鳥インフルエンザ問題の今後(199)



鶏の呼吸器系の感染症で、庭先養鶏からウインドウレスまでカバー出来る発見可能な初期症状としたら、多少とも現れる夜間の喘鳴音の聞き分けを置いて無い。だから時季的に真夜中の鶏舎内の見回りは欠かせない。

農水省が8日に打ち出した養鶏場周辺の強制的な消石灰散布は、実際の効果はとても期待出来ないが、目立つことで何か対策を講じた証しとするお役人の発想とすれば、そんなところとして従うよりないし、罰金規定まであるとすれば尚更である。まあ効果があるということで生産者と消費者のせめてもの安心感を誘う意味はあるのかも知れない。実際、そういう國からの命令があって、石灰を撒いて居ない養鶏場があれば消費者からも手抜きの悪質業者として告発されかねない。一事が万事これだから嫌になることも多いが、これもコンプライアンスということだろう。しかしこう度重なるとシラケて来る気分は皆有ることは事実だが、日本はやっぱり金持ち國だし、安心感の為なら何物にも代えられないという国民性(これを精神的免疫度が低いと表現した人が居るが)だから、多少の税金支出はやむを得ないのだろう。ただこれを科学を信奉する学者達が提唱(しないまでも反対はしない)するというところが研究予算と引っかけて、やっかみ半分でも、うさん臭いと感じる人達も居る訳だ。

ただ卵価を見ると少し異常ではある。通常は東京市場よりKg10円位安い九州の相場が逆に高い。豊臣秀吉の言葉ではないが、こういうところはごまかしが効かない。一業者500万羽目標(鶏卵肉情報誌記事)で群雄割拠を狙って居た業界事情からすれば、九州地方だけが鳥フルを予め用心して生産を手控える気遣いはない。3年前の関西事情と同じで、何か有るなという感じは拭えないかも知れないが、まあそれでも続発情報より、ずっと《安心感》がある。まったく続発では身も蓋も無い感じだから。

これで今回の発生に関しての報道はプッツリ無くなった。あとは週刊誌などで、またぞろパンデミック懸念の記事だけが盛り上がって来るだろう。「あのパン何とか言うおっかない病気は、お宅は大丈夫だろうね」とお客さんからの電話が掛かって来る。しまいには「大丈夫だと云えよ」と強要される。スーパーが何と言おうと、これで消費が落ちて行かないわけはない。国民の年間消費量は一人250ケ位に落ち着くことだろう。

一方で、悪戦苦闘の被害産地は報道からも業界からも取り残されてやられ損の形になる懸念が大だし、暖かくなればまた茨城事例同様、何の反省も無くどこ吹く風に戻ってしまうのだろうか。

H 19 2 9. I,SHINOHARA.