お客様各位

鳥インフルエンザ ではご心配お掛けしました

インフルエンザは人、馬、豚、鶏などに共通した病気なので、それら全ての情報をとって調べて来ました。最初はものすごく心配しましたが、世界中から集めた情報はホームページに紹介した分だけで原稿用紙三百枚にもなりました。

日本には、古くからH1N1,H3N2というA型と別のB型のインフルエンザが住み着いて居て、時々流行します。そこで人間は、この三種の混合ワクチンを、抵抗力のない、お年寄りなどに皮下接種しています。豚もB型を除いた同じワクチン、馬も有ります。ところが鶏だけワクチンを許可しないのです。鶏は殺した方が早いと云う訳です。
幸いこれらの型は日本中に分布していることが豚などの調査で分かって居るので、ワクチンのない鶏も免疫を持って居る筈です。それでこれまでは安心していました。

ところが今度、外国から入って来たH5N1という型にはその免疫が効かないのではないかと大騒ぎになりました。交差免疫という考え方を日本の学者が認めて呉れないのです。ところが現場の私たちは、永年その技術を基に安全に鶏や豚を飼って来ました。馴致という方法です。
日本人が外国へ行くと、現地の人が何でもないのにコレラに罹ったりします。予め病気にならないよう慣らしておくのが馴致です。あまりきれいになり過ぎるとアレルギーが出るとか、皮膚からブドウ球菌が居なくなると、その健康が保てないとか、傷口の消毒をしすぎてはいけないとか最近は特に云われます。
ワクチンはその自然の免疫を人為的に補強して体に抵抗力をつけることが目的なので、抗菌剤などと違って全く安全なものなのですが、政府に清浄国論というおかしな考え方があって許可しません。
インフルエンザも全く抵抗勢力のないところでは瞬く間に広がります。幸い日本は島国特有の特定の抗体分布のおかげで助かっているようで、云わば自然の生ワクチンです。少なくとも私はそう考えています。

養鶏場での馴致では、ヒナの時、基礎的な病気に対してワクチンで基礎免疫を作り、あとはむしろ自然に、時にはわざと晒すようにします。人間に譬えれば、お医者さんがワクチンもなしにインフルエンザに罹らないのと同じですが、其の際、飛沫感染や飛沫核感染を防ぐ配慮が大切です。何事も程度ですから相手が強すぎては駄目なこともあるでしょうし、その見極めが重要になりそうです。
何よりだったのは、今度の侵入者H5N1が人間に影響しない型だったことです。鶏は基礎免疫と自然免疫で取り敢えず大丈夫ですが、基本的には病気になったら殺処分が国の方針ですから、その時は仕方有りません。
お蔭様で、従業員、鶏共元気でやっておりますから御休心戴けますように。

平成十六年四月八日 篠原養鶏場 篠原一郎