7th Harley Festival in YUNOGO(2)


毎年のフェスティバルは、先ずオリエンテーリング(目的地を設定したミニツーリング)からスタートするのが恒例である。目的地は直前までわからない。出発直前に発表されるのだ。
去年、一昨年と参加したが片道小1時間と適当な距離を走り、目的地でランチタイムとなり再び現地に戻ってくるというパターンであった。途中でちょっとしたスポットに立ち寄ったり、小休止をはさんだりと変化があって楽しめた。
そんなわけで、今年もこのオリエンテーリングも楽しみにしていたイベントの一つである。
駐車場で本日のオリエンテーリングの発表がありまもなく出発する旨の案内がアナウンスされた。参加する面々は各自のハーレーに跨り、セルをまわしエンジンの轟音があちこちから轟く。そうこうしているうちに駐車場出口に向かって自然に行列が出来だした。アナウンスによると本日の目的地はここより非常に近いという。過去2回のパターンとは違うようだ。少しがっかりする。やはり、そこそこの距離を全国から集まったハーレーライダーと一緒に長い行列を作って走ってこそ面白いのだから・・・。
我々もその行列に入りこんだ。先頭がどこか分らないが、比較的前のグループである。出口から少しずつハーレーが出て行く。とにかく前のハーレーについて行けばいいのだ。駐車場出口は一般道路に面しているため、すべてが同時に出て行けないのだ。一般通行車両が途切れる度に、ガードマンが誘導して何十台かずつ出て行くのである。
我々のグループもやがて駐車場から出ることが出来た。
私の前には十数台のハーレーが走っている。私のあとにも同じ位の台数のハーレーがついている。ちょうど真中くらいのポジションである。自分の前後からもハーレーサウンドが聞こえてくる。「うーん、やっぱりいいなー!」とブルっと身を奮わせアクセルグリップを握りなおしたと思ったとたん、前方のハーレーグループが右指示器を出して減速した。皆、そこで右折して行く。ガードマンも誘導している。我々もそれに倣って右折した。ゆるい坂道を登りきると今度は別のガードマンが再び立っていて誘導している。「うん?もう着いたのか?」と思うまもなくそこは駐車場であった。
ほんとにこれでは先の駐車場から5分も走っていない。あまりに近すぎる。駐車場にとりあえずバイクを止め、ヘルメットを脱いだもののなんだか拍子抜けである。「おいおい、ここが目的地?」とみんなきょとんとしている。
不審に思ってガードマンに尋ねるとここは第二駐車場だという。つまり先ほどの駐車場に入りきれないバイクを止めるための駐車場で、今回のオリエンテーリングとは関係ないというではないか!
前を走っていたハーレーがたまたま第二駐車場に入ったためにつられて我々のグループはオリエンテーリングのグループと逸れてしまったのである。「えーっ!なんでこうなったの?」と言っても始まらない。我々は急いで最初の駐車場に戻ってもう一度確認することにした。最初の駐車場にはもうオリエンテーリングに向かうハーレーは一台も残っていなかった。駐車場のボランティアの方をつかまえて事情を説明してオリエンテーリングの目的地を尋ねた。
ボランティアの人達は「お気の毒に・・・」と同情しつつ、地図を広げて道順を説明してくれた。確かに近い。30分もかからないくらいの所が目的地のようだ。
再び我々のグループは駐車場をあとに出発した。先ほどの間違って右折したところでガードマンがまたもや「こちらへ」というジェスチャーで指示棒を振っているではないか。なるほど、あれでは先頭車は自然に誘導されても仕方が無い。今度は完全にそれを無視して直進した。
迷うことなく走ること約20分ほどで目的地に到着した。既に駐車場はハーレーでいっぱいである。駐車場にバイクを止めてそこに入ると最終到着組の面々だけで記念写真を撮ってくれた。ここはとりあえずは昼食である。
