*5月11日。アルベルト・ラミレスは良いノビジェーロだ。

ノビジャーダ・ピカーダ。牛ーフランシスコ・オヘダ(パコ・オヘダ)

      ロペス・チャベス、ゴメス・エスコリアル、アルベルト・ラミレス。

1頭目。ロペス・チャベス。

 チャベスは4月にラス・ベンタスで耳3つ切って、プエルタ・グランデをした。今日1番の期待だ。

 5月3日もやったがその時はあまり良くなかったみたいだ。ロペス・チャベスが牛門(トリル)の前に行って両膝を着いた。ラルガ・カンビアールをする体勢だ。牛が出てきたが、ラルガ・カンビアールは出来なかった。牛は何かを捜しているようで、頭を低くして鼻面を土(ルエド)に着けるくらいにしていて動かない、走って向かってこない牛だ。

 ピカは背骨の中央から少し右側にずれている。牛を馬から離してチクエリーナをやる。足を出来るだけ動かさないようにしていたが最後は完全に一歩よけてチクエリーナでパセをした。

 ランセは変わってエスコリアル。カポーテの裏側でパセを始めてナバラ、最後はラルガ・コルドベサを決める。これはなかなかやる気が感じられる。カポーテの裏側でパセするのは、91年6月6日ラス・ベンタスでセサル・リンコンがやってからみんな良くやるようになった。特にノビジェーロ達は。

 テルシオ・デ・バンデリージャ。バンデリジェーロがバンデリージャを打った。彼は牛の角と角の間でバンデリージャを打った。拍手喝采で、観客にモンテーラ(帽子)を取って挨拶をした。牛は大分動くようになってきた。ピカとバンデリージャが刺激になったみたいだ。特にピカが良かったと思う。

 テルシオ・デ・ムエルテ。アレナの中央で両膝を着いた。牛とムレタと闘牛士が直線になった。牛が走って行き、右手で持ったムレタを頭の上で回してパセが始まる。が、すぐコヒーダされた。何ともない。

 牛を誘う時、あまりクルサードしていないが、パセ・デ・ペチョの時の牛の動線と形が良い。それから、パセの時の足の開き方が良い。パセの時、牛を体の近くを通す。これは良い。が、牛の誘い方が良くない。ピンチャソ1回。その後良いところに剣が入った。この時ムレタの棒(タキジャドール)が折れた。”挨拶”

2頭目。ゴメス・エスコリアル。

 エスコリアル。牛はゆっくり出てきてブルラデーラの所で2回廻って角で軽く1回突いた。パセはあまり良くない。ピカは背骨の上、つまり中央に入った。良いピカだ。

 ランセは変わってラミレス。カポーテの裏側で3回パセ。最後も裏側でメディア・ベロニカのようにな形でパセを決めた。これは、受けた。

 エスコリアルはまたカポーテの裏側でパセをした。パセをする時、足を決める時、体が動くのが気になる。しかし、このパセはまあまあだった。

 テルシオ・デ・バンデリージャ。牛が舌を出して止まらなくなってきた。

 テルシオ・デ・ムエルテ。左手でムレタを持って、右手の剣を添えてアジュダード・ポル・アルトをやったが、これは受けた。エスコリアルのパセ・デ・ペチョは体の近くを通してちゃんと体の回りを廻している。これは良い。

 右手のパセは体を過ぎてからムレタが高くなったり、ちゃんと振れなかったりして牛がムレタに触るので見栄えが悪いベルナディーナを5回やった。ピンチャソ2回。その次に決めたが足を刺されたかも知れない。”挨拶”

3頭目。アルベルト・ラミレス。

 ラミレス。今日これまで3頭ともゆっくりトリルから出てきた。ダグを踏んでる時、遊びながらやってるような格好をする。反応が悪い。ランセでのパセで物凄く体の近くを通している。が、パラール出来ないでいる。ピカは左肩の上に刺さっている。チクエリーナをやるが足を一歩引く。チャベスがベロニカをやるが、腰が動く。

