ファンディ、耳1枚。マティアス・テヘラ耳2枚で、プエルタ・グランデ。これって本当?

2004年5月19日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 晴れ風が吹くマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。牛、エル・ベントリジョ牧場。闘牛士、ファン・ディエゴ、エル・ファンディ、マティアス・テヘラ。観客はほぼ満員の入り。ソルのテンディド5アルトにてTさんとYさんと一緒に観戦す。

 ファン・ディエゴは、1頭目で良い牛を引き当てた。長いベロニカを繋ぎパセ・デ・ペチョ。

 エル・ファンディは、今日も凄いバンデリージャを打って観客を熱狂させた。2頭目は省略して耳を取った5頭目を書く。牛はブルラデロに行かない牛。膝を折ったベロニカを繋ぎラルガを決めると拍手が沸いた。キーテの後ラスガ・コルドベサで馬の前に牛を置いた。ピカは右寄りの肩の上に1回、右前に1回入った。バンデリージャは、左に廻り角間で打って拍手。左後ろに下がりながら角間で打った後牛の前に手を出して廻り牛を止め喝采。牛を誘いアレナを右回りに後ろに1/3周凄いスピードで下がりながら角間で打った。打つ前に躓いたのでバランスを崩し打った後コヒーダされた。

 尻の所2ヶ所くらいを刺された。が、直ぐに立ち上がって牛の前に手をかざし動かして牛を止め、観客総立ちの喝采を受けた。ファエナは良いものではなかった。腰や足は動いていなかったが、「オーレ」は1回もならなかった。そして、抗議の口笛も殆ど鳴らなかった。剣はスエルテ・コントラリアで決まって、闘牛場全体が白いハンカチで埋まった。プレシデンテに耳を出すように抗議する口笛が吹かれ、耳1枚を許可する白いハンカチが出された。その耳に対する抗議の手拍子や口笛が吹かれた。申し訳なさそうに場内1周をするファンディに、口笛や、「フェラ」という罵声が飛ぶ。場内1周を終え挨拶した後、闘牛場全体から、「フェラ・デ・パルコン」の大きな合唱が置き抗議の手拍子が鳴った。この耳は問題になると思った。僕は耳1枚の価値はないと思ったからだ。

 マティアス・テヘラの3頭目は省略する。ファンディの耳の後の6頭目。「ここで良いファエナになれば耳2枚出たりして」とYさんにいったら本当に耳2枚が出た。ブルラデロに行かない牛。ベロニカを繋ぎメディア・ベロニカ。動きの良い牛だった。ピカは、首と右前と右後ろに入った。キーテはチクエリナ3回メディア・ベロニカで「オーレ」と拍手がなった。牛は観客へ捧げられた。右手の膝を折ったパセから始め、パセ・デ・ペチョ。離れてデレチャソの手の低い長いパセが繋がると、「オーレ」がなった。パセ・デ・ペチョで喝采がなる。

 始め右だとクルサールが少し足りなかったが、クルサードして手の低い長いデレチャソを繋ぎ、「オーレ」を叫ばせ続けた。クルサードしてデレチャソからムレタを牛にはらわれ、背中を通すパセで悲鳴が上がったがちゃんと通しパセ・デ・ペチョで喝采。距離を取りクルサードしてナトゥラル。ナトゥラルの時の方がクルサードが深い。角2本分ある。手の引く長いパセが繋がると、「オーレ」がこだました。レマテのパセ・デ・ペチョを通して喝采。牛から離れクルサードしてナトゥラル繋ぐ。「オーレ」が続く。手が低く長いパセ。マティアス・テヘラはナトゥラルが良い。ファエナ後半は、ナトゥラルの後、牛が逃げるようなった。「オーレ」が続きパセ・デ・ペチョの後、剣を代えた。

 膝を折ったアジェダード・ポル・バッホから膝を折ったナトゥラルを繋ぐ。綺麗だ。「オーレ」がなる。パセ・デ・ペチョの後、喝采を浴び、スエルテ・ナトゥラルで牛を置きグラン・エストカーダが入った。牛は直ぐに崩れた。闘牛場が白いハンカチで一杯になった。剣が刺さった時点で気の早い人は白いハンカチを出していた。物凄い口笛が鳴る。プレシデンテは白いハンカチを1回出した。この時Yさんにもう耳2枚って(ノートに)書いたから。「嘘ー」。直ぐに2枚目の耳を出すようにプレシデンテは許可した。ファンディが耳1枚なら当然これは耳2枚という事になる。

 観客は喜んでいた。マティアス・テヘラは満面に笑みを讃えて肩車で場内1周を始めた。両手には牛の耳が1枚ずつ握られていた。彼を讃える喝采が闘牛場になっている。今年のサン・イシドロ3回目のプエルタ・グランデ。そして、正闘牛士では初めてのプエルタ・グランデ。

 終わった後、寿美さん、番長、M夫妻、TさんとYさん、シーラさんと会う。総評として、マティアス・テヘラは耳1枚の価値しかない。と、言うものだった。しかし、ファンディが耳1枚ならマティアス・テヘラは耳2枚になるだろうということも、確認できた。M夫人は、「ファンディはバンデリは凄いのよ。あのバンデリを打てる人はいないもの。あれで耳をあげなきゃ、あの子、つぶれるわよ。そうなるとアルティスタしか耳取れなくなる。あれだけやっていたのだから耳あげても良いのよ」と、いう言葉には、ある種の説得力があった。

 Yさんは、「マティアス・テヘラは胸に来るものがないのよねぇ。」。Mさんは、「マティアス・テヘラは、ピコじゃん。パセも、体の近くを通らないし、ムレタを大回ししている。あれじゃダメだ。」

 去年、場内1周の牛を出したエル・ベントリジョ牧場は今年も良い牛を出した。全体的にも良い牛だったし、1頭目の牛と6頭目のの牛が良かった。特に6頭目の牛は素晴らしかった。


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