フェレーラとアベジャンのキーテ合戦。

2004年5月13日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 久しぶりに晴れたが風があるマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。牛、サン・ミゲル(マノロ・ゴンサレス)牧場。1頭目、ゴンサレス・サンチェス・ダルプ、2頭目、6頭目、サン・ミゲル。3頭目、4頭目、5頭目、マノロ・ゴンサレス。ソブレロ2頭、コンデ・デ・ラ・マサ牧場。闘牛士、アントニオ・フェレーラ、ミゲル・アベジャン、怪我のサルバドール・ベガに代わりアンドレス・レブエルタのトマール・デ・アルテルナティーバ。観客は9割くらいの入り。ソルのテンディド5アルトにて写真撮影をしながらTさん、Yさんと一緒に観戦す。

 アンドレス・レブエルタのトマール・デ・アルテルナティーバの為、順番は、1頭目と6頭目がアンドレス・レブエルタ。2頭目と4頭目がアントニオ・フェレーラ。3頭目と5頭目がミゲル・アベジャンとなる。

 1頭目のアンドレス・レブエルタのテルシオ・デ・バラスの時、フェレーラがキーテをした。いきなりコヒーダされた。闘牛場に悲鳴があがった。もうこれで今日はフェレーラが終わったと思った。丁度、写真を撮っていたので状況は直ぐに解った。彼は右角を通すメディア・ベロニカをしたときコヒーダされた。2,3度空中で角に突かれ右尻横の大腿骨辺りのズボンに角が刺さり貫通して体は逆さまになっていた。プンタッソ(角に突かれた)でどうやらコルナーダ(角傷)ではなさそうだった。みんなが助けに入った。投げ出されたフェレーラは腰の辺りを押さえていたが大丈夫だった。それからまた牛に向かって行きベロニカを繋ぎ喝采を浴びた。

 残念ながらアンドレス・レブエルタについては牛が悪く余りよく解らなかった。フェリア・デ・コムニダで耳1枚取って、サルバドール・ベガの怪我で急遽、見習い闘牛のカルテルを全て蹴ってのアルテルナティーバ。それだけの意義があったかどうか・・・。彼にはまだ、見習いあがりのつたなさが感じられた。良さを書けば、クルサードはしていたし、カポーテでは長い角度を変えるパセを繋いでいた。突然のアルテルナティーバになったが、今後彼にカルテルが来るかは疑問だ。

 アントニオ・フェレーラは、やる気を感じた。何とかしようとしていたが牛がパセをすると直ぐ転ぶインバリドといわれてもおかしくない牛では、どうしようもない。今日唯一の見せ場は、4頭目の牛の時のキーテ合戦。両足を揃えたベロニカを繋ぎメディア・ベロニカで馬の前に牛を置き喝采が鳴る。ピカの後、アベジャンがナバラを繋ぎセルピエンティーナ。右手を痛めているためかカポーテが手から離れた。拍手がなる。フェレーラがチクエリナを繋ぐと「オーレ」がなりメディア・ベロニカで締めて喝采が鳴る。脚をパセの時、一歩引くパセだったが、観客を充分楽しませた。アベジャンが再び登場して両膝を着いたチクエリナで、「オーレ」がなる。2回目の両膝を着いたチクエリナでカポーテを牛に突かれコヒーダされそうになるが、倒れながらカポーテを動かして牛をやり過ごすと、悲鳴は喝采に変わった。アベジャンはアレナで生き延びる術を知っている。

 再びフェレーラが登場してチクエリナを繋ぐと、「オーレ」がなる。キーテの後、フェレーラとアベジャンが抱き合って観客の喝采を浴びた。その後、フェレーラは、アンドレス・レブエルタにキーテをするようにうながした。フェレーラの気遣いに応えアンドレス・レブエルタが長いベロニカを通しメディア・ベロニカを決め拍手を受けた。腰が動いていたがそれはまあ良いとしよう。今日はアンドレス・レブエルタのアルテルナティーバの日なのだから。

 ミゲル・アベジャンは、2002年から2年ぶりのサン・イシドロ登場。やる気の固まり。綺麗なランセで観客にアピールした。5頭目のでは牛が2度交換になった。観客もアベジャンのやる気に応えて応援した。しかし、今日は牛が悪すぎた。綺麗なカポーテは健在。手の低い長いムレタのパセをクルサードして通していたが牛が動かない。膝を着く。ブスカンドする。それでも、やる気は失せることはなかった。危ないのに牛に向かう姿は観客に闘牛士の意志を伝えるのに充分だった。注文を付けるとすれば牛を誘うときに段々牛に近づいて1,2mの所に立って誘うところがダメ。牛は息苦しくなってくる。

 あそこで距離を変えたり、誘う位置を変えたり色々変化をさせないと牛は動いてくれない。まっ今日は牛が悪すぎたので言い訳が利くが、そうじゃないと口笛を吹かれることになる。怪我をしても出てきてこのやる気を見せたことは、充分ラス・ベンタスの観客に伝わったと思う。

 マノロ・ゴンサレスは有名な牧場だが良い牛が出なかった。ちゃんとした牧場管理をしていないから牛が悪いんじゃないの、と思ってしまうよな。


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