『鳥インフルエンザ 養鶏現場の考察U』



日本の養鶏は政府と学者達によってつぶされそうだ。との危機感は養鶏場の全てが持って居るだろう。せめてワクチンでも許可されれば、生産者、消費者共に一応の安心感を持つだろうとして来たが、そのことについて小委員会での発言で「生産者の安心感の為のワクチンなど以っての外」とある。道理で、と納得せざるを得ない。

さて我が国の鳥インフルエンザ今後の推移の予測だが、イタリアのH7N1,メキシコのH5N2のように侵入したものが定着したことについて前者はLPAI摘発の不徹底、後者はワクチン使用の失敗だと研究者は云って居る。

確かにここへ来てから、国の清浄国論、学者達の云い方から抗体の分布を汚染と捕らえて、いたづらに危険視する傾向があるが、もともと自然界にあるウイルスは互いに影響しあって生きて居るので、交差免疫、干渉作用など諸々の粘膜、細胞性の防御があるから壊滅的被害を被らずに済むことになると教えられて来た。

インフルエンザの抗体反応は発症後、数週間で消えて仕舞うという。アメリカのリコンビナントワクチンなど抗体応答がほとんどなくマーカーとして使えるというが、それらに比べ我が国ではH1,H3の豚での陽性率が高すぎ、鶏の場合も1997年の家衛試の調査で同型の分布が確認されるなど、良い意味で、スペイン風邪、香港風邪以来、人間中心に豚も鶏もその抗体でガッチリ、ガードされて来ているのかも知れない。実際の現場では免疫誘導できるような既存の勢力がなくては新しい病気は防げない。それを今回はリアソータントの危険だけが意識的に強調されたのである。

そう考えると1918年以来、人口過密の島国である我が国に住み着いたH1N1が1924年の家禽コレラH7N7を単発で防いだのかも知れない。東南アジアと違って、流行期がある日本では、全国的集団免疫を得やすいので鳥のインフルエンザも温暖期は出にくいとも云われる。このままH5N1が夏の間にH1,H3の抗体で迂回することなく消滅してくれる僥倖を願うしかない。

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