 テルシオ・デ・ムエルテ。ラミレスは右手が良い。牛の誘い方も、まあまあだ。いや、誘い方はなかなか良い。彼は地味だがしっかりしている。モリネーテの誘い方から、トゥリンチェラをする。

 ナトゥラルの時、1回1回 体の後ろにムレタを隠してから、クルサードしてムレタを牛の前に出して パセしている。偉い。なかなかのもんだ。終わりの方でパセをやっている時に、ムレタにバンデリージャが刺さってくっついた。剣刺し1回。ちゃんとした所に決まっていた。”挨拶”

4頭目。ロペス・チャベス。

 チャベスは、またトリルの前に行って、ラルガ・カンビアールをする準備をする。両膝を着いた。十字を切った。トリルが開いた。牛が出てきた。牛がジャンプしてラルガ・カンビアールをした。前の席のおばぁちゃんと、右横のご婦人が声を上げて怖がっている。また、ラルガ・カンビアール。

 ランセにパセの時、膝を曲げて誘い、伸ばしてパセする。これはチャベスの欠点だ。ピカは牛の右肩の上に入っている。回転してパセ、決めはラルガ。これはまあまあだ。これも啼く牛だ。パセの時、牛は通過しながら両足を揃えて頭を上に振って角を突き刺そうとして廻っていく。ムレタの時上手くを振らないと危険だ。

バンデリージャは良いところに刺さらなかった。ピカ前のパセの時にちょっと足を痛めている。

 テルシオ・デ・ムエルテ。牛の首がパセの時に何度も上下に振るので角がチャベスの顔に当たりそうになっている。ムレタの振り方があまり良くない。腰が引けている。近場で角の間に体を入れていってムレタを後ろに隠して、それから牛の前にムレタを出してパセをした。

 牛の前30cm位前に立っている。こいつは体をはってやている。しかし、良いパセをした後なら認めるが、パセがしっかりしていない。TENDIDOS7は不満だ。当然だ。

 マノレティーナをやっている。牛が体の近くを通っていく。スエルテ・コントラリアで剣を刺そうとしたら、コヒーダされそうになった。スエルテ・ナトゥラルで剣刺しを試みるがピンチャソを3回続ける。ボラピエの4回目でようやく決まる。

5頭目。ゴメス・エスコリアル。

 エスコリアルもトリルの前に行ってラルガ・カンビアールの用意をする。この牛は突進する牛だ。ピカは右肩の後ろに刺さった。馬から離された時に両前脚を着いて2・3歩、歩いた。

 彼の牛の誘い方は良くない。パセも今回は良くない。この牛はピカドールが非道い刺し方をしたので動きが良くない。牛は立っている時はそうでもないが、走る時、カポーテに行く時、頭が凄く低くなる。今度のピカは良いところに刺さった。

 テルシオ・デ・ムエルテ。ナトゥラルの時は危ない。コヒーダされそうになって、それでもナトゥラルを続けているが角でムレタをはらわれている。パセの後、牛が闘牛士を探しに行く。非常に危ない牛だ。

6頭目。アルベルト・ラミレス。

 牛が悪すぎた。何もできない。

 

===今日の一言===

 チャベスは期待していたが、駄目だった。体を張った闘牛をするところは買える。つまりやる気を感じさせる闘牛士だ。やる気先行型闘牛士。バリエンテだ。

 エスコリアルは今日観た中で最低だ。牛を知らない、扱えない。パセも良くない、牛を誘う時も角の間に体を入れて誘わない。つまりクルサードしない。ただカポーテは良いものを持っている様だが。

 ラミレスは1番良かった。牛を知っているし、闘牛を良く理解している。カポーテも、ムレタも良い。1番良いのは、牛の誘い方。ノビジェーロであることを考えると、これから本当に楽しみだ。理念先行型闘牛士。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


98年フェリア・デ・サン・イシドロのカルテルに戻る

ホームに戻る