決行 (自宅 〜 登頂まで)


 3年振りの単独夜間行となった今回は,趣向を変えて
「40歳おっさん(東京在住)の単独夜間富士登山ルポ」形式で
仔細にレポートしてみたいと思う。

 「こんな感じでやってるんだ」と雰囲気を味わっていただければ
幸いである。


  2003年8月10日(日),前日に猛威を振るった台風10号も
何とか日本列島を横断したようで,まさに台風一過の晴天となった。

 さて,暑さもぶり返してきて,こうなってくると,秋並に涼しい五合目まで行く
までの服装に困るのである。
 一番困ったのがズボン。 今回の登山用ズボンは,都内からはいていくには
暑すぎるので,急遽,膝までのズボンをはいて行くことにし,登山用ズボンは
現地で着替えることとしザックの中に待機となった。
(ようするに,荷物がひとつ増えたのだ。 また,現地で着替えることができるのかも
 やや心配だった)

 なんだか待ち切れなくなって,ちょっと早いが11:20頃,家族に見送られて,自宅を出発。

 13:13発こだま421号で一路「新富士」駅へ。

 普通,新幹線は,帰省とか出張とかでしか使わないので,こういう純粋な遊びで
使うと,なんだかとってもリッチな気分であった。(なんて小市民 !!)

 たかだか70分ほどの超高速移動を終え,無事に「新富士」駅に到着。
 すぐさま,登山バス乗り場を確認する。これは,お盆で車での五合目入りが
できない交通規制の時期に入っていたため,バスが満員で乗れなくなるのを恐れていた
ためである...が,バス停まで行ってみると,人影もまばらで数人の登山客が見えるばかり
で,その人たちも,富士急バス案内所で乗車券を買うと,何処へと姿を消した。
 私も案内所に並んだが,一人前の外人(一緒の新幹線だった)が,すでに終バスが出てしまった
行き先への別ルートを尋ねており,窓口のおばさんも親切に教えているので,えらい長いこと
待たされた後に,ようやく五合目までの乗車券を入手した。
  ここで,噂に聞いていたセット券を入手することができた。これは,往復割引券なのだが,
発着の駅が違ってもよいので,今回予定したような
「JR新富士駅⇒富士宮口新五合目→山頂→須走口新五合目⇒JR御殿場駅」
ような変則往復の場合でも有効なのだ。
 これで,2320円+1500円 のところが,3000円になるのだから,かなりお得である
 ただ,この場合,帰りもバスに乗る必要があるので,乗り遅れたりしてタクシーを使用
せざるを得なくなった場合には無駄になる危険性も秘めているが,そこは今までの経験と
自分の足を信じて,『間に合えばラッキー』を狙ってみることにした。

 15:15 新富士駅前を定刻どおりに出発。20人程度のお客だが,小型の路線バスなので
結構満員である。おまけに,相変わらず半数以上は外人である。外人...騒がしい..声でかい。
 当面の懸念事項であった登山バス着席の成功に安心したのと,今夜の睡眠を稼ぐために,
早速仮眠としゃれ込んだ。
 バスのクラクションで目を覚ますと,「新富士」駅発車後30分経っていたが車内の状況に変化は
ない。たしか,途中でJR富士宮駅に立ち寄る筈だが..と思っていたら,15:57に富士宮駅到着。
 ここで,さらに東南アジア系外人+運動部系日本人の団体が2組計20人くらい乗ってきて
車内は立ち客で一杯に。 高い金払って新幹線に乗って,始発バス停まで行っててよかった。

 ここで,隣に座って来た東南アジア人風若者(男)が,妙に足を広げてなんだか太ももを摺り寄せて
来るような気配があった。
 昨日,床屋で頭髪もさっぱりと整えてきたこともあり,『もしかして,ゲイの若者に気にいられたか?』
と,ちょっとフクザツな気持ちになったが,基本的に東南アジア方面の風体があまり好きでないので
横目でチョビッとだけ『恐い目』でアイコンタクトをとってあげたところ,さっと体を離して,その後は
接触すらなかった。これで安心して寝れると,再度睡眠に入った。Zzzzzz...

