農水省の鳥インフルエンザ問題を担当する
大槻公一教授、 喜田宏教授に養鶏現場からの反論



トリインフルエンザは山口に続いて大分で表面化した。

1996年に岩手と鹿児島でホンコン風邪とおなじH3N2が 同定され、同年、韓国から中国大陸にかけてH9N2が流行、地域によってはそのまま常在化した。中国南部ではH5N1発生後、H3N2常在地ではH5N1が不顕性感染となることが報告(前述)されている。

この頃の大槻教授の講演録から
『ほぼ同じ時期に同じH9N2タイプのトリインフルエンザウイルスが見つかったというのは、朝鮮半島から中国大陸までの広い地域がトリインフルエンザに汚染されていると解釈するのが自然です。実際、3年前の大騒動が沈静化してのち、台湾や香港のマスコミで中国本土にトリインフルエンザ発生が報道されたと言われています。ところが中国政府の反応は、それを全く否定するもので(後略)』

この頃と現在の日本の環境とは、もうそっくりと云っていい。
日本政府はその頃の中国政府よりもっとたちが悪い。大槻教授の言葉をそのまま借りれば、周り中を囲まれた上で山口一件でも発生を見たうえは 我が国を含めアジア全体が汚染されていると解釈するのが自然な訳で、大槻教授も日本政府も今回なぜそんな「不自然」なことをやって鶏飼いたちを苦しめるのか全く不可解である。

そこで登場するのが政府を主導する立場の喜田教授だ。

すでに述べたように我が国でもLPAIの発生は確認され、以後不可解な鶏呼吸器病に悩まされているのはもう業界では周知の事実である。この間さまざまに免疫の迂回が行われ、国内でも公に同定こそされぬものの、すでに或る種のLPAIは存在すると疑う市井の獣医、養鶏家も多く、ワクチン接種が認められぬまま、粘膜の基礎免疫の強化、その他さまざまな民間療法的手法が現場で試みられる中、人間にとっても究極の病とされるインフルエンザに向けて、鶏の疾病段階のトリインフルエンザに対する臨床医家の関心も高く、知り合いの医師たちからもさまざまな文献、意見が寄せられている。

そのなかではウイルスの性質上、交差免疫に関するものが多く、それをどう活用していくかが実際の防圧での決め手になるとの意見が多い。

実際、殺処分を続けても根絶は不可能とする意見が現在ではほとんどで(HPAIの場合など発生後の処分が早すぎて、予後が全く分からぬなど返って問題だとされている)好むと好まざるとにかかわらずワクチンに頼るよりなく、永年のNA抗体研究の成果で有効なノイラミニターゼ阻害剤が人体用に開発され、これによって幾分でも発症鶏に接触する際の危険も避けられるとするとき、感染を防御できない理由だけでワクチンそのものを否定し一切の免疫交差を否定する喜田教授のかたくなさはどこから来るのかは、その研究内容から自明の理で農水省その他の予算措置もふくめ、熊本日々新聞読者の指摘する同教授のテレビでの問題発言(とされること)など、養鶏業者でなくても不可解とするところが多いことも認識すべきである。

H 16 2 19 I,S