中のレストランに我々「伊勢湾ハーレークラブ」の仲間で入っていった。一般のお客さんはいないようで、我々のグループの他はオリエンテーリングに参加の人達だけだった。
それぞれがメニューを見て注文して食事を済ませた。食事を済ませるともう帰りの集合時刻である。なんだか慌ただしい。駐車場にはもう殆どハーレーがいなかった。皆は三々五々帰って行ったようである。
結局帰りも我々だけのグループだけで帰ることになった。例年の様子と違うのでがっかりした。
今年は全体の統率がうまくとれてない印象を受けた。愚痴っても仕方ないので、我々のグループだけで連れもって帰路についた。
午後1時半ごろには最初の駐車場に到着した。午後からのイベントとしては英田光のF1サーキットの走行会がある。時間を決めてサーキットを自分の愛車で走れるというものである。過去のフェスティバルでは参加の経験がなかったので、今年も走行会に参加はしないが見学してみようと、その足でF1サーキットに向かった。
伊勢湾ハーレークラブのメンバーは、ひとまず旅館に向かって休憩し出店をぶらぶらと見て回るということだったので、私と家内、あと女性メンバーの二人の4人だけでF1サーキットに向かった。
F1サーキットまでは走るにはちょうど快適なコースで、先ほどのストレスがふっとんだ。
サーキットの駐車場にハーレーを停め、コースまで行くとバイクがサーキットコースを爆音を響かせて疾走していた。レーサーレプリカやネイキッドタイプのバイクが走っていた。2スト特有の排気音も聞こえる。独特な混合ガソリンの匂いも漂っている。メインスタンドから先の第一コーナーの近くに座って見物した。
フルスロットルでコーナー直前まで突っ込み減速してコーナーを目いっぱいバンクしつつ抜けて行く。膝を殆ど擦りながらの特有のフォームでバイクを寝かしつけている。
TVと違い、実際の走行を間近に見ると凄い迫力である。ハーレーに乗りなれた我々の走りとは根本的に違う。極限のスピードで速さを競う姿は、ハーレーライダーから見ると「とんでもなく無謀な走り方」なのだ。
20分程度で走行時間は区切られているようである。ピットにすべてのバイクが戻り、しばらくの間静寂が戻る。
しかし、再び別のグループの走行が始まる。排気量でも分けているようだ。
数クールの走行会が終了した。と、やがてハーレーがコース外周路を走ってコース内に集まり出した。勇敢にも、同伴の女性2名は走行会に参加した。私と家内は今回はスタンドからの見学である。
見る見るうちにメインスタンド前に100台くらいのハーレーが集まった。サイドカー、トライクも見える。ウルトラ、ヘリテージ、ダイナ、スポーツスター、883、スプリンガ−・・・・・・etcとありとあらゆるハーレーが勢ぞろいである。
バイクのカラーもとりどりなら、ライダーのファッションもいろいろである。
なにやら走行前の注意事項などを聞かされているようだ。ハンディのメガフォン片手にクルーが叫んでいるのがかすかに聞こえてくる。
やがて、一台、また一台とハーレーがコースをこちらに向かって走り出した。いよいよ「ハーレー走行会」が始まった。来るは来るは、ハーレーサウンドを轟かしつつ第一コーナーに流れ込んで行った。「音」だけ聞くと先ほどのレーサーバイクとは異質ながらも流石に大迫力である。
最後尾のハーレーが第一コーナーから消えて行った。遥かかなたからハーレーサウンドが天を伝ってこちらに伝わってくる。しばらくして、メインスタンドへの最終コーナーに先頭のハーレー集団が姿を現した。フル加速しながらスタンド前を走ってくるのが伝わる。我々の目の前で、やはり第一コーナーに備えて減速して行く。バックファイヤーを起こしているハーレーもいる。
