初めての大型バイク
限定解除すると、どんなバイクでも乗れるのだ。普通乗用車の免許だと軽自動車から、たとえ7000ccの大型エンジンを積んだフルサイズのアメ車だろうと何でも乗れるのに、二輪免許には排気量別に4段階もある。(原付・小型・中型・大型)
二輪の特殊性がこのような免許制度にも現われている。
「同じ二輪だから」といった事が言えないのである。
限定解除して初めて、二輪なら何でも乗れるようになるのである。どんなバイクにでも乗れるということは、選択肢が非常に広がる。本当に自分が乗りたいと思うバイクに乗れるのである。
先にも述べたように、私はいわゆる「アメリカン」というジャンルに分類されるバイクが好きで、特に排気音に拘りがあって「ハーレー」のそれが特に好きなのだ。
しかし、私がバイクについて最初に得た情報では、「ハーレー」については壊れやすいとかメンテナンスが大変だとか、とにかくネガティブなものが多く、やはり乗るなら国産バイクという偏見を持っていたのである。ハーレーのようにいい音のする国産アメリカンバイクとして私が色々調べた結果、候補に上がったのは、ホンダのシャドウ1100と、カワサキのバルカン1500の二つであった。
行き付けのバイク屋にその2台は置いてあった。ホンダのシャドウ1100は「逆車」という話だった。「逆車」というのは、本来国産バイクなのに、アメリカホンダで製造されアメリカ国内で販売される予定のものを、再び日本へ輸入して販売しているものである。アメリカ本土向けのため若干の仕様の違いがある。特に、エンジン系に差が有り、アメリカ仕様のほうが元気がいいのだ。従って、排気音でも国産と比べると全く違う。その店のシャドウとバルカン1500はともに「逆車」であった。
シャドウもバルカンもともにロングストロークのエンジンで、排気音もこれまでの私の乗った400ccクラスのアメリカンとは相当違う事が予想される。外観上はどちらも甲乙つけがたい。何とか排気音を直に聞いてみたい物である。私は無理を承知で店の社長さんに頼んでみた。
「この2台のどちらかに決めかねている。『音』の違いは実際に聞いてみない事にはわからない。何とか聞き比べる方法がないものか?」
なんと社長さんは二つ返事で「それじゃ、2台ともエンジンをかけてみましょう。それで納得いくまで『音』を聞き比べてください」と言ってくれたのである。新車で展示してあるバイクだから普通では考えられないと思うが言ってみるものである。
2台のバイクを整備場の方まで運んで、バッテリーを載せガソリンを入れエンジンをかけてくれたのだ。
まずシャドウ1100から。ズドドドド・・・ッとセル一発でエンジンは目覚め、大排気量らしいそして迫力満点の重低音の排気音を奏でた。アクセルを煽ると敏感に反応しドドドドドドロウンと小気味良い。アイドリング時の音もドッドッドッといい感じだ。
続いてバルカン1500。こちらもシャドウに負けていない。アイドリング時の音はシャドウよりもハーレーっぽい。そして振動が大きい。吹かすとそれがヅドドッドッド・・・・・・とまたシャドウとは違う感じなのだ。
どちらも味がある。どっちも良いのだ。代わる代わるバイクに跨り音を聞き比べた。
「うーん・・・・。いや本当に迷ってしまう。味付けが違う。これは好みの問題だ。どちらが良いというのではなく、どちらが好きかという問題だ。」
結局、私は滑らかなフィーリングのシャドウのエンジンに軍配を上げたのである。
数日後、シャドウ1100は納車された。 家内のビラーゴ250を下取りに・・・・・。 家内は私のそれまで乗っていたドラッグスターに乗ることになった。
