あー、牛が・・・。セラフィン・マリン、耳1枚まで。プエルタ・グランデならず。

2004年5月25日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 曇りで風が吹くマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。牛、ヌニェス・デル・クビジョ牧場。ソブレロ、ロス・レシタレス牧場。闘牛士、モランテ・デ・ラ・プエブラに代わりフランシスコ・エスプラ、フィニート・デ・コルドバ、セラフィン・マリン。観客は満員には欠ける入り。ソルのテンディド5アルトにてTさんとYさんと一緒に観戦す。

 フランシスコ・エスプラは、闘牛博士。それは分かるが、技術が知識に追いついていないところがある。まず、バンデリージャ打ちは6回とも左に廻りながら打った。せめて3回に1回は右回りに打つべきだと思う。それと角の間で打つことが少ない。これじゃなぁ、と、思ってしまう。1頭目のファエナは、デレチャソを繋ぎ、「オーレ」がなった。パセ・デ・ペチョ2回で拍手がなる。モリネーテからデレチャソ。でもムレタを角にはらわれる。ここまでだった。牛の動きが悪くパセに付いていけない。途中で止まりそうになったりパセの後回り込んできて危なくなった。まっパセの手が高からというのがあるけど。剣は、バホナッソのピンチャソ・オンダ。デスカベジョ1回。拍手がなったが出てきて挨拶しなかった。自分を知っている。

 4頭目の牛は悪く交換。ソブレロも悪い牛だった。ピカドールのアンデルソン・ムリージョが良いピカを2度刺し拍手を受けた。始めにタブラに腰掛けて繋いだパセだけが見せ場だった。後はパセをすると廻りが小さく体に触れそうになって危なかった。牛に力強さがなく動きが止まってしまった。剣は、バホナッソ。口笛が鳴った。

 フィニート・デ・コルドバは、良くやった。2頭目の牛で割りと良いファエナをした。   (フィニートのことは後日記述して仕上げることにする。)



 そこで思わず一言いった。「ファンディのファエナより全然良い」それを聞いた隣のYさんは、「そうよねぇ、ファンディは良くなかったものね」と、笑っていた。

 セラフィン・マリンはバルセロナ、いや、カタランの星。去年突如彗星の如く現れて衝撃を与えた。今年もそれは変わっていないことを今日も示した。3頭目はブルラデロへ行かない牛。長いベロニカが繋がると、「オーレ」がなった。レマテはベルモンティーナ気味の手を離すメディア・ベロニカで、「オーレ」がなりその後、喝采が鳴った。良い牛を引き当てたようだった。ピカは左肩前に2度入った。離れて牛が膝を着いた。カポーテを振ってまた膝を着く。悪い予感。バンデリジェーロのセサル・ペレスが良いバンデリージャを2回打って喝采を浴びた。去年もいたバンデリジェーロ。相変わらず良い仕事をする。

 牛は、観客へ捧げられた。エスタドアリオ。牛がパセの後、反対に廻るって戻ってくる。変な動きだ。でも、「オーレ」がなり、ナトゥラル、パセ・デ・ペチョで喝采が鳴る。距離を取り、アレナ中央へ。クルサードして牛を遠目から呼んで手の低い長いデレチャソをリガールすると、「オーレ」が続いた。レマテのパセ・デ・ペチョで喝采が鳴った。良いファエナだ。離れデレチャソをリガールすると「オーレ」がなったが牛がパセ後、膝を着いた。溜息が漏れる。そこで膝を着いたらせっかくのファエナの盛り上がりが台無しだ。牛に力強さが足りないからだ。

 それでもトゥリンチェラ、パセ・デ・ペチョを繋ぎ、「オーレ」をならせ喝采を浴びた。距離を取り、牛の左側に歩いていって止まり、それから牛の右側に歩いていって止まってナトゥラルで牛を誘った。止まった位置が丁度クルサードしている位置だった。2回目のパセの時に角にムレタを1度はらわれたが、手の引く長いパセを繋ぐと「オーレ」が続いた。今度は牛が膝を着いた。溜息が聞こえる。牛に力がない。手の低い長いナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョで拍手がなった。牛との距離を取ってナトゥラルを繋ぎパセ・デ・ペチョで拍手がなった。

 牛の動きが止まり剣を代えた。最後は、マノレティーナ。3回続け、ムレタを完全に体の後ろに隠してクルサードしてから、またマノレティーナを3回続けゆっくりとしたパセ・デ・ペチョをして牛の前に立つと喝采が鳴った。剣はスエルテ・コントラリアで、カイーダで決まった。牛が直ぐに座り、白いハンカチが闘牛場に揺れた。牛に力があってパセが続けられたら耳2枚になっていただろう。耳1枚で場内1周。牛が悪かったとは言え、去年の印象を未だに健在だ。笑顔に初々しさが残っている。

 5頭目もダメ牛だった。ベロニカの時から膝を着く牛。ピカの時に馬を倒したのでそれでも元気の良い牛かと思ったけど全然ダメだった。牛は観客に捧げられた。デレチャソからパセ・デ・ペチョで膝を着いた。距離を取ってアレナ中央で牛を誘う。距離を縮めて深くクルサードして誘うと牛が動いた。手の低い長デレチャソが2回続き、3回目のパセで牛はアレナに角を刺して前脚を着いた。せっかく良いファエナになるかと思ったがこれじゃダメ。一旦離れデレチャソを2回してパセ・デ・ペチョで拍手がなった。クルサードしてナトゥラルを2回、パセ・デ・ペチョで拍手がなった。

 だがこの頃から、牛の後ろ脚が前脚の方に行っていた。牛がバテている証拠。案の定、牛の動きが極端に落ちた。立っているのもやっとの状態。まるで剣刺しの後、いつ倒れるか待っているような牛の仕草だった。だからセラフィンがいくらクルサードしても牛の動きが悪く良いパセなど引き出せるような状態じゃなかった。剣を代えに行くと拍手がなった。観客も解っている。ピンチャソ3回の後、牛が膝を着いた。良い牛だったら・・・。残念だった。

 今日は牛が悪かった。どうもヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛は、アレナの広い闘牛場では直ぐにバテて、動きが止まってしまうようだ。第2級闘牛場向きの牧場だ。体重が少ない割に、体型が太って見える。これは競馬で言えば悪い牛の典型。体が締まっていない証拠。少ない体重の割に体型が太く見える方が良い牛。筋肉が付いているからだ。競馬のセオリーも闘牛に活用できる。それにしても、あのバテ方は異常。


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