しかし、先ほどからレーサーレプリカなどのレースまがいの走りをたっぷりと見ていただけに、ハーレーの走りっぷりは実に穏やかに見える。所詮、ハーレーは速さを競うバイクではないのだから、当たり前といえば当たり前なのだが・・・。コーナーの曲がり方にしても、バンク角が浅いだけにみんな慎重に走っている。
5周位したところでハーレーはピットに呼び戻されて行った。
彼女達が顔を紅潮させて帰ってきた。「どうだった?」と尋ねると「とっても面白かった!」と口を揃えて言う。コーナー直前までは時速110Km位で突っ込んで行くのでとても怖かったというのだ。端で見るよりは実際はスピードが出ていたらしい。公道と違って、コースでは通常の速度感は通用しないようである。
短い時間にもかかわらず非常に面白かったということで、彼女達はたいそう満足した様子だ。
「ふむ。来年は我々も走ってみるか・・・。」と家内とつぶやいた。
さて、時刻も3時をまわり、そろそろみんなの所に戻りましょうと、湯の郷の温泉街に向けて走り出した。
旅館に入り、風呂につかってさっぱりしたところで6時から夕食。
7時半ごろから、旅館前の川原で歓迎パーティのイベント、花火大会がある。出店も沢山あるので冷やかしにも行かなければ・・・。
お腹も満たされ、アルコールでほんわか気分となったところで、皆でぞろぞろと繰り出した。
昼間は汗ばむ天気だったが、夜の帳が下りてからは川も近いせいか、涼しく風が顔に心地よい。川の堤防のみならず、土手下の広場まで所狭しといろんな出店が賑わっている。大勢のハーレーフリークが思い思いのいでたちで散策している。中央の舞台にはロックバンドが演奏していた。和太鼓の演奏もあり、ハーレーのサウンドとだぶって聞こえしばし聞き惚れた。
演奏が終わると舞台が整理されいよいよ歓迎セレモニーが始まった。HD JAPANの社長、湯の郷町長、アメリカ大使館の外人さん・・・と次々に「えらいさん」が歓迎の挨拶をする。あちこちで大きな拍手やどよめきが起こる。
テンポのいい司会のおかげで、次々と進行する。
参加者全員が対象の抽選会となり、その場で当選者に豪華景品が手渡される。最も豪華な賞は、アメリカの豪華リゾートホテル宿泊付きの旅行クーポンである。見事、女性が幸運の的を射止めた。
続いてハーレーのサイドカーで日本一周旅行中の老夫婦が紹介された。TVでも取り上げられ、近く放映されるとのことであった。自己紹介のあと、皆からの熱いエールが老夫婦に送られた。
(後日譚になるが、偶然にも先日、テレビ朝日のニュースでこの老夫婦が特別枠で紹介されていたのを目撃した。1ヶ月かけて旅行中であるという。休む間も無しに働いた節目にご夫婦で今回の旅を楽しんでおられる由。実に素晴らしい。我々もあの歳になれば夫婦で今のようにそれぞれのハーレーで長期のツーリングをしたいものである。
「ハーレー乗り」にはこのように我々の目標として元気づけられる高齢の方が多い。)
午後9時、すべての行事の締めくくりとして連続500発の花火がカウントダウンの後、打ち上げられた。ほんの数分の間、湯の郷の夜空は次々と打ち上げられる花火に彩られた。
どよめきと大きな拍手で本日のフェスティバルのイベントは無事終了した。
みんな、ぞろぞろとそれぞれの宿に、テントにと帰って行った。
宿に戻り、休む前に宿の露天風呂につかりに行った。空を見上げると星が瞬いているではないか。今日は天気が良かったが、天気予報では明日は下り坂という。このまま明日も一日雨が降らないで欲しいと思う。
こうして風呂につかっていてもハーレーサウンドが聞こえてくる。今夜だけは、湯の郷の街にはきっと明け方まで静寂は訪れそうにない。
じわっと汗が滲み出てきたところで風呂を上がった。さて、明日に備えて今夜は健全に早く休もう。