AI、そろそろ観念すべきか




場としては今年の入雛を断念し入卵した分について120日令引き取り価格で支払うことで予約をキャンセルするむね育成場に通知した。

これまでも述べたようにノーワクチンでNDの洗礼を受けた世代としては裸同然で強毒AI(トリ・インフルエンザ)を迎え撃つ度胸はとてもない。また国の方針にそえば弱毒だっておなじことだ。あまりいろいろ云いたくないのだが経験を伝える意味で続けなければならない。

鳥類は飼い鳥、野生を問わず人間の生活圏から切り離せない存在で鳥小屋を覗くなでは済まされないことだ。鳥から人間への感染を恐れるならまず出来ることとして飼い鳥の発症を防ぐべきでそれには繰り返すようにワクチンの接種しかない。なぜそう考えないのか理解に苦しむ。ワクチンを使うこととその国の汚染とは同義語だというが、たとえ一例でも甚急性の発症を見たということは疫学的にみても最早立派な汚染国だろうに。それを埋けたから一応の一件落着とはまるで素人の発想だ。お前だってど素人じゃないかというかもしれないが、家衛試があったころは、少なくともフィールドと研究機関は密接に連絡しあっていた。尤も行政からはそのころでも例えば検体の搬入は畜産課を通せとか言われたが、行くと寄生虫室の角田さん、秋葉さん、細菌の安藤さん、渡部さん、リンパ腫の堀内さんなどと紹介されて血液塗抹を取らされたり現場として常に一翼を担っている気でいたからフィールドは俺たちだという自負があったし今も気持ちとしては残って居る。餌はえさ屋、病気は獣医、などと言い出したのはずっと後の話だ。

養鶏家の言い分を聞いた。窓なし鶏舎なら安全だという。学者もそれに賛成していた。けっこうな話でウインドレス養鶏家は安心するだろう。しかし相手は素焼きの瓶を通り抜ける濾過性病原体(時代錯誤で失礼)ですよ。鳥小屋に近付くなと国の機関が注意を促し、それをうけて教育委員会までが学校の鶏や鳩をどうやって生徒に納得させて処分しようか、とりあえずの世話は校長が完全防備でやろうなどと苦慮しているところまできているのにそれが鶏界の代表意見のひとつではあまりにも情けない。「鳥が覗ける網張りの鶏舎だからいけなかった。本社はウインドウレスだから」という最初のコメントと何ら変わりない。鳥小屋に近付くなという段階では入気孔も金網も一緒でしょうが。

尤も良い死毒ワクチンが入手出来て接種したとしても実際防御出来るまで抗体が上がるには一カ月以上かかるだろう。罹患鶏を埋ける前にせめて30キロ以内は直ちにワクチン接種をして続発に備えるというのなら例えドロナワでも鶏飼いの立場として分かるが、何年も前から一部で警告を繰り返して居たというのに右向け右のままの行政当局、なんでこれが一部新聞でいうBSEの教訓が生きたことになるのか、国民も業界も不安と予断の間をウロウロするだけで私としてもとても鶏なんか飼わしていられる気分ではない。

今、家衛試があったとしたら「先生、ノーワクじゃこわくて駄目だい」「ああお前危ないからワクチンが許可になって出回るまで鳥飼いなんざやめといたほうがいいぞ」「泥縄は政府だけで沢山。すぐそうします」ということになるだろうなあ。

H 16 1 19 I ,S