例(法人税)6

更新2001年9月1日

2001年6月11日

[26]売上高からの課税(最高裁の判決878/仏暦2529西暦1986原告は法人、被告は国税局)

 課税係官は、原告に会計帳簿及び書類を要求した。それは、いろいろな会計帳簿14冊、支払と対になる重要書類7ファイル、同時に債務者カードもう1箱からなる。そして、新たに原告の所得を計算し確実に増税できるまで調査した。従って、原告から他の書類を要求し、再度調査する必要性のある又は適切な理由はない。課税係官が他の書類すなわち分割契約、月賦契約、保証契約及び棚卸商品の明細を要求し再び調査することは、問題を解決するのに適切でない書類を要求したことであり、国税法71条(1)の方法に従って支出を控除する前の売上高から原告に課税する理由はない場合、国税法19条(調査のために書類等の提出)に適合していない。。
 原告は、課税係官が新たに所得を計算し増加税額を支払わせたことがいかに正しくないか明白に主張することができない。原告は、当然課税係官の課税に従って所得から増加税額を支払う義務がある。

 

解説
1. 通常法人税は、国税法65条の2、65条の3に規定されている条件に従って、収入から支出を控除した利益から徴収する。しかし、支出を控除しないで収入から徴収するいくつかの場合がある。その一つの場合に、会社又は法人格のある組合が、法人税の計算において使う必要のある申告書を提出しなかった、会計処理しなかった、会計処理したが完全に17条、68条の2の規定に従っていない又は、19条もしくは23条の規定に従って課税係官の審問のため会計書類もしくは他の会計証憑を提出しなかった場合には、課税係官は、当然会計期間の支出を控除する前の収入又は売上高のいずれか多い方の5%以内(以前は2%)で法人税を課税する権限がある。もし支出を控除する前の収入又は売上高が明らかでないならば、課税係官はその会計期間前の収入又は売上高と比較して課税する権限がある。もし前の会計期間の収入又は売上高が明らかでないならば、適切と考えられるものにより課税することができる。(国税法71条の(1))
 もし会社又は法人格のある組合が、認められる釈明があるならば、71条の(1)に従って支出控除前の収入又は売上高から課税する理由がない。例えば、他の場所で火災が発生し納税者の事業場に延焼したことにより、会計書類又は他の証憑がすべて燃えてしまった場合又は、会社又は法人格のある組合の事業場に会計書類又は他の証憑の移動が間に合わないくらいに急に洪水が発生し、なくなってしまい読めない場合、認められる釈明とすべきである。課税係官は支出を控除する前の収入又は売上高から課税する権限はない。

 最高裁の判決151/2523
 シロアリが会計帳簿及び書類を課税係官に提出することができない状態になるまで食べてしまったと述べた。原告は、課税係官が71条の(1)に従って2%以内で法人税を課税する権限がある領域にいない。最初に事実関係を聞かなければならないという問題がある。この裁判において、まだ証拠を調べていないので、最高裁は判決できていない。

 最高裁の判決2785/2528
 原告は課税係官の要求した会計帳簿及び証憑を提出できないと述べた。なぜなら会計帳簿及び書類がシロアリに食われなくなってしまったからである。帳簿は全部ではなく半分だけシロアリに食べられたことが明らかになった。それゆえ、もし真実ならば、原告は残りの部分を証拠として保存すべきである。なぜなら原告は損失の申告書を提出し、納税する必要がないからである(申告書を提出するものは、帳簿書類を保存しなければならないということをただ単に意味しているのではないかと思う)。原告は、課税係官が会計帳簿及び証憑の調査を請求することができ、シロアリに食われなくなってしまったことから残りの部分の会計帳簿及び証憑を提出することを認めるべきである。課税係官は、原告が申告書を提出することは正しく又は完全なものであることをいかに調査することができるだろうか。それだけでなく、原告から権限を委任されたものが、最初に課税係官に対して陳述するとき、シロアリに食われなくなってしまったことを述べなかった。しかし、個人所得税部門は、原告の帳簿のいくつかの部分を要求し調査したことをあげた。原告から権限を委任されたものは、帳簿及び書類がシロアリに食われたことを述べるべきであった。それで、2度目に課税係官に対して陳述するとき、帳簿及び書類がシロアリに食われたということを述べても、認められなかった。従って、原告が帳簿、書類又は証憑を課税係官の審問又は調査のため提出しなかったとみなさなければならない。課税係官は、71条の(1)に従って支出控除前の収入又は売上高の2%以内で法人税を課税する権限がある。

