(案)鳥インフルエンザ不活化ワクチンを接種した鳥類に由来する
食品の食品健康影響評価について、を考える



この中でインフルエンザウイルスの一般的性質についてはすでによく紹介されているが、やはり衝撃的なのはヒトへの感染でエボラ出血熱並多臓器不全での死亡例紹介(国立感染症研究所)、さらに鶏に無症状のまま「眠るような」と表現された甚急性の危険な脳症で死に至らしめ、チアノーゼも起こさぬまま、処理場での検査もすりぬけ「罹患鶏は産卵停止し、死体は変色する」とした喜田さんの説明をことごとく擦り抜け、そのくせマウスに対しては香港型の50万分の1の毒性で、キャリアとしてのネズミの危険性をきわだたせた国立動物衛生研究所実験などの最新情報がはいっていない。

このことは次ぎの宿主特異性についても同様で、最近の東南アジアでの牛の大量死の報告など、ここにあるような考え方ではあり得ないとする事例でも、一応はそれを疑わざるを得ないような新しい事実が次々出現するところが、この疾病のやっかいさ、恐ろしさであると考える。

さて本題とも言えるワクチンについての記述で現場の意見として述べる。

アジュバントワクチンについては既にニューカッスルワクチンなどで使われているが、確かに乳化剤の残留懸念などからかもともと我が国ではブロイラーなどには使われず、近い将来オイルアジュバント以外のブロイラーに適したワクチンが必ず採用されるだろうから、そのとき接種後36週齢が一人歩きしないよう注意して置く必要がある。

またここでは、流行型ウイルスと同型、もしくはNの型のみが異なる二つのワクチンについてしか述べられていないが、すでに1997年、南中国でのH9N2とH5N1の交差免疫試験の報告(日本獣医公衆衛生学会報告)更にアメリカに於いては、H5,H7型に対してH1N1ワクチンを使うことが普遍的でないにしても普通であるとした最新論文、など、これはもう実際の現場からすれば既に時代遅れだが喜田理論からは進んでいると皮肉りたくなる。

攻撃試験について幼雛に対して、もともと 不活化ワクチン1回のみの接種では野外では全く効果はない。ワクチンの使い方としては全く参考にならない。実際には数回の重ね打ちが必要で、その点でも発症地をリング状にかこんでの1回打ちなど全く無意味で、採卵鶏の場合は、予め育成段階のワクチネーションに組み込んだ計画的使用を毎年続けることでなければ、環境中のウイルスを減らす効果はなく、またそれが最も経済的で国民の貴重な税金を使わず、養鶏家自身のわずかな負担で済むことなど、すでに我々が主張しているところである。

要するに、こうやって決められることが将来を見越すことなく、もう既に陳腐化した理論に立脚し、やがては足かせ部分だけ残りかねないし、第一、繰り返すように、それが農水省などの、全く効果が期待出来ない路線に沿ってのものならば、百害あって一理無しと現場からは切って捨てたい。

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