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■ Braindish4 〜眠れる神脳塔(かみのうとう)〜 ■

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Ginza part12
 転移してきたところは四方を壁で囲まれた小部屋であった。壁は崩れかけていた。ギンザは足元に落ちていた木づちを拾うと、壁を崩しながら進んだ。崩しても崩しても壁が続く。うんざりして引き返そうかと思ったとき、最後の壁が崩れて占い師の館が現れた。
 館に入ると美しい妖魔の女が出迎えた。
「ちとお尋ね申すが、ここは何という場所でござろう」
「ほほ、ここは”横着の迷宮”よ。とにかく木づちで壁を壊せばどこでも進めるという横着者向けの迷宮なの。でも今まで誰も来たことなかったわ。そうね、初めてのお客さんだから、お礼に何か一つ望みを叶えて上げようかしら」
妖魔は妖艶な体をくねらせギンザに迫った。
「それならば拙者の記憶を戻していただきたい」
妖魔はちょっとがっかりした。
「あら、そんな簡単なことでいいの?」
妖魔は指を軽くギンザの額に押し当てた。次の瞬間、ギンザは全ての記憶を取り戻した。
「ふふふ・・、ふははは。・・・我こそはこの世の支配者」
「あらぁ、あなた性格がまるで変わったみたいね。でも支配者を名のるんだったら、まずこの神脳塔の主になるのがいいわよ。塔が神界への道を開くほどの力をあなたに与えてくれるわ」
「ほう、で、どうすれば主になれる」
「聖堂のテーブルに4つのブレインディッシュを置いた者がなれるのよ」
「この皿のことか?」
ギンザが皿を見せると妖魔はうなずいた。ギンザは一陣の風とともに消えた。

Ginza part13
 ギンザは菜園に転移した。さっきここで会った女、たしかドーアという名だったな。ギンザは過去の記憶を手繰った。あの女も皿を集めているようだ。ギンザはドーアを追いかけることにした。
 菜園の階段を上ると城のようなところへ出た。ここには機械兵士がたむろしており、次々とギンザに襲いかかった。ギンザは究極の武器であるウルサィン・テールムを失ったとは言え、依然として強大な力を持っていた。機械兵士は瞬く間にせん滅されてしまった。
 ギンザは城の2階、3階へと進んだ。ドーアの姿はどこにもなかった。ギンザはちょこまかと襲ってくる機械の怪物達をなぎ倒しながら進んだ。直線の通路を進んでいると、前方で上から何か落ちてくるのが見えた。ドーアのようだった。ドーアはすぐに起き上がると走り出した。ギンザもドーアを追って走り始めた。

Ginza part14
 ギンザはドーアを追って4階へ進んだ。ドーアはかなり急いでいるようで、なかなか追いつけない。なおも追っていると教会の内部のような場所に出た。壁にはステンドグラスがはめ込まれていたが、ギンザはその色彩に目を向けることなく走り抜けた。
 またひとつ階段を上がると、同じような場所が続いていた。やや進むと5つのテーブルが置いてある部屋に着いた。四隅のテーブルの内、3つに皿が載っていた。
「ふふふ・・・。ご苦労なことだ」
ギンザがテーブルに近づくと懐から皿が飛び出し、最後のテーブルに収まった。つかの間、塔は静寂に包まれていた。しかし次第に腹にひびく低いうなりが上り、ついにはエネルギーの束がドッとギンザに流れ込んできた。
「ふはは・・・ははははは、究極の武器など問題ではない、・・ははははは」
ギンザは自分が神脳塔と一体化する錯覚を覚えた。4つの脳皿が荒れ狂うエネルギーの奔流を調整し、ギンザの体に効果的に注入した。
 ギンザはしばらく深い呼吸を繰り返して体を落ち着けると階段を上り始めた。
「まずは力試しにドーアを始末するか・・・、ふふふ、ふははは・・・・」

