ラ・キンタ牧場の牧童頭が喝采を浴び場内1周をした。

2004年5月10日マドリード、ラス・ベンタス(第1級)闘牛場の結果。

 途中から小雨が降り続き強風が吹く寒いマドリード、ラス・ベンタス闘牛場。若牛、ラ・キンタ牧場。見習い闘牛士、フランシスコ・ホセ・パラソン、ハビエル・ソリス、ロベルト・ガラン。観客のほぼ8割の入り。ソルのテンディド5アルトでYさんと一緒に観戦す。

 フランシスコ・ホセ・パラソンは、去年観たノビジェーロで1番良かった。注目していたが・・・。彼の牛は2頭とも悪い牛ではなかった。出てきてブルラデロの前で止まっていた。1頭目はパセの後返りが早かった。ナトゥラルの時ブスカンドしていたのでやりにくかった。4頭目は割りといい牛でパセを繋いでいたが何かが足りなかった。雨も降ってきた。レマテの後の距離も取っていたし、クルサードもしていた。パセはピコ気味だった。それよりムレタ捌きが今ひとつだった。上手くやっていれば耳を切れていた牛だ。形の良いパセを出来るのに今日はそれを見せることが出来なかった。経験不足が1番大きいな原因だろうが、6月アリカンテでアルテルナティーバをする。このままじゃ消えていくかも知れない。それが心配だ。良い才能を持っているのだから、それを闘牛場で出せなければダメだ。チャンスはそう多くはないのだ。

 ハビエル・ソリス。2頭目の牛は非常に良い牛だった。凄く良い走りをする牛で期待したがカポーテの時から牛を上手く扱えなかった。牛をダメにするパセをしていた。牛を観客に捧げた。アジェダード・ポル・アルトからナトゥラルで膝を折ったパセを繋いだ。アレナ内側へ移動して、デレチャソを長くパセを繋ぐが牛が動く位置に立っている。もっと長い距離からパセ出来る牛なのに。デレチャソでリガールすると闘牛場は沸いたがこれは牛が良いからで彼のパセが良いからではない。ナトゥラルではムレタを角にはらわれていた。それで怖くなったのか、デレチャソを繋いでいるときにパセの後、牛の前でアグアンタール出来ずに動いて盛り上がったファエナを自分で台無しにした。後はつまらないパセだった。剣はスエルテ・ナトゥラルで浅い角度でカイーダで刺さった。大きな口笛が吹かれた。

 5頭目はベロニカからパセの後の返りが早い牛でビクトリーノのようだった。これなら面白い牛と思っていたがビビってファエナにならなかった。牛を誘う距離がいつも一緒。ファエナの始めら牛から2,3mの所に立っている。これじゃ牛は動く分けない。牛の前でムレタを振っただけ。何もやっていない。剣はカイーダ気味にアトラベサダ(斜めに)入った。デスカベジョ12回。物凄い口笛が吹かれた。今日の牛で耳を1枚も取れないようじゃやめた方が良いかも知れない。こんな良い牛で耳が取れなかったら一体いつ取るわけ?

 ロベルト・ガランは、最低の闘牛士。こいつには参った。3頭目の牛は白線を飛んで出てきたが、ブルラデロ前では止まる牛だった。キーテはカポーテ裏側で3回繋いでメディア・ベロニカ。ピカは左側の肩横と、左側の前に入った。牛は観客に捧げられた。牛を遠くから呼んでデレチャソで膝を折ったパセを繋いだ。パセの後の返りが早い牛で口を閉じたままムレタに向かってきた。パセ・デ・ペチョの後、距離を取ってデレチャソ。ブスカンドに見えたが風が吹いた影響だろう。パセ・デ・ペチョの後、今度は牛に近くに立った。何故遠くから呼べる牛なのに近くに立つのか判らない。途端にパセが悪くなった。デレチャソでムレタを牛に踏まれる。デレチャソでムレタを牛の角にはらわれる。長いナトゥラルを繋いだがまたムレタを踏まれた。ムレタを振るとき体を過ぎてから早くいい加減に振っているので綺麗じゃないし牛を迷わせている。

 彼はちゃんとトレオ・デ・サロン(練習)をしているのだろうか。ムレタの振り方が悪い。牛は唯ひたすらムレタに向かって口を閉じて突っ込んでくる最高の牛だ。それをこれほど雑にムレタを振ったら勿体ない。それと牛が動いてからムレタを出してパセをしたりちぐはぐも良いところ。これだけ闘牛士がへまをしても牛は最後まで良い牛もままだった。剣はピンチャソの後、スエルテ・ナトゥラルからカイーダでテンディダ(角度の浅い)剣が入った。口笛が吹かれる。そして、牛に対して喝采が鳴った。観客は牛に場内1周を求めたがプレシデンテはそれを許可しなかった。

 6頭目の牛も良い牛だったが、ムレタをちゃんと振れない闘牛士は何もすることが出来なかった。罵声を浴びた。あー、もう、諦めた方が良いかも知れないね。

 闘牛士が罵声や口笛が吹かれる中退場した後、観客から喝采が沸き起こった。ラ・キンタ牧場のマジョアール(牧童頭)がアレナに登場してアンダルシア帽を取って観客の喝采に応え場内1周をした。良い若牛だった。血統は、サンタ・コロマ。ビクトリーノ・マルティン牧場にも入っている血統。下山さんの話だと、「サンタ・コロマを知っている闘牛士はフィグラになれる。」と言うような格言があるのだそうだ。調べてみたらサン・イシドロが始まって3日間全てサンタ・コロマの血統の牛が出ていた。エルナンデス・プラ牧場だけが最悪だったけどホセ・エスコラル牧場も、今日もラ・キンタ牧場も良い牛を出した。

 今日の見習い闘牛士は、全て勉強不足。パラソンだけは今後を見守っていきたいが後の2人は黙っていても消えていく運命だろう。


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