2.たとえ課税係官の命令に従って帳簿、書類又は証憑を提出しなかった会社又は法人格のある組合の釈明が認められなくても、しかし、もし課税係官が提出を要求した帳簿、書類又は証憑が、問題を解決すべき帳簿又は証憑でなかったならば、課税係官は当然、71条の(1)に従って支出控除前の収入又は売上高から課税する権限はない。なぜなら19条及び23条は、特に問題を解決すべき会計帳簿又は他の証憑についてだけ課税係官は要求命令ができるとしているからである。
 19条及び23条に従って問題を解決すべき会計帳簿又は他の証憑とは、調査、納税に使う必要性のある会計帳簿又は他の証憑を意味している。この裁判において事実関係は、課税係官は会計帳簿、書類及び他の証憑を要求し、一度調査して、新たに原告の所得を計算し増税した。従って再度の調査において、会計帳簿、書類及び他の証憑を使う必要性のある理由はない。分割販売契約、月賦契約、保証契約及び棚卸商品の明細を要求し再度調査したことは、調査に使う必要性のない書類を要求することであり、問題解決とならない書類を要求し調査したことになる。課税係官は要求する権限はない。課税係官が原告に要求するとき、たとえ書類を提出しない釈明が認められなくても、課税係官は71条の(1)に従って支出控除前の収入又は売上高から課税する権限はない。

3.1、2に述べたことに従い、もし課税係官が要求命令した会計帳簿又は他の証憑が、問題を解決すべき会計帳簿又は証憑であり、即ち調査のとき必要性があり、要求命令を受けた会社又は法人格のある組合が認められる釈明もなく、違反して提出しなかったならば、課税係官は当然、71条の(1)に従って支出控除前の収入又は売上高から課税できる理由がある。(この場合、控訴は認められる。従って21条又は25条に従った控訴できない課税とは異なっている。)しかし、もし課税係官が要求命令した会計帳簿又は他の証憑が、問題を解決すべき会計帳簿又は証憑でない、即ち調査のとき必要性がないならば、課税係官は当然、71条の(1)に従って支出控除前の収入又は売上高から課税する権限はない。たとえ、会計帳簿又は他の証憑を提出しない釈明が認められなくても、この裁判の例のように権限はない。
 

コメント
@19条及び23条は、特に問題を解決すべき会計帳簿又は他の証憑についてだけ課税係官は要求命令ができるとなっているが、実際上区分は難しいだろう。単なるいやがらせ又は法人の調査をしているのに個人のことに関することまで調べるときなどは当然拒絶できるであろうが。

 

[27]適切な理由のある市場価格より低い価格による商品の販売(最高裁の判決525/仏暦2537西暦1994原告は法人、被告は国税局)

 原告が市場価格より低い価格で砂糖の残りかすを他の会社に販売することは、その会社が原告にタイ南部の22県でメコンとクワーントーンを特別に調合した酒を送付し販売する権利を与えることとの交換のため、適切な理由があるとみなされる。そこで課税係官は、販売した日の市場価格に従って砂糖の残りかすの価格を見積り又は原告に増加税額を支払わせる権限はない。

 

解説
1.納税するとき利益に含めて計算しなければならない収入は、実際に受ける収入でないものも含められる。それは、法律が規定している収入である。例えば、関係会社もしくは関係する法人格のある組合、本店、支店、本人、代理人、雇用者、雇用主に対し、又はこれらの命令に従って、外国に商品を輸出すること。国税法70条の3は、国内における商品の販売とみなし、送った日の市場価格に従った商品の価格を、送った会計期間の収入であるとみなす。たとえ事実はまだ販売しておらず所得がなくても、その会計期間の利益の計算に含めなければならない。これだけでなく、これは、課税係官が定める収入であるとすることもできる。なぜなら会社又は法人格のある組合が、適正な理由がなく、代価、サービス料、利息なしに又は、市場価格より低い代価、サービス料、利息により資産の譲渡、サービスの提供もしくは貸付をした場合において、国税法65条の2(4)は、課税係官が譲渡、サービスの提供もしくは貸付の日の市場価格に従って代価、サービス料、利息を見積る権限があることを規定している。

