養鶏現場報告16・3・14



政府は、相変わらず清浄国方針のままだし、3月19日開催予定の「鳥インフルエンザワクチンに関する意見交換会」もそのような既定方針のもと、予め操作された情報を羅列して結局丸め込むことで、それをやったとするだけの何時もの手段だから、その結果ともども全く関心はない。もう主張するものはし尽くしたから後は推移を見守るだけだ。ホームページでは現場の情報だけを伝えて行きたい。

今更始まった話ではないが銀行がトリインフルエンザ不安から養鶏場に金を貸さなくなったのは本当だ。しかし制度資金はふんだんにある。ウインドレス鶏舎建設も半額補助で、やる気のある業者農家は逆に今がチャンスだと昨日も話を聞いた。これから日本の鶏は半減するだろう、関西は今でも卵が足りない。平面飼育にしてワクチン卵をつくれば絶対儲かるという話で、もうこれからは直売卵は駄目だ。それで従業員が助かるならやりましょうと冗談を云った。

クイズに参加するつもりはないが、何処が何時やられるか分からない反面、国内での改めての大爆発は大槻さんとは別の理由でなさそうだ。ここ数年の怪しげな呼吸器病の各地頻発と、家衛試の過去の調査からH1,H3については、既に広く分布して、日本の鶏はある程度の抗体を持っている可能性が一つ、もう一つは、一般的にはかなり基礎免疫の重要性が認識され、それが前記怪しい症例にかなり効果がありそうな点の二つである。

これらが今回のH5N1にどの位有効かは分からないし学者の多くが否定することも分かっている。しかし少なくとも彼らの云うウインドレス鶏舎が有効だとは思わない、理由は簡単、これからの環境汚染の主役ネズミに最も弱いからである。

イタリーの過去のH7NIの発生では、弱毒での発生が冬に向けて強毒化したと報告されたが、具体的にLPAI,HPAIが同一鶏舎に混在したとするのは今回のカナダの報告が最初である。L→HかH→Lかは興味あるところだが、可能性としての危機をあおっている学者達はL→H一辺倒だが、南中国のH9N2が事実上H5N1の発症を押さえていた例など清浄国論に沿わないだけで、現場では頼みの綱の自然界の既存ウイルスの作用でH→L化が可能になれば、そのワクチンが無くても、喜田さんのいうウイルスとの共存が可能になる訳である。

大槻さんの「ワクチンは発症を完全に押さえないから、何時何処で発生するか分からない」という、今朝のフジテレビでの発言は詭弁であって、ワクチンがなければ、その危険性は何十倍も大きい。これは子供だましの発言だが、もっとずっと大きい矛盾を抱えている同氏のこと今更こんな言葉尻を捕らえても仕方がない。でも苦しいだろうなと思う。

過去のニューカッスルの時は、基礎免疫もなにも無かった。だからワクチンが無いと全面的にやられたが今度はそうでない。どうも野外ウイルスなり、既存のワクチネーションプログラムが効いているらしく、やられたところはプログラムがはっきりしていない。

ただ一方で日本では近い将来ワクチン卵にも事欠くことになるだろう事は警告しておく必要があり、これこそが政府方針で我々が最も懸念しているところである。今たとえ金儲けの為でなく、本当に必要なことだとしても、誰が、何時やられるか分からない危険を犯してワクチン卵を作れるだろうか。政府は犠牲的協力者に制度資金を喜んで出すだろうが、実際の危険性を考える銀行は大槻先生が保証したって資金なんか出す訳ないよ。

H 16 3 14 I,S