冬のツーリング

冬という季節はバイクツーリングにとって厳しいものがある。もし雪が降ったり、路面が凍結していたりしていれば二輪で走る事を拒絶されたも同然である。北海道や東北、中部、北陸さらには山陰と日本はやはり冬には積雪をみる地域が多い。
幸いなことに私の住む地域はめったに降雪がなく、山間部でもないので真冬でも氷点下になることはない。

バイク乗りには季節を問わず年中走りたいという人も多く、春夏秋冬それぞれに走りを楽しんでいる。とはいっても、冬のツーリングはそれなりに覚悟して出かけなければならないのも事実である。

一般に実際の気温とは別に、「体感温度」というものがあり、これは風により体で感じる温度が実際よりは低くなるということを意味している。おまけに冬の空は晴れていても太陽の光は弱く、すぐに雲に翳ったりして不安定である。バイクで走ればスピードに比例して自然の風以外に「風圧」を受けることとなり、ライダーの体を芯から冷えさせるのだ。従って、冬にバイクで走るためにはそれなりの防寒対策をきっちりと講じる必要がある。

バイクだって冬は苦手だと思う。エンジンは寒気に直に接しているのだから。ハーレーは外気温が8度以下になると不機嫌である。始動するにもちょっとしたコツがあり、国産バイクと比べるとエンジンがかかりにくいのだ。
慣れるとどんなに寒くても一発で始動出来るようにはなるが、まだ安心してはいけない。暖気運転が必須である。

エンジンだけでなくミッションやギヤなども暖気させねばならない。そのためまずエンジンを始動したらその場で暖気するのではなく、すぐに走りながら各部を暖めてやらねばならない。公道を走りながら暖気するのであるが、これが一苦労なのだ。スロットルを上手に開けないとガスが不完全燃焼してバックファイヤを引き起こす。そこまでには至らずとも、がくがくとギクシャクした感じでスムーズに走れない。30分くらい走ってようやくエンジンは目を覚ますのだ。自宅で動かずに暖気するにはまわりの環境も考慮せねばならない。早朝からハーレーのドッドドッドッドド・・・という重低音の排気音を30分も轟かすには見渡す周囲に民家が有ってはならない。

日帰りツーリングといえども、早朝から出掛ける事が殆どであり、冬ともなれば午前6時は夜明け前なのだ。暗い中をガレージからハーレーのエンジンをかけそそくさと逃げるように出かけなければならないのは、正直言ってつらいものがある。これも儀式と思うしかない。世のハーレー乗りは大同小異、我々と同様の苦労をしているらしい。

次にツーリングのコースも事前によく検討しておかなければならない。出かける方面も出来るだけ暖かい地域を選んでおく必要が有る。目的地までのコースも山越えは避ける方が賢明である。冬は日没も早いので帰宅時刻も考えておかないとすぐ日が暮れてしまい夜道を走らなければならなくなる。

まったく冬のツーリングとは大変である。それでもバイクで走れるのだから、雪国に住んでなくてよかったと感謝せねばなるまい。

さて明日は日帰りツーリングを予定している。天気もまずまずらしい。ここ数日は寒気の影響で気温が低く防寒対策をしっかりとして出掛けよう。明日のメンバーは家内、娘とこのホームページを通じて知り合った女子大生のライダーと彼女のボーイフレンド、そして友人のこれまた女性ライダーの計6人である。どんなツーリングになるか楽しみである。次回はこのツーリングレポートをお届けしようと思っている。