エル・ファンディ耳4枚。ウセダ・レアル耳2枚。アベジャンが右腕を吊って帰っていった。

2004年5月7日バルデモロ(第3級)闘牛場の結果。

 晴で時々風の吹くのマドリード郊外、バルデモロ闘牛場。牛、、カスティジェホ・デ・ウエブラ牧場。闘牛士、ウセダ・レアル、ミゲル・アベジャン、エル・ファンディ。観客は2/3くらいの入り。バレラ以外ヘネラルだったのでソンブラのコントラ・バレラでTさんとアナスタシアさんと一緒に観戦す。入場行進の後、エル・コルドベスのバンデリジェーロで交通事故で1週間意識不明の重体の後、先日死んだアントニオ・ペレス・ペレスの為に1分間の黙祷が捧げられた。

 ウセダ・レアルは、5月2日のラス・ベンタスでのプエルタ・グランデの自信のようなものを感じた。1頭目は、後ろ脚が悪い牛だったが工夫して良いファエナをした。ピンチャソ1回あったために耳要求があったが耳にはならなかった。4頭目はラルガ・カンビアールから始めゆっくりとしたベロニカが繋げゆっくりとしたメディア・ベロニカを決め拍手と受けた。牛は観客に捧げられた。デレチャソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。アレナの内側へ行き、手の低いゆっくりとしたデレチャソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。離れて位置を変えてパセ・デ・ペチョ。ナトゥラルも手の低いパセを繋いだ。剣はカイーダだったがこの闘牛場では、耳2枚になった。

 ミゲル・アベジャンは、5頭目で良い牛を引き当てて良いファエナをした。カポーテではラルガ・カンビアールから始めベロニカを繋ぐと、「オーレ」がなった。キーテはガオネラのようにカポーテを後ろで持ち、ガジョシーナの様な振り方をしてパセを繋ぎ牛を馬の前に置いて拍手を受けた。牛は観客へ捧げられた。ムレタでは遠くから呼んで来る牛だった。狭いアレナだったが10m以上の所から牛を呼んでデレチャソをすると、「オーレ」がなりリガールしてパセを繋ぎパセ・デ・ペチョで牛が膝を着いた。決して強い牛ではない。距離を取り、また遠くから牛を呼んだ。

 いくらでも遠くから牛を呼べるような牛だった。その特徴を掴んでファエナをやっている。パソドブレが鳴りその中で、遠くから牛を呼んでデレチャソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。「オーレ」と喝采なる。キキリキからナトゥラル、デレチャソを繋ぎモリネーテ、レマテの後に牛の前で見栄を切る。喝采が鳴る。でも、もうちょっと大事に牛をパセしていればもっと良いパセを引き出せただろう。ムレタを急に変化させたり、観客へのアピールのために牛を観ないでパセしたりして牛に負担をかけるファエナだったのが惜しい。耳2枚の価値のあるファエナだったが、ピンチャソ3回で手首か肘を痛めてデスカベジョを1回で決めた。喝采が鳴り挨拶をしてエンフェルメリア(医務室)に入っていった。

 エル・ファンディのバンデリージャ打ちは天下一品だ。こんなに素晴らしいバンデリージャを打つ闘牛士は未だかつていなかった。闘牛史上最高のバンデリージャを打つ。3頭目の牛ではベロニカを繋ぎレマテは体に巻きつけるようなメディア・ベロニカだから、ベルモンティーナと言うのかな。キーテはナバラからメディア・ベロニカ。バンデリージャは、左後方へ下がりながら角の間で打ち喝采。牛とタブラ(柵)の間に右に回りながら行き角の間で打ち喝采。右に回りながらビオリンで観客総立ちの喝采で挨拶をした。アレナが狭くてもファンディには関係がないようだ。素晴らしいバンデリージャだった。その勢いのままファエナでも、「オーレ」がなりパセを繋いで剣はスエルテ・コントラリアでカイーダだったがここでは耳2枚になります。

 最後の牛ではラルガ・カンビアールから始め観客を沸かせた。この牛はカポーテの時から左角が短かった。バンデリージャは、2回普通に前に廻りながら角の間で打って喝采を受け、3回目は、ビオリンを決めて喝采を受け、4回目打つことをプレシデンテに許可を得て、両膝を着いて牛を誘い牛が動いたら立ってキエブロして喝采を浴びた。これだけ最高のバンデリージャ打ちを見せてくれる闘牛士は未だかつていなかったことだ。金になるバンデリージャだ。エル・フリがバンデリージャを打つことを辞めたのは正解。これじゃレベルがあまりにも違いすぎる。

 ファエナではパセの後よく膝を着く牛だった。後半はパセの後、逃げていく牛だった。それでもパセを繋いで剣はスエルテ・コントラリアでカイーダに決まり牛は直ぐに倒れまた耳2枚。田舎闘牛ではエル・ファンディの独壇場。観客を充分楽しませた。

 今日のファエナの質から言うと、アベジャンが1番良かった。良かったがもっと大事に牛を扱っていればもっと良いファエナになっていた。次がウセダ・レアルの地味なパセ。良かった。ファンディはバンデリージャがあまりに物凄すぎるから観客は腰が揺れてパセをしていても、「オーレ」を叫んでいた。アベジャンは闘牛場から帰るとき右腕を吊って帰っていった。アナスタシアさんが声を掛けたら、「マル」と言ったそうだ。サン・イシドロに出れるかどうか判らない。


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