系カードとして認識してしまう」って事ですね。
...ということでMobileGearUユーザの皆様は真似しない方が賢明かと(苦笑)。
追伸:MobileGearUでも連携がとれるようにして下さい > NEC様(悲)
データ連携・同期
同期は添付の「TrueSyncデスクトップ」(画面1)を母艦となるパソコンにセットアップする
ことで実施します。設定も特に難しいところはありません。同期も比較的簡単に出来ますし、
このソフトの作りはかなり良いと思います。
さらに嬉しいことに、同期に際しては付属のスケジューラのデータを使わずに、既存の
Outlook97/98/2000のカレンダー、アドレス帳、ToDoリスト、メモ帳データを同期対象として
選ぶことが出来ます。(※注)
小物PDAには大抵「俺のこのソフトを使え!」的なノリが多くて「データコンバートしろと
でも言うの?」と閉口することが多かったのですが、Outlookなど多数のユーザにも配慮
しているところは好感が持てます。
なおOutlookとデータのやり取りをする場合、予めどの項目がDataSlim側のどの項目と
対応しているか等の各種設定をする必要がありますが、それさえ済んでしまえば快適に
同期することができます。
画面1 TrueSyncデスクトップ(Outlook2000と同期中)
※注
Outlook2000は正式対応していないそうですが、CITIZEN社では動作確認済として
います。実際、私も2000で使っていますが今のところ不具合は出ていません。なお、
Lotusオーガナイザーとも同期が出来ますが、最新版の2000には今のところ対応し
ていないとのことです。
ケース
DataSlimは付属品として革ケースがついてきます。(といっても安物ですが)
蓋付きなのでポケットに入れる際には重宝しますが、使っていると本体が
ケースから滑り落ちてしまうのが難点です。
そこでというわけではなのでしょうが、CITIZEN社から本体にジャストフィットする
「データスリム専用プラスチックケース」というのが発売されています。
これならずり落ちる心配もないし見た目もお洒落だし、懐に優しいし
(^^;)、という
ことで秋葉原のイケショップにて\580(税別)で購入してみました。
使用感ですが、流石に製造元謹製なのでスリムで使いやすいケース...といいたい
ところですが、指の太い人だとボタン脇のプラスチック(写真3の赤丸で囲んだ部分)
が邪魔になってボタンがまともに押せません(悲)。
私の場合は仕方がないので爪を立てて選択ボタンを押しています(爆)。
写真3 専用プラスチックケース
まあプラスチックケースなので削ってしまうという荒技も可能でしょうから
人柱希望の方は削ってみて下さい (^^;)
なお、このケースはストラップがつけられます。ということで
落下防止にはもってこいです。それから携帯電話と一緒に括ると...
邪魔になるだけですかね(苦笑)。
(1999-9-4)
DataSlim関連リンク
CITIZEN社のサイト http://www.citizen.co.jp/
DataSlimのページ http://dataslim.angel.co.jp/