泰山鳴動して日本的解決へ



ニューカッスル騒動のあとさきの卵価は記憶にないが、今回はひどい。しかし報道が収まれば、生産量に合わせて、徐徐に回復するだろうが全体の消費量が元に戻ることは難しいだろう。トリインフルエンザは近い将来新しいヒトインフルエンザに変異するだろうと懸念され恐れられたが、日本発でそうなる危険性は、中国、東南アジアに比べたら皆無に等しい。だったら我が国では純粋に鶏の病気として捕らえ、処置すればいい訳で馬や豚と同様ワクチンで対応すればどうという訳はない筈である。先日の国のAIに関する意見交換会で、2月のFAO勧告の、アジアの現状認識の結論部分を無視して、初期段階の処置から一歩も出ない解釈で煙に巻き、併せて豚の場合の扱いとの差を説明するなど全く恣意的な浅智恵にしてやられるのは残念だが、決まったものは仕方がない。あとは泰山鳴動して鼠一匹、何時もの日本的解決法で、実態をみながら、地方、地方でうまくやるよりない。

今更云うまでもなく、トリインフルエンザは養鶏産業若しくは養鶏場個々にとって重大な問題で、とりわけそれが表面化することで、周囲への影響が大きく、報道によって、ことさら消費者不安を煽ることにもなる。それでも我が国で発生した型はヒトへの感染が起きにくいということで、取り敢えず東南アジア諸国などと一線を画せるのは幸いだった。本当に国民、更には人類の生存に重大な影響を与えるのなら別だが、それはあくまで将来の可能性でその場合も諸外国に比べ、はるかに可能性の低いことを考えると、幽霊の正体見たりで、やはり鶏の病気つまりはニューカッスルと同じに考えて何ら差し支えなさそうで消費者への説明もそれでつく筈である。

実際に、我が国で今流行しているトリインフルエンザが直接国民の健康生命に影響しない と考えた時、鶏飼いのワクチン要求は、事後の補償との交換条件ではなく、通報の義務との交換にすべきだった。一見乱暴な意見だが、一旦自場に発生をみた場合の養鶏場経営者の進退窮まる立場をA農産会長夫妻の悲劇と置き換えて考えるとき、むしろ、誰憚る事なく声を大にすべきであったと考えるのは私だけだろうか。

尤もそのことで、全世論を敵に廻したのでは所詮勝ち目はない。法治国民である以上、法を犯すことは出来ない。無責任な話になるが、A農産が自場であのままの処理を続けて居れば数日で全鶏舎は空になり、週刊誌記事のいうとおり、そのことで記者が走り回らなければ、ブロイラー養鶏場の続発もなく、周囲も巻き添えを食わず、予め生産物の安全性は分かって居るそうだから、人の健康への実際の影響はなく、ネズミは大丈夫だそうだから、あとはカラスが数羽死んだ程度で、A会長もほっと胸をなでおろしてワンマンを取り戻し、以後の報道による消費者の不安も起こらず、そろそろ消費も回復して、問題は、何時自分がやられるかという個々の養鶏場主の不安に限定されただろうと不埒なことを想像するのである。そんな折、また韓国で発生して40万羽処分の予定とか…やれやれ…。

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