『鳥インフルエンザ問題の今後(]V)』



NBI・館沢様 貴酬
篠原 一郎拝

いつも有り難うございます。水村先生のお話しでワクチンの必要性、有効性は養鶏場にも充分伝わると期待して居ます。
もう情報的には狭い学会の中で検体の収集もままならぬ中、自分の学説を守るのに汲々としている学者達より、また危機的な話を研究的に面白いと感じる彼らの感覚より、直接倒産、あるいは身の危険を感じて世界中にアンテナを広げる業界側の方が、はるかに新しい正確なものを持って居ると確信します。佐藤さんもあちこちの講演を聞いて何故業界側は学者達の発言の矛盾やら農水の馬鹿の一つ覚えを追求しないのか不思議だと云っていました。

そんな中でこの所、各地で行政主導の鳥インフルエンザ対策協議会が開かれています。内容はすべて事後対策で、如何に早く連絡しどう処分するかに終始し、一日も早い終息と安全宣言に結び付けようとする型通りの内容ですが、大分でのわずか数羽のチャボの発生で1億円の補償とその何倍もの養鶏場の損害、その為の倒産等は無かったとする行政側の発表も実際は取引上の負債が増大、消費も30パーセントも減少し、現在もボデイブローのように効いていて次の発生にはとても耐えられぬ状況であることも全く無視されたまま外堀を埋められ続けている現状打開のため、本当は主張を続けるアキタさん辺りを中心に今こそ業界一丸となってワクチン要求をすべきで、ワクチンは公衆衛生上危険とする官側の策謀切り札も、最近は世界三機関をはじめ、むしろ有効で期待される面が大きいとする意見が大勢を占めているのですから、あとは家畜衛生と経済効果、そして自分達の産業を守る立場を明確に打ち出して行くべきではないかと思います。

しかし残念ながら未だに、ウインドレスは安心、自然養鶏は大丈夫などという夫れ夫れの立場の主張も個々の話の中では散見され、再発したら一蓮托生、産業そのものの崩壊も有り得るとする危機感が全体に浸透するには実際に壊滅的被害を受けなければ駄目なのかと弱気になったりもするでしょうが、まだつい最近まで官側学者の主張に乗せられてか業界団体まで業界紙やホームページでワクチン反対を唱えていた位ですから、これでも長足の進歩と捉えなければならないのでしょうね。そんな中で一貫した主張で啓蒙を続けてきたNBIさんの努力には本当に敬服します。

先日のシンポジュームをみて業界団体も本気で乗り出したことが分かります。今後はアキタさん達を中心に、一丸となった強い主張を政治に向けてもぶつけられるようになることを願います。
鳥インフルエンザ問題では、何かとオランダの手法を真似たがる我が国ですが、国策で輸出養鶏産業を保護育成してきたオランダと、制度資金を中心に自力で築いて来た、悪く云えば借金体質の我が国養鶏とは根本的に違います。それを同じ手法でやられたら事が起きたら壊滅あるのみ。一方で充分な動物蛋白供給があるからこそ、もてはやされる大豆製品もそれだけになったらとたんに皺くちゃ老人の国に逆戻り必定です。

私自身はメキシコのやり方を支持します。学者は、彼の國は9年間もワクチンを使い続けて絶滅できず、その間ウイルスは大きく変異したと貶しますが、ウイルスの危険な変異はワクチンを徹底しない東南アジアのほうがひどく、この間、強毒型の発症を押さえ、2、3年で浄化するとする現実的でない目標を掲げ、姑息に対処する先進国より、究極の家禽疾病として真面目に捉えて努力するメキシコのほうが余程ましであると思います。