 最高裁の判決1259/2520
 原告は、47500バーツから50000バーツまでの価格で自動車を月賦販売した。しかし、1台は17500バーツ、もう222台は17000バーツで販売したと粉飾した証拠を作った。このように、その価格は適正な理由のない市場価格より低い価格である。課税係官は、国税法65条の2(4)に従って新たに価格を見積る権限がある。

 最高裁の判決3796−3797/2525
 販売した株式の金額が大きく、原告の株式を買ったものは原告が株主である会社であるが、たとえ原告が自分が所有者である株式を市場価格より低く販売しても、売買について仲介料を支払う必要がない。そこで、利益関係のない他人に販売するより、より適切な理由のある販売(仲介料がない分低い価格による販売と思われる)である。課税係官は、国税法65条の2(4)に従って市場価格を見積ることはできない。

 

 最高裁の判決3653/2531
 原告である会社は、もし会社が返却したお金の徴収を要求するならばいつでもという条件で、株式の代金を株主に返却した。株主はすぐにお金を返却に使わなければならない。株主が株式を返却することは一時的であり、事実関係は、原告が利息を得るため貸付の事業を行っているということが明らかになった。そこで、株主に支払った金額は、原告が株主に借入れさせたお金である。利息を計算しないで、原告が株主に借入れさせることは信じるべきではない。課税係官は、他人に貸し付けるのと同様に一年あたり15%の利息を計算して原告が貸付をしたというようにみなして、当然法人税及び事業税を課税する権限がある。このことは、65条の2(4)に従った権限による。

 最高裁の判決2187/2532
 状況を考えると、原告が原価で酒を販売したと信ずることはできない。租税回避又は納付を少なくするため、原告が原価で酒を販売した、すなわち市場価格ではなく適正な理由なしに低い価格で販売したという帳簿及び書類を示したとき、課税係官は、国税法65条の2(4)に従って市場価格を見積ることができる。

 最高裁の判決495/2534
 たとえ持分を持つ原告の管理者が、原告の債務を保証して原告を援助しても、仕事に注意を払って組合の仕事をうまくいくようにしなければならない及び保証をすることについて犠牲になる人でなければならない持分を持つ管理者の義務であり、原告が報酬を支払う持分を持つ管理者の義務の遂行でもある。原告が債権者に対しより高い利率で利息を支払わなければならないときにおいて、一年あたり1.5%及び1.25%のたいへん低い率で利息を計算して、他の者から借入れすること又は原告からお金を管理者が借りることは、適正な理由がない場合である。課税係官は、国税法65条の2(4)に従って、借りた日の市場価格を見積る権限がある。

 最高裁の判決3819/2534
 これは、2511年の勅令(第5号)の15条により国税法を修正し強制的に使われる2522年1月1日前に判決した。論争がある場合、強制的に使う65条の2(4)の規定は、「代価又は代価があっても市場価格より低い価格で資産を譲渡する場合において、課税係官は譲渡の日における市場価格によりその資産の価格を見積る。」と規定されている。この規定は、課税係官が市場価格を使って低いと思われる賃借料を見積る権限があると解釈させることはない。なぜなら、貸付は資産の譲渡ではない。課税係官の見積る権限は、見積る会計期間のため強制的に使用される法律に従って、原告が低すぎる所得(低い収入を記帳)を示している場合、ありうる。事実関係は、原告が本当に賃貸料を受けたところに従って、収入を記帳していることで終了している。本当に受け取ったものより低い収入を記帳している場合でなく、課税係官が新たに賃貸料を決め、課税することができるとすべき所得であるとする権限はない。なぜなら、そのとき課税係官に使わせることができる法律はない。課税係官の課税、この部分の控訴審議委員会の判決は、法律に適合していない。
 もしこの裁判の賃貸料が、2522年1月1日以後の会計期間の賃貸料であるならば、課税係官は賃貸料を見積る権限があり、市場価格に従うことが可能となる。なぜなら2521年の勅令第5号15条によって国税法を修正することにより、新たに修正された65条の2(4)は、「適正な理由がなく、代価、サービス料、利息なしに又は、市場価格より低い代価、サービス料、利息により、資産の譲渡、サービスの提供もしくは貸付をした場合において、課税係官は譲渡、サービスの提供もしくは貸付の日の市場価格に従って代価、サービス料、利息を見積る権限がある」と規定している。資産を賃貸することは1つのサービスを与えることである。適正な理由がなく、受け取った賃貸料が市場価格より低いとき、課税係官はそのときの市場価格に従って見積る権限があるべきである。