 その次目を覚ました時には,丁度バスは「富士山スカイライン」に入って行くところで,
これから高度1000mを稼ぐ登りに取り掛かった。
 3年前,マイカーでこの道を走った時に,かなりのカーブの連続に,同乗者はおろか,運転手まで
なんだか気持ち悪くなってしまったこともあり,酔わない体制作りに注意を払っていたが,
 今回のバスの場合,カーブになると極端にスピードを落としたり,雲の切れ間では風景を
眺められるようにかほとんど停止までしてくれたので,車酔いの心配は全然なかった。
 またしても,「富士スカイライン」入り口から五合目までの間で,雲を突っ切って上に出たのだ。
 そのせいもあり,17:15終点「富士宮口・新五合目」着時点では,晴れ渡った青空ときれいな
富士山を望むことができたのだ。 ↓五合目から見上げた富士山頂方向。

                   

 明るいうちに,登り始めたい気持ちも大きかったのだが,この富士宮口では,ハイペースで
登れる予感もあり,やはり高山病予防の高度順化が必要かと,ガラガラの食堂で,
カレー1杯で1時間粘り,土産物を見たりしてさらに時間をつぶす。(もちろん買わない)

 余談だが,この富士宮口・新五合目食堂のメニューはといえば,大体こんな感じである。
  うどん系(山菜うどん,天ぷらうどんなど)  ・・・  700円
  カレー      ・・・ 1000円 (私が今回食べたやつ)
  山菜定食    ・・・ 1500円 (ここで宿泊する場合の夕食メニュー。一般でも食べられる)
  カップヌードル ・・・ 300円   
  おにぎり    ・・・ 500円 (3個入り,沢庵付き)
  味噌汁     ・・・ 200円 (上記おにぎりとセットで食べている場合が多そう)


 この間,五合目での登山者準備者は,ざっと30名位かと思えたが,皆,夜間登山用装備の
準備に余念がない,手馴れた感じである。
 そろそろ手馴れた部類に入ってきた私も,着々と準備をすすめつつも,さらに時間をつぶし

19:00 富士宮口・新五合目をスタート。(標高 2400m 14℃)

 スタート直後にある,名物バイオトイレで小用を済ませ(もちろん,100円カンパ済。
思えば,3年前の初富士登山はここで断念したのだった..懐かしい..)

 下山者とすれ違いながら,なんとかライトが不要な明るさ(暗さ)の中,そこそこの
坂道を登っていくと,突如視界が開けたかと思うと,

19:15 新六合目雲海荘 に,あっさり到着。 (2490m)

 この雲海荘(&宝永山荘)は結構大きく,明るいライトの上に中ですでに宴会モードに
入っているおやじの団体もいて,河口湖口よりもはじけた感じさえした。(ここでは...)
 山小屋の爺さんが,「これから山頂に行っても御来迎までの待ち時間が長くて,寒さに
耐え切れないよ〜。泊まっていきな〜」
と客引きをしていた。 

   ← 雲海荘前の風景

 ウォーミングアップさえ終わっていないような距離しか歩いていないので,そそくさと
登坂開始。

19:33 六合目看板着 (2600m)

 ここが,旧(本家?)六合目らしく,昔小屋があったとか聞いた気もするが,今は看板だけ。
 引き続き登坂を開始するが,途中(19:53 2660m 12℃)あたりで,少し強くなった風に
寒さを感じたので,雨具の上着を着る。

 ふもと方向(太平洋の方)を見ると,富士宮,三島あたりの夜景がすごくきれいで,おまけに
3箇所くらいで行われていた花火大会の花火もみることができた。
 小さく丸いのがポンポン上がって,花火を上から眺めるという変わった趣向を楽しめた。
 前後して登っている人も,しばし歩みを止めて見物。

  ← 夜景の一部。露出不足。本当はもっときれいだった。

20:15 新七合目御来光山荘着 (2745m 10℃)

