実際には今後、大変な事態が予想されても、目下のところは、継続中の訴訟問題くらいで、国民的な関心も薄れて居る観のある鳥フル問題より、アメリカさん相手のBSE問題は直接的な食品安全問題だけに国民の一人としても注目だけはせざるを得ない。それで、それについても〇〇先生に伺って見た。 1985年イギリスのウエルズらが<へたり牛>からスクレイピーに似た病変を発見してボヴァイン スポンジフォーム エンセファロパシイ(BSE)と命名し、その原因が飼料のミートボーンにあるとして1988年に、同じ反芻動物由来のタンパク飼料を与えることを禁止したものの、その後、牛16万頭が発病、その感染牛を食べたとされた人に、それまでのクロイツフェルト ヤコブ病(C−JD)でないヴァリアント型が発症する疑いが濃くなり、それがイギリスでは40人を数えたところから急に騒がれ出した。 ただもともとのC−JDは特発性とされるものだけでも100万人に1人、つまり日本の人口から割り出しても毎年120人程度の発病はあったとされ、C−JDがvC−JDに変異しただけかも知れないとする説も依然としてあるそうである。 これを、おおもとのスクレイピーと症状面から単純に比較すれば<へたり牛>も<へたり羊>も外見上は変わらない。羊の腰麻痺が直ちにそうだとは言えまいが、痒いという字は病垂れに羊と書く。ところがスクレイピーは患畜が痒がることも症状の一つにあげられる。ただ、羊の腰麻痺は大昔から通り相場であり、羊の肉は同じように大昔から安全に食され今日に及んで何の異常もない。なのにスクレイピー汚染の肉骨粉が原因だとされたまま、これも昔から大量に消費されてきた牛肉だけが、にわかに危ないとされる理由は本来はない。しかし古来、同類の肉骨粉をタンパク源、またはカルシューム源として草食動物に与えるという不自然なことがやられたことはない。このような自然界にはない人間の不自然な行為がとんでもない結果を生む例は他にもある。(ウサギのコレステロール実験など)あるいはそれが牛の脳にプリオンの異常蓄積を起こしたとも考えられないことはないだろうという。 BSEが牛のヤコブ病であるなら、繰り返すように人間でさえこれまでに100万人に1人の有病率が世界に共通して認められて居た位だから、牛にもそのくらいの率での発病はあってもおかしくはないし、いわんやそれがvC−JDの原因だと確定されている訳ではないそうだ。 だから普通に考えれば、一応不自然な羊の肉骨粉を牛に与えるのをやめろという、最初の1998年7月の勧告に止めて置くくらいがほんとうはバランス的に一番良い線だと、私自身は考えるが、それではどこの国の消費者も納得しないだろう。ただだからといって、肉骨粉に限らず、あらゆる動物タンパクを対象に、製造から輸送、さらに製品の保管までA飼料、B飼料として別に扱え、という日本はあまりにも厳しすぎるのではないだろうか。 なお前回、緬羊の輸入を落下傘製造のためとしたのは関東軍の北進に伴う防寒服需要の間違いで、また正確にはC−JDを、アミロイド蛋白凝集、沈着がきっかけと云われる若年性アルツハイマーにひっくるめたのは間違いだとの指摘もいただきました。ありがとうございました。 H 18 7 1. I,SHINOHARA. |