2.この解説の裁判。原告が会社に対して市場価格より低い価格により砂糖の残りかすを販売しなければならない理由。原告は、その会社からタイ南部の22県でメコンとクワーントーングを特別に調合した酒を送付して販売する権利を得た。もし原告が市場価格より低い価格で販売しないならば原告はその権利を得ていない。市場価格より低い価格で販売することに適切な理由があると思われる。適切な理由があって市場価格より低い価格で販売したとき、課税係官は65条の2(4)に従って市場価格に従って販売した砂糖の残りかすの価格を見積る権限はない。税務裁判所が、課税係官の課税及び控訴税務審議委員会の判決を取り消す判決をした。最高裁は支持する判決をした。従って法に適合している。

 

コメント 

@最高裁の判決495/2534について、持分を持つ原告の管理者が、原告の債務を保証して原告を援助することは義務なのか。原告が報酬を支払う持分を持つ管理者の義務の遂行でもあるのか。
 原告が債権者に対しより高い利率で利息を支払わなければならないときにおいて、たいへん低い率で利息を計算して借りることは、適正な理由がない場合である。原告有利になるから問題にならないと思うが、訳が間違っているのか。

Aここでは、交換の取り扱いについて問題となっていないが、日本では当然、販売権の取得(資産計上)、売上の計上が問題になる。さらに、相殺になっている部分の金額の付加価値税との関係は。日本の消費税の場合、相殺になっている部分の金額は消費税の対象とされる。

 

 

[28]支出を控除する前の収入の5%で課税すること(最高裁の判決995/仏暦2540西暦1997原告は法人、被告は国税局)

 国税法69条に従って会計期間の終了の日から数えて150日以内に、税金の計算に使う必要性のある申告書を提出しないとき、23条に従って課税係官が、召喚状を発行することは法に適合している。課税係官は、当然24条又は71条(1)に従って原告に課税する権限がある。2527年11月20日に出された国税局通達ポー5/2527の第3項に従って行う方針を遵守して、たとえ通達が法律でなくとも、原告の場合に71条(1)に従って法人税の課税を行う方針である。原告は、2533年の会計期間において損失のため精算しなければならない法人税がないことが明らかになった。そこで、課税係官は、法律が権限を与えたところに従うよりも多く税を得ることになる71条(1)に従って法人税を課税した。課税係官の課税及び控訴税務審議委員会の判決は、法に適合している。

 

