笹山政策道場ウイルス論争(もどかしいようでも大切なこと)《鳥→人問題》



勿体ないから外野から続けましょう。その前に数日前にリニューアルされたNBIのホームページをご紹介します。私共へ見える記者さんなど必ず勉強に行って貰っていました。HPはほんの一例で沢山の貴重な情報をお持ちです。ご参考までに。

さてショートリッジ先生の云われるように鳥類、哺乳類、ヒトのそれぞれの段階での体系的な監視調査が想定外の出来事を予期する為に欠くべからざるものであることは当然ですが、99%が仮説の中では混乱が起きない方がおかしいくらいで、本当に思考力が試されます。よく分からないから権威に頼ることもあるわけで、喜田先生が持論をぶら下げてハンドルネームで登場したら袋だたきに会うかもしれないとおかしくなります。

《トリ→ヒト》感染はマスコミによってほとんど既成事実として伝えられてしまっています。たまたま田代先生が投書で名指しされたから、あの先生はテレビでこう話されて居ましたと伝えましたが去年12月19日NHKクローズアップ現代、伊藤博英アナウンサーの司会で内容はおどろおどろしいものでしたが、中でほんの一分程度の国立感染研の田代部長の解説が耳に残りました。例による私の聞き違え、読み違えの可能性があるので翌日すぐ当場指導医に話を聞きましたが「現在までのヒトでの発症で局所のサイトカインが10倍にもなって激しい《炎症》作用で組織が破壊され脱落する。それが全身に起きて多臓器不全で死亡するというのなら、W型アレルギーではないが抗体は無関係でウイルス疾患とは云えない。そういえば回復した患者の肺の写真は、まるで空洞化していて結核のコッホ現象を思い出すなあ」と云うようなものでした。

他方、私達の鶏飼育現場ではいろいろなワクチンスプレーの後に一過性の結膜炎はよく見られました。これはほんとに即時型反応で一般の方が大勢参加された処理現場では当然見られたろうと思います。茨城でもオランダでもそうでしたが、これを大袈裟に人感染と呼ぶのは、違和感を覚えます。これはアレルゲンの範囲だと思うのですが、我々現場は何とも云えません。

またK.F.ショートリッジ博士ら著名な研究者によって南中国の老人などはH1からH13までのあらゆる亜型の抗体を持つとされて居ますが、いくらなんでもこれらすべてに過去に不顕性感染を受けていたとは考えられないでしょうから鶏の場合でもかなりの厳密さが必要で、抗体が出ただけで不顕性感染があったとして殺されて居たんではたまったものではありません。やっぱり3点セットが必要な所以でしょう。

それにどんな苛酷な処置を受けようが業者が一番望むのは、もう安全だという國や県のお墨付きです。この認定証などのお墨付きに群がるのはわれわれ日本の農民の習性です。それが王様である消費者の安心を買う唯一の手段とも云えます。ひたすら我が農場は安全であると云い、不可抗力の感染であっても抗弁は一切せず、愛鶏園さんの場合も取引先、消費者に向けて謝り続けておられましたね。主張せざるは負けという感覚は我々の業界にはないのです。それに今までは儲からなくても國の基幹産業として國が農業を庇護保護してくれました。何も云わなくても「分かった、分かった」と云って補助金を出してもくれました。それがそうは行かなくなって来たのです。自分たちの身は自分たちで守らねばならなくなり頭でっかちにならない程度の知的武装も必要に感じるようになりました。そこでNBI笹山道場《とき》様が頼りになって来るのです。われわれ現場の付け焼き刃ではどうにもなりませんから。

H 18 8 31. I,SHINOHARA.