カリファもセルヒオ・アギラールもちゃんとやっているんだけどなぁ。

2004年4月20日セビージャ(第1級)闘牛場の結果。

 晴れのセビージャ、レアル・マエストランサ闘牛場。牛、グアルディオラ・ファントニ牧場。闘牛士、エル・カリファ、アントニオ・バレラ、セルヒオ・アギラール。観客は7,8割の入り。ソルのテンディド8にてカメラ撮影しながら観戦す。

 エル・カリファは、ダメな牛に対してもちゃんとやっている。始めの牛は、左右の角両方ともブスカンドする牛だった。それでも立ち位置を変えたり、誘い方を変えたり工夫をしてした。この日2頭目の牛はダメで交換。マドリード、ラス・ベンタス闘牛場から“フロリート”(世界で1番上手い牛使い)が今年はアジュダードしに来ているので交換には5分しかかからなかった。去年までなら次に牛だ出てくるまでに30分くらいかかっていた。

 代わって出てきた牛もコッホでマンソだった。それでも膝を折った右手のパセから始めアレナ中央でパセを繋ぐと、「オーレ」がなった。レマテのパセ・デ・ペチョの後に、充分距離を取って、立ち位置を変えてクルサードして牛を誘う。だから、牛は動くのだ。悪い牛であることは観客は判っている。その悪い牛を、何とか動かそうと色々工夫して牛を誘っている。それが出来るからパセが繋がるのだ。

 牛が悪いから、カリファらしいパセではなかったけど、闘牛士としての力量を観客の前で示したファエナだった。最後の剣刺しは、ピンチャソが3回ありそれから良い剣が入った。ピンチャソが多かったので観客は静かだったが良い仕事をした。

 それに比べてアントニオ・バレラは、牛を誘うときの距離の取り方が同じでパセは繋いでいるだけ。と、言うより牛が動きたいところにムレタを出している感じで、闘牛士が牛を動かしているという感じがしない。もうちょっとちゃんと出来る闘牛士だと思っていたけど・・・。

 セルヒオ・アギラールは、始めのキーテでおっと思わせた。足を止めた綺麗なベロニカは繋ぎ、メディア・ベロニカの何と綺麗なことか。段々良くなってきているなぁと思った。始めの牛でもゆっくりしたベロニカを繋ぎ観客に、「オーレ」を叫ばせた。それにしても良いベロニカだ。こんなに落ち着きがあり丁寧かつ素晴らしい仕事をするようになった。初めてサン・イシドロで観たときはとても非道かったが、他の闘牛士と違うことをしていたので印象に残っている。あれから何年かして自分が考えている闘牛が、実際表現できるようになってきたようだ。

 ムレタでも、良いところを見せていた。残念ながら始めの牛は、力強さがなく途中からパセがメディアになったし、最後の牛は、ちゃんとした誘い方をしても動かない牛だったので結果を出せなかったが、良い仕事が出来る力量と実力を表現できる様になってきた。サン・イシドロでも楽しみになってきた。

 カリファやセルヒオ・アギラールの良い写真が撮れたのが今日の救いだ。それにしても2日続けて牛が悪かった。血統や、牧場も名の通った良いところなのに、インバリドだったり、身体的にちゃんとしていても力強さがないし、マンソだったりして良い闘牛にならない牛が殆どだ。今年は天候が悪くて今の時期の牛が悪いのかどうか、知らないけど非道いなぁ。それで観客は、牛交換の口笛を吹いたり、手拍子を打ったり騒いでいる。それも、ラス・ベンタス闘牛場から“フロリート”が来ているから安心して牛交換を要求している。去年までだったら、牛が交換になると物凄く時間がかかっていたので観客は諦めたりしていた時もあったが今年は正しい要求を的確にしようとしている。

 大体“フロリート”が登場するだけで拍手が起き、牛の交換がスムーズに行われてまた拍手が起きる。本当に闘牛を円滑かつ正しく行うのに非常に重要な牛使いが、しっかりしているので闘牛が絞まるのだ。


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