解説
 
この事例の課税は、課税係官が71条(1)を根拠としているだけでなく、国税局通達ポー5/2527を根拠としている。71条(1)に従って法人税を課税することは、2527年11月20日に記された。しかし、国税局通達は法律ではなく、国税法の中の規定でもない。国税局又は国税局長の権限で通達を出している。従って通達は納税者に強制的に使うことはできない。国の官吏の規則管理について、法律に従って国税局長の命令下にある課税係官に強制的に適用される結果となるだけである。通達の中で71条(1)に従って法人税を課税するのに課税係官に方針として遵守させるということが明示された。それゆえ前述の通達がある。国税局は2528年9月26日に出された、支払の際所得税を控除する義務のある40条に従って所得を支払う人に課税すべきであるという国税局通達ポー4/2528(3条の13に係る通達)と異なる場合、これは納税者に強制的に適用される結果となっている。なぜなら3条の13(源泉徴収に係る命令)は、国税局長がこのように通達を出すことができる権限を与えている。国税局通達ポー5/2527が納税者に強制的に適用しないときは、国税局の課税係官は、通達を参照して71条(1)に従って法人税を課税することはできない。71条(1)を参照するだけである。なぜなら課税することは、納税者に対して行わなければならないことであり、行う又は課税することができるということは、法律又は法律に従って出された通達を根拠としなければならないだけだからである。
 通達は国税局内だけの命令であり、国税局の係官が前述の通達の第3項の中で課税の順序の前に遵守しなければならない命令である。「会社又は法人格のある組合は、69条に従って会計期間の終了の日から数えて150日以内に税金を計算するとき必要な申告書を提出しない場合、課税係官は召喚状を発行する権限があり、24条に従って調査し法人税を課税し、同時に26条に従って精算しなければならない税額の2倍の加算税を課税する又は、71条(1)に従って法人税を課税することができる。どの方法がより多い金額であるかによる。」ということが明示されている。24条に従った課税は、65条及び67条に従って税率30%以内で所得を基礎として通常の方法に従った課税である。一方71条(1)に従った課税は、5%以内で支出を控除する前の収入を基礎とした課税である。もし23条に従って調査審問の結果、その会計期間において調査審問を受けた会社又は法人格のある組合に、所得があることが明らかならば、課税係官は、会社又は法人格のある組合に24条に従って権限を使い課税することができる。しかしその権限を使う前に課税係官は、最初に71条(1)に従って支出を控除する前の収入の5%以内による課税と比較しなければならない。もし比較した結果、どの方法がより多く税金を得るか明らかになったならば、課税係官は強制される国税局通達ポー5/2527の第3項に従って、その方法により課税しなければならない。しかし、23条に従って調査審問した結果、会社又は法人格のある組合に損失があることが明らかになったならば、課税係官は24条に従って課税して精算させる税金はないし、課税係官に71条(1)に従って5%以内の税額と比較させることができる税金はない。それゆえ、会社又は法人格のある組合が損失がある場合において、課税係官は、当然71条(1)に従って5%以内で課税する権限はない。なぜなら前述の第3項と矛盾するからである。

 

コメント 

@国税局通達ポー5/2527は取り消され、現在はポー78/2541となっている。ポー5/2527の原文はないのでどこが変更になっているのかわかりません。(国税局通達ポー78/2541を参照)

A国税局通達ポー78/2541を読んでも、24条に従って計算した税額+加算税と71条(1)に従って計算した税額を比較することになっているがこれでよいのか。71条(1)に従って計算した税額に加算税はプラスしないでいいのか。この事例では71条(1)に従って計算した税額プラス延滞税になっており、加算税の記載はなかった。(「タイ国税法」の中で、認定課税には、原則的に加算税及び延滞税も課税されると記載されていたが)

 加算税の場合は何条による課税の場合にいくらと規定されているが、延滞税は第2編(5条〜129条)の中で規定されている期限後納付の税に課税される規定になっているからではないかと思う。

B国税局通達は法律ではなく、国税法の中の規定でもない。国税局又は国税局長の権限で通達を出している。従って通達は納税者に強制的に使うことはできない。これは日本と同じであるが、3条の13は国税局長が通達を出す権限を与えている。ここは日本とは違う。3条の13は「国税局長が命令する権限がある」となっているし、71条(1)は「課税係官は課税する権限がある」となっている。そうなるとタイ国税法の中で、「課税する権限がある」と明記されているものについては、通達を出して強制的に使わせることができることを意味しているのだろうか。

C損失が出た場合の通達の解釈が、判決と筆者の考えが違っている。

 

[29]会社又は法人格のある組合の支払の際控除した所得税(源泉所得税)の還付請求期限(最高裁の判決9911/仏暦2539西暦1996原告は法人、被告は国税局)

