休日閑話その2



ヒト、ブタ、ニワトリそれにイノシシなどの野生動物を含め、その抗体調査から日本ではA型インフルエンザの基本的な型が一致していることが知られて居る。即ちソ連風邪のH1N1,香港風邪のH3N2である。外国から突然持ち込まれたウマのH7N7や今回のニワトリのH5N1などと違い定着型である。その定着型に対してヒトとブタには、すでに広くワクチンが用いられて居る。ワクチンがないのはニワトリだけである。しかも暖季に居なくなるヒトインフルエンザと、野生イノシシを含め、ほとんどのブタがこの2種類の抗体を持って居る事実からその互換性がむしろ確実視され、更にニワトリまでが広く同型の抗体を有する事実からこの三者の関連性は確実に存在すると見られて居る。

言うまでもなくH1N1は名にし負うスペイン風邪、一方の香港風邪と共にマイルド化されヒト、ブタ、ニワトリそれぞれの罹患した際の症状は酷似して居るとされる。

この歴史を振り返るとき、今、鳥の学者たちが云うような、ワクチンによる強毒変異が本当に起きた事実は全くない。そして野生動物や鶏など、ひろい範囲に分布する自然のウイルスによって、新入りのウイルスから守られて居ると考える。これが喜田教授の云うウイルスとの共存ではないかと思う。受容体を持つネズミも当然抗体を有すると考えるから、新しいウイルスによる改めての環境汚染は、基本的にはあまり心配いらないのかも知れぬ。つまりワクチンで守られるブタも自然毒の中に放置されるイノシシも共に80%以上の抗体を持つとされる事実から、逆に我が国は、既存のインフルエンザウイルスとワクチンによって、既に守られ、新入りウイルスによる発症は、たまたまその間隙をつかれたものかも知れないのである。

ただこの推測は清浄国を主張する日本政府には受け入れられない。それを主張するがゆえに、あらゆる推測、可能性を予め封じ込まなければならなくなり、その主導のもと国中が思考停止状態になっているのが現状とするのは言い過ぎだろうか。

国の清浄国主張とトリワクチンに対する考え方に対しては、休日閑話1でシュミレートしてあるので併せて考えて戴きたい。

新入りウイルスに対しては、やはり1971年のウマインフルエンザに対する、ワクチン緊急接種の成功例に学ぶべきである。以後、何ら問題を生じて居ない。

こう見て来ると、根本的に障害となっているのは、繰り返すように、実態を無視した清浄国論であり、それ故にすべてが自縄自縛に陥って居ることである。

歴史的にみれば、ワクチン接種は何も問題はない。むしろブタに許して、何でトリだけ危険視するのか疑問が残る。早く許可すべきと思う。

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