 「寝ている人を起こすな」の看板があり,電灯はあるものの,静かな雰囲気の小屋である。
 小屋の人も見えないし,噂通り焼印も終了だった。(押してもらうつもりはなかったが)
 20:22出発。

 この頃には,風もおさまってきたが,ほとんどの人を追い越してしまったため,同様のペースで
先行する人のヘッドライトを遠くに見ながら,一人で歩いていた。

21:04 七合目看板通過 (3010m)

21:08 元祖七合目山口山荘着 

  ここで持参のおにぎりをひとつと,ゼリー飲料等を補給し,21:21 出発

  
 このあたりの登坂中,何故か急に目の眩しさに襲われた。
 最初は,ふもとから追いついてきたガス(濃い霧,つまり雲の中だ)にヘッドライトの光が
反射して幻惑されているのかと思っていたが,なんだかこう,しいて言えば,目をつむって
まぶたの上から指で圧迫した際に見える円形の,ちょっとミッキーマウスみたいな形の
光の円がちらちら見え,ライトに照らされた地面さえも銀色に反射しているようにさえ見えてきて
歩きづらいことこの上なく,「もしかしたら高山病の症状か?」と恐れながらも,この状態で
今来た道を下山するのも恐かったので,止めようかとさえ思ったが,ゆっくりと登り続けた。

22:00 八合目池田館(& 富士山衛生センタ−)着 (3250m 10℃)

  ここは,救護所も併設されているので明かりもあり,先に到着していた家族連れ
 (若夫婦+その母親)にベンチの端を譲っていただけたので,ゆっくり休むことができた。

  この三人連れの話をそれとなく聞いていると,娘夫婦と一緒に登っているお母さんと
 いう取り合わせらしく,そのお母さんが
 「自分はこれが最後(の富士登山)だろうけど,一緒に登れてよかったねぇ」みたいな
 話をしており,なんともほのぼのした雰囲気で,大変うらやましかった。
  ただ,このお母さん,登る速度はやや遅いのだが,かなりハイキングには慣れているようで,
 娘さんに「山頂に早く着いたら御鉢巡りは暗くて危ないので,どこかの石にもたれて夜を明かすか,
 休憩だけ可能な小屋に行けばよい」などと,結構的を得たウンチクをたれていた。
 (ちゃんと事前に勉強をしてきている証拠である。立派である。)

22:50 表口九合目萬年雪山荘着 (3460m 6℃)

  ここは,明かりひとつない真っ暗な状態で,(中では宿泊者が寝ているのだろうが)
 目の前に石垣が突如現れるまで,小屋の存在自体に気づかなかった。
  さきほどまで,目印にしていた先行者のライトの主に断って,看板の写真を撮らせてもらった。
   私と同じように,なにやらメモをとっていたこの先行者,なんとやや年上風の女性だった。
 (ちなみに,先行者を撮ったわけではなく,周囲があまりに暗いため,突然のストロボ発光で,
   幻惑による視力低下をひきおこしてはまずいかという配慮による断りである)

  この先行者が,この先もかなりよいペースで歩いていくのだが,こちらのペースにも合っていた
 こともあり,ペースメーカー代わりに重宝した。 お世話になりました。

  小屋前のいす付近には,先の人(先行者の女性ではない)が落としたのか,
  スキー用手袋やら,ボールペンやらが見受けられた。
  気温は低いが,微風で穏やかなり。音ひとつない静けさの中,夜景も美しかった。
 23:02 出発。

23:26 九合五勺胸突山荘着 (3590m)

 ここも真っ暗。近そうだけれど見えないゴールに向けて,ひたすら歩くだけである。

   

 23:30 発

 この頃には,日付変更前にもしかしたら...の期待を胸に歩きつづけ....

23:57 富士宮口頂上到着 (3700m 4℃)

 五合目出発から 4時間57分..5時間を切る自己最高記録で,正直驚きの登頂である。

   ← 富士宮口頂上にある看板。 ややガスっている。

  万歳 !! BANZAI !! 

 ..の筈なのだが,今回はこれでは終わらなかったのである。

 

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