 2531年1月1日から2531年12月31日までの会計期間において、会社法人である原告が他のものに不動産を賃貸し、3条の13の意味するところに従って出された国税局通達トーポー4/2528に従って5%以内で支払の際所得税の控除をされ、賃貸料を受け取った。しかし、その会計期間において原告は損失となった。即ち原告が精算しなければならない法人税はない結果となった。原告は、源泉所得税の還付を受ける権利がある。しかし、3条の13及び63条に規定しているところに従って、多すぎる源泉所得税を控除された年の最終の日から数えて3年を超えてしまってから、原告は課税係官にその源泉所得税の還付請求書を提出した。被告は原告に対して源泉所得税を還付する必要がなく、この場合27条の3(還付申請)を強制的に適用することはできない。なぜなら27条の3は、特に他で規定していない一般の場合の税及び源泉所得税の還付請求に対して強制的に使われる規定であるが、3条13に従って源泉所得税の還付請求については、27条の3のなかで63条の規定を特に強制的に使うことを規定している。すなわち多すぎる源泉所得税の控除された年の最終の日から数えて3年以内に所得税の還付請求書を提出しなければならない。

 

解説
 
3条の13(国税局長が源泉徴収させる権限があることを規定している)は、国税局長の通達に従って支払の際控除した所得税の還付請求について、63条(支払わなければならない適正な源泉所得税より多く支払った場合の還付を規定している)を準用して使わせるように規定している。63条は、支払わなければならない金額より多く控除及び納付した源泉所得税を還付請求する場合、特に強制的に使う規定であるべきであろう。支払わなければならない義務がないのに源泉所得税を還付請求する場合に強制的に使わない。なぜなら、63条ははっきりと「この第3節(65条〜76条の3、法人税)に従って、法人税を支払わなければならないところより多すぎる金額を、支払の際所得税(源泉所得税)の控除をされ、納付した者は、多すぎる金額の還付を受ける権利がある。しかし、多すぎる所得税の控除をされた年の最終の日から数えて3年以内に課税係官に対して還付請求書を提出しなければならない。」と規定している。「支払わなければならないところより多すぎる金額」という文言は、支払わなければならない義務のない源泉所得税を還付請求する場合まで含めることを意味していると解釈しないだろう。なぜなら、納税しなければならない義務のない場合と異なる納税しなければならないところよりも多すぎる金額の税金を支払の際所得税を控除をされ、納付した場合まで規定している27条の3から考えられるように、1人1人同じように考える。支払わなければならない義務のない源泉所得税を還付請求する場合を含めることを意味していると解釈することは、当然納税者に対して悪い結果となる方向で解釈することである。たとえ国の管理においての支払いとなる収入となるにしても、税を徴収することは、国民に効用がある及び支払う結果に影響を与える。どの状態のどの人からも税を徴収することは、明らかに規定した法律がなければならない。もし税を徴収する法律の文言が明らかでなく、あいまいで又はいろいろに解釈できるならば、納税者によいように又は効用がある方向で解釈しなければならない。悪い結果となるように解釈することはできないだろう。「税法は厳格に解釈しなければならない。」と結果として述べる。イギリスの裁判所は、これまで前述のように解釈する原則を遵守した。税法を解釈する方法を説明するときに、原則として使っている裁判例がある。この裁判の中で裁判官たちは、「税に関する勅命の解釈において、解釈する者は、明確に述べているところにだけ従って、特に事実を審議しなければならない。述べられていない他の意味に解釈することはできないであろう。衡平の原則(裁決に人間の良心を適用すること)に従って解釈することはできないであろう。推測で原則を使うことはできないであろう。条文を補足して読むことはできないし、言葉の意味が変わることにより解釈することはできないであろう。解釈する者は、当然勅命の中で使われているものだけについて解釈できる。」と述べている。
 この裁判の場合、事実関係は、争っている会計期間すなわち2531年1月1日から2531年12月31日までにおいて原告は1,324,666.62バーツの損失をだし、精算しなけければならない税金はない結果となっている。そこで原告は、支払の際控除された税金の全部の還付を受ける権利がある。この場合において税金の還付請求は、多すぎる税金を控除されたという理由としての還付請求の場合ではなく、原告が納税する義務がないことを理由としての還付請求である。それゆえこの場合の還付請求は、63条に従った税の還付請求期限を強制的に適用することはできない。164条(現在の民商法193/30条)に従って10年を適用すべきであろう。なぜなら適用する27条の3(2534年12月26日より適用)はまだなかった。2532年の会計期間において生じた税の還付を受ける権利は、民商法に従って一般的な期間の10年を使わなければならない。27条の3は、この場合遡って適用しないであろう。なぜならこの条に従って、還付請求期限は10年より少ない3年だけであるからである。もし適用したならばよくない結果となる方向で、遡って新しい法律を適用することになるであろう。
 結論としては、多すぎる税金を控除されたことを理由として、3条の13に従って支払の際控除した所得税の還付請求について、還付を受ける権利のある者が、多すぎる税金を控除された年の最終の日から数えて3年以内に課税係官に還付請求書を提出しなければならない。しかし、それを支払わなければならない義務がないことを理由としての還付請求については、もしその支払の際控除した税金の還付を受ける権利が、27条の3が適用される2534年12月26日前に発生したならば、還付を受ける権利のある者は、民商法164条現在の193/30条に従って、10年以内に還付請求できるとすべきであろう。もししその支払の際控除した税金の還付を受ける権利が、12月26日以後に発生したならば、還付を受ける権利のある者は、法律が規定したところに従って、申告書の提出期限の最終の日から数えて3年以内に、還付請求書を提出しなければならないとすべきであろう。ただし27条の3が規定しているところに従って、除外項目に該当する場合を除く。

