バンデリージャで盛り上げてエル・ファンディ耳1枚。カバジェーロは剣で耳が消える。

2004年4月30日セビージャ(第1級)闘牛場の結果。

 晴のち曇りで時々風の吹くのセビージャ、レアル・マエストランサ闘牛場。牛、アントニオ・ガビラ牧場。闘牛士、マヌエル・カバジェーロ、エル・シド、エル・ファンディ。観客は満員の入り。ソルのグラダ4にて観戦す。

 マヌエル・カバジェーロは、始めの牛で良いファエナをした。出てきた牛はブルラデロを突く牛だった。カポーテはベロニカでは右角がブスカンドするように見えたが、それは風せいだった。ムレタはデレチャソ(右手のパセ)からは始めた。牛に力がないのでゆっくりとしたパセを繋いだ。トゥリンチェラ、パセ・デ・ペチョ。充分距離を取ってデレチャソをリガールしてパセ・デ・ペチョを2回繋ぐと拍手がなった。クルサード不足でパセを繋ぐも風が吹いて、クルサードし直してデレチャソからパセ・デ・ペチョ2回で拍手なる。距離を取りアジェダード・ポル・アルトから手の低い長いナトゥラル繋ぎパセ・デ・ペチョで喝采が沸きパソドブレがなった。

 手の低い長いナトゥラル繋ぐと「オーレ」が続きパセ・デ・ペチョで喝采が鳴る。パセとパセの間のムレタの動きに無駄がない。素晴らしいムレタ捌きだ。まるでビクトリーの牛を相手に輝いていた頃のようだ。アジェダード・ポル・アルトから手の低い長いナトゥラル繋ぎパセ・デ・ペチョで剣を代えた。スエルテ・コントラリアでピンチャソ1回の後、良いところに剣が決まった。観客から耳要求があったが、ピンチャソがあったために耳にはならなかった。

 エル・シドは、何しに出てきたんだ!シン・クラッセの闘牛士。最低だ。2頭目の牛は良くない牛だった。それは誰でも判る。でも何だあれは。右手のパセでブスカンドした。腰を引いてパセするのは良いよ。それは自由。でも、それで全て諦めて牛の前でムレタを振って牛を疲れさせるようにして剣を代えた。剣刺しは凄いバホナッソだった。それでもセビージャの暖か〜いお客さんは拍手を送っていた。馬鹿馬鹿しくなった。右手がダメなら、左手で何故試さないのか。その試すことすらしないことは2流、3流の証だ。セビージャは人間を甘やかすような土地のようだ。これじゃ、将来がないだろう。

 エル・ファンディは、2000年に始めていたときに比べて毎年毎年確実に成長している。まずバンデリージャ打ちから書く。3頭目の牛では、右に回り角先で、次は右後ろに下がりながら角の間で打って喝采を受ける。最後はビオリンを打ち牛の周りを廻って牛を止め喝采を受ける。観客は立ち上がって喝采を送っていた。最後の牛は良く膝を着く牛で交換になった。バンデリージャは、右後ろに下がりながらかなりの距離を走って角の間で打ち拍手。次はタブラから行って左後ろに下がりながら角の間で打ち観客は立ち上がって拍手。最後が左に廻りながら角の間で完全に打って牛の周りを手を出して廻って牛を止めると観客は総立ちになった。男だけじゃなく女も立っていた。

 そして、良いファエナをした。この牛はデレチャソでは動かなかった。しかし、ナトゥラルでは良い動きをした。こういうことは去年までのファンディなら判らなかっただろう。アポデラードのサンティアゴ・ロペスがタブラから声を掛けているのも彼を成長する大きな要因になっているのだろう。クルサードしてパセをすると手の低い長いパセが繋がった。1回ブスカンドしたが怯まずに続け良いパセを引き出した。剣を代えた後コヒーダされそうになった。剣はカイーダだったが牛が直ぐ倒れ耳1枚出た。去年よりもすべてにおいて成長している。

 去年のカバジェーロはあまり良くなかったが今年は良さそうだ。あの上手いムレタ捌きを披露していたので嬉しかった。ファンディも毎年成長していて嬉しい。こうでなくちゃならない。それに比べてエル・シドは何だ。退場の時、罵声を浴びせてやったら、おっちゃんが笑っていたが、笑い事じゃないよ、君。


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