国産大型アメリカン VS Harley−Davidson
国産の大型アメリカンにも色々ある。1リッターオーバーとなると、ホンダのシャドウ1100、ヤマハのビラーゴ1100、ロイヤルスター1300、カワサキのバルカン1500、スズキにも確か大型アメリカンがあったように思うが・・・。日本が代表する大型アメリカンである。
かたやハーレーは1340ccである。排気量で見るとどれも遜色が無い。バルカンに至っては1500ccもあり、世界最大級のアメリカンと言える。
性能面では国産がなんと言っても抜きん出ている。バイクに限らず、国産の製品は信頼性が高い。
ハーレーは歴史があり、今年で創業95年である。それに対し日本のバイク業界は歴史が浅い。にもかかわらず、あらゆる面で世界をリードするほどの製品を造るようになったのであるから大した物である。
私が最初に選んだ大型アメリカンはかくなる理由からホンダのシャドウと相成った。
ホンダはご存知のようにバイク業界では世界的なメーカーとなり、アメリカにも進出しホンダオブアメリカを開業し、そこで車やバイクを造りアメリカ国内に販売している。
私の購入したシャドウは、このホンダオブアメリカ製でもともとアメリカ国内向けのバイクだったのを日本に輸入したものである。いわゆる「逆輸入」とは違うが、本来アメリカ向けの製品のため、国内仕様と違って性能面などに差がある。ガス規制にも差があり国内仕様よりアメリカ仕様の方が性能がいい。騒音規制にも違いが有るため、アメリカ仕様の方が威勢がいい。
そんなこんなで私のシャドウは国産のシャドウより「速くて、音がいい」のであった。
確かにシャドウはとても乗りやすいバイクであった。性能的にも流石に1100ccもあるため加速は凄まじく瞬時に100Kmに到達する。いまどき珍しく4速しかないので、ハイギヤードで2速で120Kmまで引っ張れるのだ。さらにバンク角が結構深くそこそこのハイスピードでコーナーを攻めることが出来る。
欠点といえば、低速での粘りがない事くらいであった。
総じて非常によく出来たバイクというのが私の印象である。
バイクに求めるもの・・・。人それぞれである。私は決してスピード狂ではないが、これまで乗用車しか乗ったことが無かったのでバイクの走行性能には正直いって驚いた。とにかく「意のままに」走るのである。この違いは実際に乗ってみないことには分からない。しかし人間は順応性の高い生き物ゆえ、やがて慣れが出てくる。私のシャドウの性能はおそらく並のスポーツカーなどとは比べるべくも無いほどの速さであろうと思うが、バイクの中ではこのシャドウの性能は決して速い方ではない。400ccクラスのバイクでもシャドウよりも速いバイクはいくらでもあるのだ。これがリッターオーバーのバイクとなると「恐ろしい」ほどの速さのバイクがゴロゴロしている。「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」である。制限速度で縛られた路上をそこまで高性能のバイクが必要であろうかと思うが、そんなバイクを理性でコントロールしながら走るのが大人なのであろう。それでも「大人」に成りきれない部分があり、やはり持てる性能を堪能したいという欲望を完全に抑えこむのは至難の技である。
シャドウを駆って走っていても、つい法規を無視した走りになる事が多かった事を白状せねばならない。
バイクの楽しみは「速さ」だけではない。私はバイクならではの「音」がとても好きで、「音」を聴きながらゆったりと走るのもバイクの楽しみと思っている。特にVツウィンの排気音が好きなのだ。
「ハーレー」の排気音はまさにその代表で、独特なその音はいくら聴いても飽きない。
シャドウの排気音もVツウィンでとてもいい音なのであるが、ハーレーに並ばれるともうだめである。シャドウで走っていて、何度かハーレーに遭遇しその「音」を拝まされるとシャドウには悪いが、「やっぱりハーレーには負けるな・・・」と思うのである。
ハーレーについて情報を集め、実際にバイク屋でハーレーを見、跨り、接するといつしか気持ちはハーレーに乗りたいと思うようになっていたのである。結局シャドウからハーレーに乗りかえるのに半年とかからなかった。
FLSTC、ヘリテイジ・ソフテイル・クラシック(95年式)がとうとう私の愛車となったのである。自分ではハーレーのオーナーになる事は無いと思っていたのに、結局ハーレーに落ち着いたのだ。
最近のハーレーは年々改良が加えられ、品質も改善され故障も殆ど無くなってきているという。そうなると私が拘っている「排気音」が俄然バイク選択の上で比重を占めて来るのだ。そこでハーレーである。
初めてハーレーを走らせた時、もう気分は最高であった。
夢に見たあのハーレーの排気音が自分の跨るハーレーから出ているにもかかわらず、自分でその音に酔いしれるのであった。音だけでなく、音に同調して振動が半端ではないのだ。まさに「生きたエンジン」という形容がピッタリなのだ。「鉄馬」とも言われる所以である。このフィーリングはほかのバイクでは決して味わえないと断言できる。
排気音と振動を極力抑えたのが国産バイクである。よく言えば「洗練」されたバイク、悪く言えば「味の無い、面白みの無い」バイクである。
かたやハーレーは「無骨」で、「味わい深い」バイクである。
あらゆる性能面を国産バイクとハーレーとで比較すると、ハーレーは分が悪い。
最も大きな差は「排気音」と「エンジンの振動」と思う。この二つの因子が絡まって、「鼓動感」という言葉がある。まさに人間の心臓の「鼓動」に通じるものがある。
鼓動にはリズムとテンポがあって人間の潜在意識に働きかける。日本古来の和太鼓、さまざまな音楽のベースとしてのドラムスなど、訴えかける何かを感じないだろうか。
ハーレーを走らせると、自分が何らかの「鼓動」を演じる主人公となる。ハーレーの走る速さと鼓動感との関係を演出しながら走るのが楽しいのである。こんな芸当は国産バイクでは出来ない。残念ながら・・・・・。