原 様 貴酬 こちらこそお世話様です 政府の対策委員会に対しての意見は今日送った通りです。 ワクチンの賛否は、論文をみてもいろいろですが、根本的には我が国は1996年のH3N2の発症以来、家畜衛生試験場の追跡調査の結果を見ても、かなりの鶏が免疫を持っていて実際は立派な汚染国です。 今度初めてHPAIのH5N7の発症を受けて、同じ型ながらかなり症例の差が見られます。ただその中には、この数年のネコ、ネズミ、ニワトリ共通の変な症例に対するNBI方式のワクチネーションを実施しているところはなく、その辺に一縷の希望を持っています。H5のような新しい型の大流行はどの国のエキスパートも経験がなく既成の知識では対応不可能とFAOなどもしています。その中で、もしかしたらという期待を込めて推奨しているのが分かります。私たち現場もその分からぬものに100%の期待をしているのではなく、これまでの有効なワクチネーションに組み入れて使うことを希望しているのです。その場合の危険性はすでにLPAIの汚染は事実ですから(政府が頑なに認めないだけで、大槻さん自身の研究を含め反証は公的なものも含めていくらでもある)死毒ワクチン接種の改めての危険性など実際はないのです。ウイルスが変異する恐れを云うなら、ワクチンでなくても既に別のウイルスが存在するのです。実際これまで人獣共通感染症で人為的ワクチンが絡んだ例はありません。可能性で云うならウイルスの排泄がなくなり弱毒化の可能性から消滅の期待まであるのです。それを可能性として危険性だけを主張するところが恣意的なのです。 もうひとつ大事なことは国民感情です。数日前ついにフジテレビで生き埋めかワクチンかと対比させました。もう生き埋めに嫌悪感を持っていた消費者は、抗生物質とワクチンを混同しない限り、トリさんが助かるならと、聞いた限りワクチンをとって呉れました。これはとても大事なことで、私たちもワクチンの正しい知識を消費者に持ってもらうことが表面的で根拠のない安全宣言より、ずっと大切であると改めて感じました。 そしてワクチン論争も学者達のように、その使い方も含めて重箱の隅をつつくような方向でなく、環境中のウイルスを減らし人類、鶏共通の究極の病気から、取り敢えず両者共救える期待をするFAOなどの見地から、全アジア、全人類、それに鳥獣を含めた問題として考えたいものです。返答になりましたでしょうか。 末筆ながら一層のご活躍をお祈り申し上げます。 敬具
平成16年3月12日 篠原 一郎 |