Ginza part15
 階段を上がると生物の胎内のようにところに出た。ギンザは自分の体を脈打つエネルギーが壁の脈動に同期しているのを感じた。ギンザは胎内の1階から5階まで息もつかず進んだ。もはや塔に生息する怪物は敵ではない。ギンザの忠実なしもべと化していた。何者にも邪魔されることなく進んだ。
 5階を進むうちについにドーアの後ろ姿を捉えた。ギンザは不気味な笑いを浮かべて印を結び、ドーアに向かって指を突き出した。その瞬間、ギンザの指から熱線がでてドーアに向かった。しかしドーアはすんでのところでかわす。ギンザはさらに低く何ごとかを呟くとゆっくりと片手を上げた。その手に暗闇が絡み付き、球をなす。手を振ると漆黒の球がドーアに強烈な衝撃を与えた。ドーアは通路の端まで弾き飛ばされ穴に落ちた。
「ふははは、4階に落ちたか。命拾いしたな・・・、ははははは」
ギンザは満足そうに笑うと塔の頂上へ転移しようかと考えた。
「いや、アレクと2階で出会ったな。この上にいるかも知れぬ」
今はっきりと思い出した。2階で出会った剣士はアレクだ。以前二度戦ったことがある。一度目は負け、二度目は究極の武器を巡って戦い引き分けた。幸い究極の武器は手に入れたが・・・。
 ギンザは歩いて進み始めた。階段を上り、神殿の1階、2階と進んだ。

Ginza part16
 神殿の2階の階段を登ると祭壇に出た。司祭のような男と大女がいる。大女は1階で声をかけてきた女だ。司祭が先に声をかけてきた。
「おぬしか、塔を目覚めさせた者は。頂上へは行かせぬぞ」
「・・ふふふ、ふははは。我は、塔の力を得たる者なり。お前のような者に邪魔はできぬ」
ギンザは鼻で笑ったが、次の瞬間、女が攻撃をかけてきた。ギンザは赤子の手をひねるごとくあしらった。さらに二人は衝撃波を撃ってきたが、ギンザにとってはそよ風が吹いた程度にしか感じなかった。
「ふはははは、無駄なことを」
うっとうしくなったギンザは手をゆっくり上げて闇の世界からどす黒い冷気を集めた。さっと手を振ると二人はいとも簡単に倒れた。
「ははは・・・、俺に逆らえるやつはいまい」

 ギンザは階段を登り頂上にたどり着いた。忘れもしない。ここで大雷撃を食らって不覚を取ってしまった。しかし今回は神脳塔の膨大なエネルギーを得ている。
「ふふふ、ははは。今度は負けはせぬぞ」
ギンザは神脳塔のエネルギーの波動に合わせて手を動かし、力を収束して神界への扉を開いた。
「さあ来るがいい」
すると一条の光とともに神界への道が現れ、禍々しい神が降臨してきた。

Ginza part17
「待っていたぞ、神界の扉を開きたる者よ。おまえに祝福を与えよう」
降臨してきた魔神はそう言うと大雷撃をギンザに浴びせた。
「・・・ぐ、ふはは、これしきの雷撃などもはや通用せん」
ギンザは塔から流れ込むエネルギーを凝縮して衝撃波を撃った。魔神は一瞬よろめいたが、すぐに反撃してきた。
「小癪な、神脳塔の力がどれほどの物か見せてもらおう」
次々と熱線や火球、雷撃がギンザを襲った。ギンザはそれらを巧みにかわしながら攻撃をかけたが有効な打撃は与えられなかった。

 そうこうするうちに横からドーアが攻撃に加わった。魔神のガードは固く、なかなか有効打が当たらなかったが、ドーアの爆裂火球が立て続けにあたり、魔神がよろめいた。すかさずギンザは漆黒の邪剣で切りかかる。しかしこれは魔神の誘いの手で、ギンザの剣は空を切り、魔神の刃がギンザの体を切り裂いた。
 ギンザは床に倒れ、血がドッと吹き出した。身動きが出来ない。とどめの攻撃が来たら死ぬ、ギンザは瞬間そう考えた。しかし後ろからアンパが現れ、魔神の攻撃を遮った。
 ギンザは血止めの呪文を唱えながら、なんとか神脳塔の力を集めようとした。その時後方で大声が上り、剣士のアレクが魔神に切ってかかった。驚いたことに次々と魔神を切り裂いていく。魔神はアレクの持っている剣がプラネット・パスタ・デラックスであることに驚きの声を上げた。そして魔神は倒された。

 神脳塔が崩れ始めた。ギンザは最後の力を振り絞って転移の呪文を唱え、ダークゾーンに逃がれた。転移してしばらく身動きできなかったが、しだいに回復し、一息つく事が出来た。
「魔神は・・・、プラネット・パスタ・デラックスと言っていたな」
徐々にアレクが戦う姿が思い出される。
「恐るべき威力・・・、必ず手に入れてみせる」
ギンザはそう呟くと、ふらつきながらも立ち上がり、ダークゾーンでも最も闇の濃い場所へと消えて行った。

-- The end of Ginza --


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