鳥インフルエンザ問題の今後(197)



さすがに各地方もピリピリして来た。おそらく全国的に養鶏場に通ずる道路は石灰を撒くよう折衝が行われてくるようだと連絡が来た。消費者の関心も徐々に高まって来そうだ。

一応は出揃って居る2004年の資料を見ても、数字で見る毒性に業界が震え上がるのはやはり仕方ないと思う。OIE基準の静脈内接種以外の経鼻接種でも最小100ケ程度のウイルス量で3日以内に試験鶏は100%死んで居る。ただ野外でのこのような鶏の死に方は、昭和40年代のニューカッスル病で私達はさんざ経験している。とにかく目の前で流行り始めたケージの鶏がバタバタ死んで行く。もう全身的に鬱血しチアノーゼを起こしさながら黒死病だった。肉用鶏など、それを急いで頸動脈を切ってドラムカンの水に数日浸して真っ白になってから食用にするなどの不埒な例もあった(と聞いたことにしよう)。

そんな時期でも、対策の第一はやはり早期発見だった。パステン、パコマの消毒もオルソ剤の踏み込み槽も、必死で集めた不活化ワクチンも余り効果がなかった。だから今でも本心ではそう思って居る。全身症状で敗血症を起こして死ぬ鶏も、最初の感染初期は呼吸器症状があるのがほとんどだった。鳥インフルエンザだけ最初から黙って死ぬとは考えられない。やはり夜間の見回りが重要だが、大手のウインドウレスは夜間はカギがかかって居る。肝心の従業員は入れなくて入れるのはネズミだけでは早期発見は困難だ。至急対策が必要だと思う。飛び込んだ火の粉捜しの夜回りはかかせない。カラス、ムクドリ、ネズミ、ネコなど感受性のありそうなものの監視もあわせて。

息子たち、従業員への 緊急提言
一羽の異常鶏の発見に、昼夜を通して全神経を集中させよう。その一羽の病名が分からないままの間髪を入れない淘汰に、家保の了解を求めて置こう。毒性の強さを感染力の強さと勘違いしないようにしたいが接触感染でも鶏舎内で飛び飛びの水平感染を起こすようになったら手遅れである。いちいちの作業の手洗いを励行しよう。

H 19 2 7. I,SHINOHARA.