 

コメント

@支払の際控除される源泉所得税は、その会計期間の法人税の前払いである。従ってその会計期間において法人の所得がマイナスとなった場合には、前払の源泉所得税の還付を受けることになる。例えば、サラリーマンは、毎月給料から所得税を控除され、年末調整においてその年に払った所得税(a)とその年の給料総額から計算したその年の税額(b)を比較して、(a)が多ければ還付するが、少なければ差額を給料から控除される。

A63条の規定は、源泉所得税の控除された年の最終の日から数えて3年以内、27条の3は申告書の提出期限の最終の日から数えて3年以内に還付請求書を提出。

B27条の3の条文は、63条の規定が適用できる場合は、63条が優先すると解釈する。

C損失が出た場合に適正な源泉所得税を還付してもらうときは、日本では申告書に還付請求金額を記載すれば還付されるが、タイの場合は還付請求書を提出しなければならないことになっている(実務での取り扱いはよくわかりません)。「義務のない」ということは、法人税が0であることを意味している。

D原告は、適正な源泉所得税を控除され、損失となったことから還付請求書を出した。裁判所は63条を適用し、還付請求期限を過ぎているので、源泉所得税を還付する必要がないとした。筆者は、「納税しなければならない義務のない場合(法人税が0である)」に該当し、63条は適用されず、27条の3はまだなかったので、民商法の規定を適用すべきであると考えている。

E「多すぎる税金を控除された」とは、適正な源泉所得税を控除され、源泉所得税額と納付すべき法人税と比較して多い少ないといっており、間違って適正な金額を超える源泉所得税を控除されたことを意味していない。

 

[30]保険会社の法人税の支払(最高裁の判決4205/仏暦2533西暦1990原告は法人、被告は国税局)

 原告は、保険必要者から保険を引き受けた。そして、保険必要者から受けた保険料を、保険証書に従ってお金を支払わなければならない場合の損失を軽減するため、保険会社が原告に値引部分又は代理人費用を支払うことにより、国内及び国外の他の保険会社に再保険料として支払った。原告は値引部分を原告の事業における収入として記帳した。このように値引部分の金額は、原告が会計期間において事業を行うことから受けた所得又は収入である。法人税を支払うため合算して計算しなければならない。たとえ、保険会社が計算し法人税を支払っていても、重複して税を徴収することとみなさない。なぜなら1つ1つは法人であり、79条(4)Aに従って「保険業からの収入」という文言の規定は、法人税の場合において使っていない。なぜなら前述の規定は、事業税の話しであるからである。2519年の会計期間の支出として控除した2519年の会計期間の保険料の準備金は、65条の3(1)Aが規定したところに従って、2520年の会計期間の税金を支払うため所得を計算するとき、益金とみなさなければならない。

 

