F1ヨーロッパGP。
今年は予選から決勝まで、パンクなどの明らかなタイヤの故障がない限り、タイヤの交換ができないというルール。毎レース後、走り終えたタイヤは溝が薄くなり、どろっと溶けたゴムがグロテスクな感じにタイヤにこびりつく。で、そのルールが本領を発揮した、ヨーロッパGP。
レースの後半、首位のライコネンの右のフロントタイヤが厳しくなり、オンボードカメラでその振動が確認できるほど。何度もコースオフするが、なんとか首位をキープ。2位のアロンソもタイヤが厳しいが、マシンの振動のせいかペースの上がらないライコネンにぐいぐい近づく。残り3週で3秒差、残り2週で2秒差、タイム的にはライコネンを交わすことが出来るかもしれない。ライコネンは、アロンソの追撃を凌げるか。ライコネンのタイヤは最後まで保つのか。
そしてファイナルラップを迎える。コントロールラインを過ぎた時、その差は1.5秒。ライコネンのすぐ後ろにアロンソがいる。
そして、ストレートから第1コーナーに入る直前。
タイヤの振動に耐えきれなくなって、ライコネンのマシンのサスペンションがとつぜん壊れ、弾け飛ぶ。そのままライコネンのマシンはタイヤを振り回しながら、グラベルに突っ込んでいった。タイヤがマシンとケーブルでつながっていたので、タイヤはライコネンの顔面の前を掠めるところで済んでいたけど、ケーブルまで切れていたら、タイヤがライコネンの頭にヒットしていたかもしれない。怪我はなかったものの、危険なクラッシュだった。
すぐ後ろを走っていたアロンソは、そのクラッシュを交わし首位に躍り出る。そして、優勝。今季4勝目がファイナルラップに転がりこんだ。
それにしても、衝撃的だった。