解説
1.保険会社の基準収入は、保険必要者から受け取った保険料及び商省令が許可し、行うことができるその他の仕事又は事業、例えば保険料を銀行に預けることから受取る利子、保険料で他の会社の株を購入することから受取る配当、資産の売却からの利益など、において保険料を投資したことからの収入である。この裁判において原告が必要者から受取った保険料は、通常原告が損害の保証をする事業を行うことからの収入であるとみなす。原告が他の保険会社に再保険をかけたときは、原告は再保険料として保険の引き受け会社に対して支払わなければならないことから、残った部分の保険料は原告が受け取った純保険料である。この純保険料は、税金を支払うため合算して所得を計算しなければならない収入である。この問題における最高裁の判決は法に適合している。
 さらに原告が値引又は代理人費用という文言を使っているところは、正しくないとすべきである。なぜなら原告は保険の代理をする会社ではなく、自身が保険会社であるからである。再保険会社の再保険を必要とした後、受取った収入は、純保険料である。値引又は代理人費用ではない。どのようなものであろうか。

2.原則として準備金については、国税法は税を支払うため所得を計算するとき損金とみなすことを認めない。なぜならまだ支出されていないお金である。税を支払うため所得を計算するとき損金とみなすことができることを認めているいくつかの準備金がある。すなわち生命保険料からの準備金及び他の保険料からの準備金である(国税法65条の3(1))。
 生命保険料からの準備金について、もし再保険の保険料を控除した後、会計期間において受け取った生命保険料の金額の65%を超えないで設けたならば、その保険会社は当然所得を計算するとき損金として控除する。しかし、もし前述の生命保険料の金額の65%を超えたならば、その超える部分は損金とみなされない。保険証書について保険を必要とした金額に従って全額又はいくらかの部分のお金を支払うことがある場合に、支払ったお金、特に生命保険証書について設けた準備金を超えない部分は、再度損金とみなすことはできない。なぜなら準備金のときに損金とみなされた。これだけでなく、もし生命保険証書に従って契約を解除したならば、その契約を解除した会計期間においてその生命保険証書について残っている準備金を戻して、益金として合算して計算する(国税法65条の3(1)@)。
 一方、他の保険からの準備金について、例えば損害保険、もし保険会社が再保険を必要として支出した保険料を控除した後、会計期間において受け取った保険料の金額の40%を超えないで設けたならば、その保険会社は、当然所得を計算するときすべてを損金として控除する。しかし、もし前述の保険料の金額の40%を超えたならば、その超える部分は損金とみなされない。その設けて損金として控除できた準備金について、もし保険証書に従った損害が発生し、前述設けた準備金より多くない保険金が支払われたならば、保険会社はその支払った保険金を、所得を計算するとき損金として控除することはできない。なぜなら、準備金のときに損金として控除してしまった。もしその会計期間において保険証書に従った損害が発生せず、又は発生したが設けた準備金に従って全額を支払っていないならば、保険会社は、設けた又は残っている準備金を場合場合によりその準備金を設けた年の次の会計期間で益金として合算して計算しなければならない(国税法65条の3(1)A)。次の会計期間で益金とみなさないが、生命保険証書に従って契約を解除した会計期間においてまだ残っている準備金があるだけの範囲以内で益金とみなすことにより益金とみなす生命保険料からの準備金と異なる場合である。
 この裁判の原告が、2519年の会計期間において設けた準備金は、損害保険料からの準備金である。2519年の会計期間において原告はどれだけの保険金を支払わなければならないのかを争論する問題はないことにより、2519年の会計期間の所得を計算するとき損金として控除したとき、原告はこの金額の準備金を次の会計期間である2520年の会計期間の所得を計算するとき益金としなければならない。この問題の最高裁の判決は、同様に法律に適合している。

 

コメント 

  1. 79条(4)Aは、旧規定である。原告は、純保険料については値引又は代理人費用であり79条(4)Aの収入とならないので、法人税上も所得とならないと主張した。
  2. 「その準備金を設けた年の次の会計期間」会計期間が暦年であれば、次の年の会計期間はわかりやすいが、会計期間が暦年でない場合にはどう解釈していいのか。タイでは原則として会計期間は一年と規定されているので次の会計期間と解釈してよいと思うが。 

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